A版その1-3
「善処するよ」
千景は、晴夢を見てそう言った。
「じゃあ、ヒーロカード占い、いってみよう!」
シャッ! シャッ!
カードをシャッフルした瑠璃は、二枚のカードを引き出した。
「シルバーファングとパープルフェニックス……」
二つとも、子供達に大人気の特撮スーパーヒーローとスーパーヒロインだ。
ちなみに、男性であるシルバーファングより、女性で美人のパープルフェニックスの方が、大きなお友達には人気が高い。
「で、これがこいつの恋愛と、どう関係するんだ?」
千景の頭に手を置き、意地悪気な口調で言う辰羅。
「う~ん確かこの二人って、結婚してなかった?」
「中の人の話でしょ? 七瀬銀河さんと星見紫鶴さん。確か芸能ニュースでやってたよ。ええっと…」
綾花が自分のスマートヴォン、略してスマヴォを操作し、過去の芸能ニュースを呼び出す。
「あったあった! コレコレ!」
そこには、美男美女の結婚式の写真が写っている。
「これはこれは……この二人が占いの結果だってことは、うん、あなたの告白はうまくいくって事だよ!!」
瑠璃が大きくうなずいた。だが、
「そ、そうですか?」
千景は少し引きながらそう言う。
「そんなにうまくいくのか?」
辰羅が半眼でにらみながら言う。
「じゃあさ、うまくいくように、皆で協力しようよ」
綾花がここぞとばかりにそう言い放つ。
「具体的には?」
「まず服装だね。学生服ってのはありきたりだから……タキシード姿ってのはどう?」
「そんなものどこにある……って、そいえば、あったな」
辰羅が綾花に突っ込みを入れかけて、考え込む。
「そうそう、私達の部室にね」
瑠璃が一枚のカードを引く。
「演劇部!」
そう言って、綾花と瑠璃ついでに辰羅は千景を引っ張っていく。
「そういや遠藤って、園芸部だったよね? 告白の時に使う花束を用意しといてくれない?」
「……俺としては、そいつの告白がうまくいかなくて、最終的に空奈ちゃんが俺とのハーレム・エンドを迎えてくれた方がいいんだが……」
晴夢のボヤキは無視された。