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TS版『おっぱいをつけられたイケメン』-3

f「ええっと、話をする前に確認しておきたいんだけど、この中で魔法少女に関する知識があるやつは、何人いるんだ? ……新浪は、知っているよな?」

 瀬里奈は、おそるおそる魅咲の顔を見る。

「魔法少女? ああ、ベル・ホワイトの事?」

「あ、その人なら私も知ってる!」

 綾花も手を上げる。

「白くて、動くとリン、リンって音がなる人でしょ?」

「確か、画像がここに……」

 魅咲がデジカメの画像表示をのぞき込む。

「あ……」

「魅咲ちゃん、何このゴミ?」

 写っていたのは百人ちゅう九十九人がゴミだという物体だった。

「削除したはずなのに……」

 魅咲はデジカメの画像を削除しようとする。

「あ、それだ! そのゴミを撒き散らしがていた奴! 俺はそいつと戦おうとしていたんだ」

 瀬里奈が画像に写っていたゴミに反応する。

「たぶん、天逆衆に操られておかしくなっていたんだろう。訳のわからない事を叫びながらそう言うゴミを量産していた奴がいたんだ……


 ――回想――


「ナンダオマエ、ソノダサイボウハ……ダサイカカッコウハ……」

 天逆衆の仮面をつけられた男がそこら中に気味の悪い色の球体を投げつけ、そこら中にゴミを増やしまくっていた。

「ゲヘラゲラ~~!! オマエモワレガゲイジュツニカエテヤロウ!!」

 天逆衆に操られた人間は魔法少女によって救われる――それがこの学校の常識だと言われたとしても、俺は納得していなかった。

 魔法少女に守られているんじゃなく、魔法少女を守りたい――それに、戦い続ければいずれライバルである辰羅を超える力を手に入れるかもしれない――だから俺は天逆衆を見つけたら戦いを挑むことにしていた――


 ――現在――


「……そう言えば、あの怪物ときもいたよね。小鳥君」

 綾花が、以前闘った怪物の事を思い出していう。

「……ああ、まさかこの学校には魔法少女以外にも正義の味方がいると思わなかった。和風戦隊とかスターフェザーとか……そういえば、神城綾花……あんた、あの場にいたよな? 和風戦隊とはどういう関係だ?」

 瀬里奈が綾花に聞いてくる。

「あ、私は和風戦隊の追加戦士ナデシコレンジャーになる予定だから和風戦隊とは付き合いがあるの。それにあの時怪物を出現させてしまったのは私のせいだったから……」

「……じゃあ俺も、和風戦隊に入れるか? ブシレンジャーはいるから、サムライレンジャーとかで?」

 混ざりたいのか? 瀬里奈……いや、隆幸……


 ――回想――


「ゲイジュツ、ゲイジュツ、ゲヘラゲラ~~!!」

 だが、俺の考えは甘かったらしい。相手の変態的な動きに付いていけず相手の技を食ってしまった。

「うわわわわわ!!」

 相手は俺の腹をゴミに変えてしまって俺は動けなくなってしまった……

「く……」


 バタ!!


「ゲイジュツ! バンザ~イ!! ゲヘラゲラ~~!!」

 倒れて動けない俺をほって、天逆衆に操られた男はどっかへ行ってしまった。

 そのままゴミを増やしまくるつもりだったんだろう。が、ゴミに絡め取られた俺は動くことができなかった。その時、こいつが、この体が現れたんだ。

 そして、彼女は、瀬里奈は、変身した――


 ――現在――


「変身した? つまりスーパーヒーローみたいに?」

 反応を示したのはヒーローマニアの瑠璃だ。そういう事は大好きらしく目を輝かせる。

「ああ、変身したよ魔法少女ロイヤルセレナに……!」


 ――回想――


「……魔力解放・変身……『ロイヤルセレナオーロラデビュー』……」

「――!!」


 キラキラキラ、バシュ~~ン!!


 瀬里奈は俺の目の前でロイヤルセレナに変身した。


 ――現在――


「って、事は……つまりあなたは今、魔法少女の体って事?」

 魅咲が驚いたように言う。

「ああ、そうだよ! 俺は今小鳥隆幸じゃなくて、由良瀬里奈であり魔法少女ロイヤルセレナでもあるみたいなんだよ! ……まったく、よく考えるととんでもない状態だよな……」


 ――回想――


「お、お前は!! あの時の、役立たずの方の魔法少女!!」

 悪いけど、俺はロイヤルセレナにはいい印象を持っていなかった。最初に会った時……うちのクラスの夏樹陽子が操られていた時もそうだし、この間の怪物騒ぎの時もロイヤルセレナはなんの役にも立っていなかった。本人もそのことを自覚していたのだろうか?

「ええ、私は何の力も持たない役立たずの魔法少女――私にもあなたのような勇気があればいいのに……」

 そう言ってロイヤルセレナは俺に近づいてきた。

「お願い……あなたの勇気を私にちょうだい……」

 そして……


 ――現在――


「そして……そして……」

 瀬里奈は妙に口ごもる……だんだんと顔が赤くなっていく。

「そして、なんだよ?」

 辰羅が続きを話そうとしない瀬里奈に目を向ける。

「ゴミに絡まれて、動けない男に魔法少女がした、事か……なんかすごいことをされたような感じだな!」

 晴夢がニヤニヤとしながら言う。

「……そんなんじゃない。キス、されただけだ……」

「「「キス!?」」」

 周りの人間が驚いて言う。

「魔法少女とキス、か……どんな感じだった? 柔らかかったか? 甘かったか? 羨ましいぞ! ここヤロー!!」

 晴夢は涙を流している……


 ――回想――


「『ウィルルーム・オープン』……」

 キスを、される直前、そんな言葉をロイヤルセレナは言っていたような気がする……

 俺の口に、ロイヤルセレナの唇が触れた……その時、俺の胸から、


 バタン!!


 なんて言う音が聞こえたような感じがした。同時にロイヤルセレナの胸からも同じような音が聞こえて……をして俺は、何か訳のわからない空間にいた……


 学校の廊下にいたはずなのに、周りには何もない。全体にモヤがかかっているような不思議な空間で、雲のようなものがふわふわと浮いているようなそんな感じだった。

 何で俺はこんなところにひとりでいるんだろう。そう思っていた。


 ……そこにたのはどれくらいだったのかわからない。一時間くらいその空間にいたような気もするし、ほんの一瞬だけだったのかもしれない。


 と、モヤの向こうから、 一人の女の子が歩いて来たんだ……その子は、さっき会ったロイヤルセレナ、いや、由良瀬里奈だった気がする……


 その子は俺の傍までやってくると、自分がやってきた方向を指さして、

「あなたはあっちに行って! 私はこっちに行くから」

 といった。


 俺は、不思議な空間の中で考えが全くまとまっていなかった。女の子が指さした方向へ何も考えず進んで行ってしまった。


 そして、ひとりで進んでいくとやがて大きな門みたいなものが見えてきたんだ。でもそれは……なんか、初めて見る気がした。自分のものじゃない、ここの門に入ったらいけない――そんなふうに思ったんだけど……


 門の中から何かが俺を呼んでいるような気がして……俺自身もこの空間にいたら大変なことになってしまうような感じがして……俺は門の中に入っていった――


 そしたら、気が付いたときにはその空間に俺はもういなかった――でもその時俺は――俺じゃなかった――俺は、魔法少女ロイヤルセレナになっていたんだ――


――現在――


「え? って事は、お前男のくせに魔法少女の姿になっていたって、ことか?」

「ああ、そうだよ! その通りだ! この俺が、女の体でヒラヒラのフリフリの魔法衣装を着ていたんだ!!」

 辰羅の言葉に顔を真っ赤にしてそう言う瀬里奈。

 可愛らしい女の子である瀬里奈が魔法少女の姿をすればよく似合うが、完全な男である隆幸が魔法少女の格好しているのを想像すると……

「想像、したくない、な……」

「するな……」

 一瞬だけども自分の魔法少女姿を想像したのだろう。瀬里奈は深く深く、ため息をついた。

「それにしても男の魔法少女、か……なにかしら斬新な気がするな……」

 どんなことを考えているのか? 晴夢が顔を朱に染めて言う。

「そうか? なんか周りにたくさんいるような気がするが?」

「辰君、それはたぶん気のせいだよ」


 ――回想――


「な、なんだこれ?」

 俺ははっきり言ってあわてた。体中自由に動かせない状況から脱却することができたけど、それは自分の体じゃなかったからだ。

「ごめんなさい……あなたと私の体を交換させてもらいました」

 足元で、俺の体が、俺の声で謝ってくる――本当、今思い出しても自分の精神がおかしくならなかったのが不思議なくらいだ――

「おいおい、ロイヤルセレナ! 君は何を考えているんだ。こんな男と自分の精神を交換するなんて!!」

 俺の――ロイヤルセレナの服の中から黒い猫のヌイグルミがでて来てそういった。確か、ロイヤルセレナの使い魔、レオとか言うやつだ。

「私は臆病者だから、闘えない。敵を目の前にすると体が動かなくなる。今までの経験でよくわかった。私はこれから先魔法少女として戦う自信がないの……」

 俺の体――つまり瀬里奈の精神が入った隆幸の肉体――は、そう言って涙を流し始めた。

「おい、まるで俺が泣き虫みたいじゃないか! やめてくれ!!」

 そう言う俺の声は瀬里奈のもので、女の子のきゃぴきゃぴした黄色い声で……ほんと頭がおかしくなりそうで……その上、泣いている俺が、情けなくて……

「だから、勇気があって怪物や天逆衆に堂々と立ちむかっていけるあなたに私の体を使ってもらうと思ったんです。あなたなら魔法少女として敵と戦うことが出来るでしょ!?」

 女の言葉で情けない事を言ってくる俺の声――それを聞いているうちに俺自身ものすごく混乱してきた……

「お願い、魔法少女ロイヤルセレナとして天逆衆と戦って!!」

 女の体となってしまったせいだろうか? 体中に妙な感覚が広がっていて……俺の体が言っている意味が全然わからなくて……

「わかったよ!! あのゴミを撒き散らしているあいつを倒せばいいんだな! 俺がこの体でやってやるよ!!」

 思わずそう言ってしまった。


 ――現在――


「押して俺は、ロイヤルセレナとして天逆衆に操られていた男をやっつけた。そして、ベル・ホワイトがゴミを片付けている間に俺の体があった場所まで戻ったんだけど……そこに俺の体になっている瀬里奈は――いなかったんだ」

 そう言って瀬里奈は長い話を終える。

「レオは俺をロイヤルセレナの姿から由良瀬里奈の姿にした後、預言者だと言う三毛猫、グレン・ナジャに意見を聞きに行くって言ってどっかへ行ってしまった。俺は一人で俺の体を探していたんだ……」

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