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S版その2-6

「おっと」

 隆幸が倒れる陽子をささえる。

「そんなに気負う必要はないさ。夏樹、お前番の一番は笑顔だと俺は思っている……」

「うっわぁ……似合わない……」

「そう? いいシーンだと思うけど?」

 優しく床に陽子を寝かせる隆幸が発した言葉に魅咲とベル・ホワイトが感想を述べる。


 バタバタバタ!!


 それと同時に周りで一番一番と騒いでいたB組のクラスメイト達も次々と倒れていく。その体から彼らを操っていた波動が抜けていくのが微かに見える。


 リン!


 ベル・ホワイトが襲ってきたクラスメイト達をとらえていた鞭を外し元のステッキに戻す。

「しかし……一体何でこんなことになったんだ? あんたたちは原因を知っているようだが?」

 隆幸が魔法少女二人に……というかベル・ホワイトに視線を向けて言う。

「あれは……」

 ベル・ホワイトが何かを言おうとした時、


 ブワァ!!


 突然クラスメイト達の体から出ていた波動が一カ所にまとまりだす。

「――!?」

 それは色を変えて黒い人影を作り上げる――!!

「天逆衆!!」

「おや、あの時のたしか、ヤミナントカ?」

「ホホホホホ……わらわはヤミゴロモではございませんのじゃ……わらわはカゲホウシ……天逆衆の一角じゃ……」

 ヤミゴロモと同じように上から下まで漆黒の衣装に身を包んでいるため、どんな人間なのかわからないがその口調そして声の感じから女性であるようだ……

「サイコロの目は?」

 魅咲がそう言う。

「は……? 何を言うておるのじゃ?」

 カゲホウシは何をいわれたのか、わからないというような答えを返す。

「お前が、夏樹を操っていた元凶か!?」

 隆幸が竹刀をカゲホウシに向ける!! 彼の殺気が高まっていく――!!

「ホホホホホ……いかにもそうじゃ。新たなる魔法少女というものを見ておきたくての」

 そう言ってカゲホウシは視線をロイヤルセレナの方に向ける。

「ホホホホホ……どうやらわらわ達天逆衆の脅威になるような存在ではないようじゃの」

 そう言われたロイヤルセレナ。彼女は今までずっと震えていた。頭を抱え、目に涙を浮かべ戦うこともできず、ただひたすらすべてが終わってくれる事を願いながら震えていた。

「ロイヤルセレナ……」

 レオが心配そうに声をかける。

「そっか、これがロイヤルセレナちゃんにとって、初戦闘だもんね。戦えないのはわかるわかる。むしろ、パープルフェニックスとかそういったバトルヒロインが初めての戦闘で普通に戦えるほうがおかしいんだよ」

 魅咲が口元に笑みを浮かべて慰めの言葉をかける。

「……終わったの? 敵はいなくなったの?」

 今までずっと一言も話せなかったロイヤルセレナは、やっとのことでそれだけの言葉を搾り出した……

「いやいや、まだわらわが残っておるぞ」

 カゲホウシがそう言いながらロイヤルセレナの側に舞い降りる。

「い、いやあ~~!!」

 叫び声を上げるロイヤルセレナ。

「ずりゃあ!!」


 ブン!!


 それを見ていた隆幸がカゲホウシを攻撃する!!

「おやおや、野蛮な者じゃな。まあ、この魔法少女がわらわ達天逆衆の脅威になることはまずあるまいて……」

 そう言って宙に舞い上がるカゲホウシ。

「待ちなさい、カゲホウシ!!」

 ステッキをかまえるベル・ホワイト!!

「ホホホホホ……わらわは自らで戦うような争い事は好かぬのじゃ。そういった事はヤミゴロモやクロマントのやつにまかせておる。じゃからここで退散させてもらうぞよ」

 そう言ってカゲホウシはその身を再び波動に変えて消えていった。


「……何者なんだあれは……」

「天逆衆……私達魔法少女が戦う悪――」

 隆幸の疑問にベル・ホワイトが答える。

「あんなのがいるんじゃ普通に学園生活が送れないじゃないか!」

「それは大丈夫だよ」

 隆幸が激昂に答えたのはパクだった。

「このお守りを……このクラス全員分あるからさ!」

「お守り?」

 パクから手渡されたお守りを不審気にみる隆幸。

「それが魔法少女達との絆になる。それを持っていれば天逆衆に襲われても魔法少女が助けにきてくれる!」

「……」

 隆幸はお守りをよーく見る。小さな小袋の可愛らしいお守りだ。ケータイやカバンに付けていてもおかしくは無いだろう。

「中に何が入ってるんだ?」

 そう言っていきなり中を開ける隆幸。

「あ」

 ベル・ホワイトが驚いた声を上げる。お守りの中からできたのは小さな石だった。

「……これが絆?」

「魔法石だよ。ベル・ホワイト達魔法少女が持っているステッキも同じ材質で出来ている。持ち主に危険が迫ると魔法的な信号を出してくれるんだ」

「……そして魔法少女が助けにきてくれる、か……しかし……」

 そう言って隆幸は視線をまだプルプル震えているロイヤルセレナに向ける。

「ベル・ホワイト、あんたならともかく、そいつは役に立つのか?」

 その疑問はもっともだった。


「ねぇねぇ、私はさあ、そんなのいらないから、これ、くれない?」

「え?」

 そう言って魅咲に持ち上げられるレオ。

「おい、離せよ!」

「このヌイグルミ! 一つでいいからさ!」

「ダメよ、レオはロイヤルセレナのパートナーなんだから!」

 ベル・ホワイトがレオを持っていこうとする魅咲を制止する。

「え~~ケチぃ~~じゃあいらない。今回はたくさん写真が撮れたし私もう帰るね!」

 そう言って来た時と同じように窓から出ていこうとする魅咲。

「あ、おい、待て!!」

 1年の教室は4階だ。隆幸が慌てて魅咲を止めようとする。

 が、魅咲はあっさりとB組の教室の窓から出てA組の方へ戻って行ってしまった。

「な、何者だあいつ……」


「ロイヤルセレナ、ベル・ホワイト、おいら達も戻るよ。みんなの記憶を消して……」

 レオがそう言ってくる。

「あ、また魅咲ちゃんの記憶が消せてない」

 ベル・ホワイトが今気づいた事を言う。

「記憶を消すって、どういうことだ!?」

 隆幸がそう叫ぶ。

「ごめんね『スリープ』!!」

 ロイヤルセレナの眠りの魔法が隆幸にあたる!

「おい、待…て……」

 崩れ落ちる隆幸……その手には、魔法少女達との絆であるお守りがしっかりと握られていた……


「ゴメン、記憶を消す魔法は相手を意識がない状態じゃないと効かないの……」

 そう言う声を聞きながら……隆幸の意識は闇へと落ち――

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