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S版その2-2

「あなたは、だあれ?」

 仮面の奥の瞳を欲望でギラギラさせ、陽子が動きを止める。

 それと同時に一番一番と騒いでいたB組の生徒達の動きもピタリと止まる。

 生徒、およびB組の教師は固まったように動かない。そんな中、仮面をつけた陽子だけが動き、 視線をロイヤルセレナに向ける。

「私は……」

「待って!」

 陽子の迫力に気おされ、名乗ってしまいそうになったロイヤルセレナを陽子が止める。 

「一番に私が名乗らせてもらうわ。私はこの学校で一番になる偉大なる少女夏樹陽子!!」

 堂々と大きな声で陽子は自分の名前を名乗った!

「さあ、私は名乗ったわ! あなた達も名乗ってもらいましょうか!」

「あなた達……?」

「おいらのこともバレてるってことか……」

 ロイヤルセレナの横にいたレオが、自分を指して言われたことだと思って身構える。

「あ、私は新聞部の新浪魅咲ね。今回スクープがあるんじゃないかと思ってやってきました!」

「――!!」

 ロイヤルセレナの横にいた魅咲が陽子に対して自己紹介する。

「あ、あなた! どうやってここに!?」

 入り口は開かなかったはずだ。なのに何故か新浪魅咲がここにいる!

「え? 実は、あのあと、鈴鹿先生から教室に戻りなさいって、怒られちゃって……仕方なく教室に戻ったら、ロイヤルセレナちゃんが箒で飛んでるのが見えたの。で、A組の窓からこっちにきちゃった」

 口元に笑みを浮かべながらこともなげに言う魅咲。

「あ、あなたは何者……?」

「新聞部の部員だよ! スクープのためなら何だってする」

 にっこりとデジカメをかまえる魅咲。

「おいおい、新聞部員てそんなことまでするのか?」

 レオも呆然と魅咲を見上げる。

「あ、しゃべるヌイグルミ! ハイ、チーズ!」


 パシャ!


 押されたシャッターに思わずポーズをとってしまうレオ。


「つまりあなたは私が一番になった姿を撮りに来たのね。で、あなたは?」

 陽子がロイヤルセレナに質問を投げかける。

「ええっと、私は……あの……」

 何を言えばわからなくなってしまいしどろもどろになるロイヤルセレナ。


「ねぇ、ロイヤルセレナちゃんってこういう時の決め台詞を考えてないの」

「すまない。まだ、新米なんで……」

 魅咲がレオとそう言う会話をしている。彼女はもうすでにしゃべるヌイグルミを受け入れているようだ。

「私の友達にさぁヒーローマニアがいるんだけど、その子にいい決め台詞を考えてもらおうか」

「そういうのを大きなお世話だと言うとおいらは思うなぁ。こういうのは自分で考えるものだろ」


「ええっと、魔法少女ロイヤルセレナです……」

 およそ魔法少女の自己紹介とは思えないテンションと口調で話すロイヤルセレナ。

「魔法少女ロイヤルセレナ? で、一体何しにきたの?」

「えっと……」

「あんたを救いに来たんだよ!」

 うまく言葉を出すことができないロイヤルセレナにかわりレオが陽子の質問に答える。

「あんたは悪の天逆衆に操られて、こんな事になっているんだ! おいらとロイヤルセレナがあんたその仮面を外してあんたを救ってやる!」

 ビシッとポーズを決めるレオ。

「ほら、ロイヤルセレナもポーズを決めて」

「え? ど、どんな?」

 ロイヤルセレナはこの間初めての変身をしたばかり。ポーズとか決め台詞とか、まったく決めていなかった……

「何なのかしらあなたは? いいわ、自分が何なのかわからないというのなら、教えてあげる―― あなたは、他のクラスメイト達と同じで一番である私の後ろにいる引き立て役よ!!」

 陽子が両手を上げる。と、


「「一番!! 一番!!」」


 それと同時に直立不動で動かなかったB組の生徒達が再び一番コールを始める。

「さあ、あなた達も私をたたえなさい!」

 女王のように教壇でポーズをとる陽子。

「うわっ! シュール!」

 魅咲はその様子をデジカメに納めていく。


「「一番!! 一番!!」」


「さあ、あなた達も!」

 そう言う陽子の手から何かの波動が発せられる!!

「うわっ!」

「きゃあっ!」

「おっと」

 その波動がロイヤルセレナ、レオ、魅咲を襲うが三人はかろうじて避ける。

「気をつけて、今のにあたったら周りの連中と同じようになっちゃうよ」

 レオがそう警告する。

「うーん、それは勘弁だねぇ。戦場カメラマンは中立なんだよ」

 そう言って魅咲はちょこまかと逃げまくる。

「戦うんだロイヤルセレナ。あの子も、このクラスの生徒達もこのままにしておいてはいけない!!」

「え……それって……私がやらなくちゃいけない事なの?」

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