A版その2-2
「あ、辰君!!」
辰羅の彼女である瑠璃がやって来た。
「ねえねえ、B組の人が辰羅に用があるんだって」
瑠璃はそう言って、辰羅の腕を掴む。
「B組? 隣のクラスに知り合いなんていたっけ?」
「俺だ、御陵辰羅!」
瑠璃の背後から、一人の男子生徒が現れる。
「久しぶりだな……二年前、小学5年の剣道大会以来か……」
「……?」
現れた男子生徒を、上から下まで見るよくよく見る辰羅。
「……誰?」
そう言った。
「……コトリ、君?」
綾花が、その男子生徒の右胸につけられた『小鳥』と書かれた名札を見てそう聞く。
「違う『小鳥』と書いて読み方は『オズ』――俺は小鳥隆幸、1年B組剣道部、小鳥隆幸だ!!」
そう言ってポーズをとる隆幸。
「オズ……隆幸? もしかして、去年の小学生剣道大会優勝者の?」
魅咲が、何かを思い出したように言う。
「小学生剣道大会……」
辰羅が、ちょっと首をかしげる。全く心当たりがなく、意味がわかっていないという表情だ
「言わなきゃわからんのか!? 俺は、二年前の剣道の大会でお前に敗れた小鳥隆幸だ!! 思い出したか御陵辰羅!!」
「いや、覚えてない」
「ハァ―――――!?」
隆幸が絶叫する。
「いいか! 俺は二年前の屈辱をバネに去年の大会で優勝した! だが、まだ最強は名乗れない!! 去年の大会にお前が出てこなかったからだ!!」
「……で?」
「俺はこの学校でも剣道を続けている!! お前も剣道部へ来い!! 決着をつけよう!!」
すごい顔で辰羅を睨み付ける。
「いや俺、一応、演劇部なんだけど……」
「なんだと!! お前ほどの実力がありながら、なぜ剣の道に歩を進めない!?」




