カケラ版-9『ワーボワール』
~~タビノ・キング~~
「我の世界を襲った災厄・天覇の魔女ジョアンナ――その圧倒的な力に……………我は……魅了された……素晴らしかった。欲しいと思った。
ああ、あの力さえあれば、あの力を自在に操る事が出来さえすれば、我は……我らワーボワールは…………魔法世界を制覇することができるだろう!
だが、あれは暴威……どんなに恋い焦がれようたように欲しようが、決して手に入れることはできそうにない!!
ならば…………………」
~~グレン・ナジャ~~
「予言できなかった……それがどんなに私のプライドを傷つけたかはわからない……
だから私はこの任務に就くこととなった……
故郷にはもう3年も帰っていない……
私の故郷に帰る時、それは魔法世界そのものが私たちワーボワールそのものになった時だ。
そのためには魔法少女をワーボワールに送り込む必要がある……」
~~トルオ・ニュウ~~
「それが任務だったからね。僕たちだってわかってる……茶番だって事は。
グレン・ナジャは本来守る必要なんてない。未来のわかるやつが危険な目にあうなんて思ってなかったからね。だから僕らには別の任務が与えられていた……
魔法少女の敵――天逆衆を――演出しろと言う任務が……
面白かったよ! 物語の悪役って悲劇的な終わり方するものが多いけど、それはフィクションの中だけの話……
僕らはすべてが終わったときに故郷に帰れる――
魔法世界の覇権を得た偉大なる国、ワーボワールにね……」
~~フォウ・リンス~~
「人間の潜在能力ってのは素晴らしいものがある。その中でも、魔法少女に選んだ者たちは磨けば光るダイヤの原石。
しかし、ダイヤを磨くには同じダイヤモンドが必要――
私達がそのカッティングダイヤモンドになる。
魔法少女というダイヤの原石を研磨し、輝かせる! それが私たちの役目! 光り輝いた宝石をワーボワールに送り届ける――――そして……」
~~パク~~
「最初は大失敗だったらしい。大騒ぎになったって話しだ。
だからこそ俺達が必要になった。魔法少女につき、魔法少女本人の記憶とその周辺の人々の記憶を書き換える……そのために必要な情報を魔法少女の周りから集める――家族、友人、知り合い……その少女に関わった人々の記憶を消さなければいけないからなぁ……!!」
~~レオ~~
「天覇の魔女はこの世界からやってきたらしい……それは、彼女が残した楔からたどってきた先がこの世界だったのだから間違いない――
だからこそ、ワーボワールの力となる魔法少女をこの世界から選んでも罪には当たらない――そうだろ? 天覇の魔女よりワーボワールが受けた被害は本当に大変なものだったんだ。それに比べたらほんの数人の魔法少女をこの世界からワーボワールに連れて行ったところで責められる理由などどこにもない」
~~コリン~~
「故郷に帰ってわかる事は、いまだに、あの魔女の爪痕が残っているということだ。
だからこそ思う……
強き魔法少女を故郷へ連れ帰る事こそが絶対に主要なことだと……
だから鍛えあげた! サーヴィン・メプルこそ俺の育てた最高の魔法少女だ。
完全に育ちきっていない魔法少女を故郷に送るなど失礼にあたる――だからこそ少し厳しく育てた。
パクやレオ……後輩たちも、きちんと魔法少女を育ててくれているだろう。かの世界で……」
~~キャロ~~
「何も話すことなどない……! 予想は外れ、こうやってとらわれの身となった以上、国に迷惑をかけるような真似はできない! その娘の物特殊能力は確かに得難いものではあるが、魔法少女にできない以上、価値はない……
マジュ・リッツ殿……故郷の家族に伝えておいてくれ……
キャロは遠い異界の地で名誉の戦死を遂げたと……」
~~マジュ・リッツ~~
「そうさ……魔法少女とは……俺達ワーボワールを魔法世界の頂点へ登らせるための布石――――いわば、兵器――――」




