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カケラ版-6『南九条楓』

「モ・ヒ・カ・ン!! モヒカン、モヒカン!! モ~ヒ~カ~ン!!!!」


 変な仮面をつけた男子生徒が、モヒカン、モヒカンと叫びながら走っていく!


 ビ~~!


 時折、変な光線を放つ!


「うえあ!!」

「きゃあああん!!」

「いやだぁ!!」


 その光線に当たった生徒達は、例外なく側頭部の髪がなくなり、頂頭部に長い髪が集中する……すなわち、モヒカン頭となってしまう。


「モヒカン頭は雑魚の証!! アニメのやられ役!! この学校の生徒達全員がモヒカン頭になれば普通の髪型の僕がいじめられる事はなくなる!!」


「そんなわけないでしょ!!」


 ドゴン!!


 いきなり上から降ってきた魔法少女がその男子生徒を踏み倒した!!


「うげぇ!!」

 派手な悲鳴を上げて倒れた男子生徒の顔から仮面を引きはがす――

「天逆衆の攻勢も派手になってきたようね。でも、この学校の平和はこの私、サーヴィン・メプルが守ってみせる!!」


 ビシッ!!


 決めポーズをとるサーヴィン・メプル。

「じゃ、コリン、この仮面、ちゃんと処理しといてね! 私はモヒカン頭にされた生徒達を元に戻すから!」

 ペンギンのヌイグルミのような使い魔に仮面を渡し、効果消去魔法を使うサーヴィン・メプル。

 彼女こそ、天逆衆と戦う媛崎中学校6代目の魔法少女だった――




「今度の演劇部の出し物は、魔法少女にしようか? 今この学校じゃ結構流行しているだろ?」

「秀作。お前本気で言ってるのか?」

「もちろん主役の魔法少女には星羽、君にやってもらおうかと思ってる」

「ふざけるなよ!! オレにあんな格好をさせようとって、いうのか!?」

 演劇部の2年、宍戸秀作と浅科星羽がそのようなことを言い合っている――

「う~ん、でもこの間梨乃亜姉さんに会った時、弟が演劇部にいるなら出来る限り女形で使ってくれと言われたけど?」

「あ・の・クソ姉貴~~~!!」

 秀作と星羽は幼い頃からの友人だ。幼馴染と言う関係だと思ってくれればいい――

 だからこそ、秀作は星羽の姉、梨乃亜の事をよく知っていた。

 そして、この2人と幼馴染なのはもう1人――


「ごめん、遅くなっちゃった?」


 演劇部部室のドアを開けて入ってきたのは南九条楓――秀作と星羽の幼馴染である。

「……何をやっていたんだ? 楓」

「あはは……野暮用!」

 楓の答えをジト目で返す星羽。

「……まあいいか、君の意見も聞かさてもらいたい。次の演劇は魔法少女ものにしようと思うんだ」

「え゛!?」

 楓は一瞬焦ったような顔になる。

「で、魔法少女役を星羽に演じてもらおうと思っているのだが……」

「オレは絶対にやらねぇ!!」

 星羽は頑として否定する。

「……星羽が、魔法少女……もしかして星羽も異世界で産まれたとか!?」

「めちゃくちゃな設定をつけようとするな!!」

 星羽がどなる!

「それはないな…」

「「――?」」

 それは男2人は聞いたこと無い声だった。

 楓の持っているペンギンのヌイグルミから聞こえたような気がしたが――

「気のせい、気のせいよ!」

 楓は焦って否定する!

(コリン~~! 勝手な発言をしないの!!)

(……すまん)

 使い魔とテレパシーで会話する楓。このペンギンのヌイグルミが魔法少女の使い魔であることも、自分が魔法少女であることも二人には内緒なのだ――


「ところでさあ、秀作。敵はどうするの?」

「敵?」

「魔法少女のか?」


 実は南九條楓――サーヴィン・メプルには、昔から気になっていたことがあった――


「魔法少女の敵天逆衆って、なんで魔法少女と戦うのかな?」





「天逆衆。楓は確かにその時そう言ったのか?」

 抑揚のない感情の無い声で姉、梨乃亜は問い掛ける――

「ああ、たしかにそう言っていた……」

 催眠状態にあり意識が朦朧としている星羽は、ゆっくりとそう答える。

「早口で言っていたから秀作も気にかけていなかったけど確かに言った……」

「……天逆衆の人間が中学校を襲う理由なんてないはず……これは、超常自衛隊にでも言った方がよさそうね……」

 いつもと変わらない口調で梨乃亜はそう言うと、ろうそくの炎を吹き消した――

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