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A版その2-1

「愛、それは尊きもの……人類誕生より最も重要とされてきたもの……!!」

「俺のハーレム・エンドを作るために最も重要なファクター!!」

「愛があれば、愛さえあれば、俺にも彼女ができますよね~?」

「その通りだ!!」


 媛崎中学校の裏庭で、三人の男子生徒が何やら訳のわからない事を言い合っている……

 メンツは、3年C組演劇部部長宍戸秀作先輩と、1年A組遠藤晴夢、そして1年C組の京極疾風だった。


「……何をやっているんだ? あいつら……」

 その様子を、三階の窓から御陵辰羅が一瞥し、そうつぶやいた。

「……あれ? 辰羅君、突っ込まないの?」

「神城か……お前、俺の事を突っ込みキャラかなんかだと、勘違いをしていないか?」

 辰羅はやってきた神城綾花に、半眼で睨み付けながらそう返した。

「だって辰羅君、瑠璃ちゃんや魅咲ちゃんに突っ込みまくってるじゃない」

「……俺はそういう人間じゃないぞ……」

「そうかなあ? じゃ、ああいうの見たらどう言うの?」

 綾花は、体を少しずらし、自分の後ろにいた人物を辰羅に見せる。


「学校の中庭で愛を叫ぶ三人の男達……通称『学校の中庭で愛を叫び隊』……あんな物、スクープにすらなりはしない……」

「……黄昏なんてお前には似合わないぞ、魅咲。お前はもっとはっちゃけてるはずだ」

 辰羅は、デジカメの紐を持ちプラプラとぶら下げている魅咲に向かってそう言葉をかけた。

「……やっぱり突っ込みキャラじゃない」

「これも、突っ込みに入るのか!?」

「いえ、その綾花ちゃんに対する受け答えが突っ込みになってると思うよ」

 視線を『学校の中庭で愛を叫び隊』から外し、魅咲が会話に入り込んでくる。

「魅咲ちゃんは新聞部のスクープ探し?」

「そう、こないだ撮った写真が苺先輩に駄目だって言われて……」

 グルグル眼鏡の下の素顔は見えないが魅咲はどうやら落ち込んでいるようだ。

「『友達にコスプレさせて、魔法少女だ~なんて言う、捏造写真をスクープしろなんて何考えてるの!?』って、言われちゃった……」

「捏造写真?」

「お前、そんな物を撮っていたのか?」

「違うわよ、これは本物!」

 そう言って、魅咲はデジカメを手元に引き寄せピッ、ピッと操作する。

「見てこれ! すごいスクープ写真でしょ!」

 そこには、金色の衣装を着た少女と、白色の衣装着た少女がピースをしているしている姿が写っていた。

「ええっと、誰これ?」

「魔法少女!」

 自信満々に魅咲が言う。

「コスプレにしか見えないな。草薙先輩の言ってることが概ね正しいんじゃないか?」

「これは本物だよ! 見て! ここに使い魔も写ってる」

 指差す写真の隅には、

「犬のヌイグルミ?」

「こっちは黒猫か」

 魅咲が何を言おうと、それはコスプレ少女がヌイグルミと一緒に写っている写真しか見えなかった。

「……よし、もっと決定的な瞬間を写真にしてこのスクープ、認めさせてやる!!」

「スクープなら、あの3人でもスクープしとけば?」

 ガッツポーズする魅咲に辰羅は半分投げやりでそういった。

「よし、まずは瑠璃の占いでスクープがありそうな場所を教えてもらおう!!」

「当てにならないものに頼っている時点で、駄目だろうが!!」

 辰羅はやっぱり突っ込みキャラのようだった。

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