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第24話 (番外編) 雷の使い方

 魔法学校の訓練場は、今日も風が強かった。


「……で?」


 霧島先生が、腕を組んでこちらを見る。


「実家に帰って、風の精霊ととんでもない魔法を覚えてきたって話じゃなかったのか?」


「いや、それがですね……」


 俺は少しだけ視線を逸らした。


「風魔法は……まあ、現状維持です」


「現状維持かよ!」


 先生が大げさに肩を落とす。


「精霊の魔法を楽しみにしてたんだがなぁ……」  

 

そこで、俺は咳払いをひとつした。


「実はその精霊の魔法について先生に相談があって」


「ほう!!

そういうことは早く言いなさい!

 ここじゃなんだ、私の部屋で話を聞こうか」


先生は目をキラキラさせて足早に研究室に向かっていった。


霧島先生の研究室は、相変わらずだった。


本棚にぎっしり詰まった専門書と、

比にならないぐらい大量の漫画やラノベ。

先生はこれを全部まとめて「文献」と呼んでいる。


「で?」


椅子に腰掛けながら、先生が促す。


「何だ、そんな改まって」


 俺は少し考えてから、口を開いた。


「……先生の持ってる本で

 雷とか、電気魔法に近いものってありませんか?」


 ぴたり。


 先生の手が止まった。


「唐突だな」


 鋭い視線が向けられる。


「理由は?」


「……実は」


 俺は、夏休みの出来事をかいつまんで話した。


 弟のこと。

 雷の精霊のこと。

 神の雷の話。


「……で」


 最後に付け加える。


「雷の精霊に、雷魔法を少し教えてもらいました」


「はぁ?雷魔法だって!?

たしかに電気魔法はある…

発展系なのか?

うーん…」


霧島先生は顎に手を当てて、考え込む。

完全に研究者の顔だった。


「なんなら見せましょうか?」


「うん、面白い、ちょっと見せてみろ」


窓際へ歩み寄り、顎で外を指した。


「校舎裏でいい。

 派手なのはやめろよ?」


「わかってます」


 俺は窓を開け、外へ意識を向けた。


ーー雷撃


次の瞬間。


ーーカシャーーーンッ!!


白い閃光が走り、

 遠くの古い鉄製フェンスが一部、歪んで、表面が少し溶けた。


「……これです」


 沈黙。


 霧島先生は、しばらくそのまま外を見つめていた。


「……なるほどな」


 小さく、呟く。


「たしかに雷だ!」


 振り返って、言う。


「なぁこの鉄の棒にもう一回さっきの打ってくれないか?」


「はぁ?」


そう言われて、離れたところに設置した鉄の棒めがけて雷撃を放った。


「…!!!やはり!!かなり強力な磁石だ!!!言わば魔法的電磁石の完成だ!

これは馬郡さんとか絶対欲しがるぞ」


「先生、目が血走ってますよ!?…で、その磁石で何するんですか」


「決まっているだろ!砂鉄だよ!!砂鉄集めだ!!訓練場の砂に眠る宝を一網打尽にするんだ!」


霧島先生はまるで少年のように喜んでいる。


「……(この先生だめだ)」


「君は言わば電磁石製造人間になったというわけだな!!」


「やめてください!なんですかそれ!ダサすぎるでしょ!!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


しばらくして気を取り直した先生と俺は研究室に戻った。


 

先生は1つ咳払いをし、


「いわゆる電気魔法とは、完全に別物だな」


霧島先生は何事もなかったかのようにいつも通りだ。


「でも、ここからイメージが湧かないんです」


「ほう?」


「どう使えばいいのか、どう伸ばせばいいのか……

 いい本とか、ありませんか?」


 その瞬間。


 霧島先生の口角が、ゆっくりと上がった。


「……本、か」

 振り返り、本棚を見渡す。


「理論書には、まず載ってないな」

 指が、ラノベコーナーへ伸びる。


「となると……」


 ぶつぶつと独り言が始まる。


「…とある科……

 いや、これは……」


「先生、今、なにか言いかけましたよね?」


「聞こえなかったことにしろ

 レールガンといいつつあれは…」


そう言うとまた考え込む。


「そうか!レールガンだ!

雷を"放つ"だけが雷じゃない!」


「……?」


「雷は、加速だ」


「一瞬で、極限までエネルギーを押し出す」

 先生の視線が、俺を射抜く。


「お前、土魔法も使えるんだよな?」


「はい」


「器用なやつだ

 よし、まずはレールの設計から取り掛かろう」


 嫌な予感しかしなかった。


そしてついに…

かなり無骨なレールが組み上がった。


これがレールガン?


「とりあえず、打ってみるか」


俺達は訓練場に移動し、実験をしてみることにした。


バーーーーーーンッッ!!!

雷が流れる前に、レールが耐えきれず――

爆発した…

暴発とも言うべきか…


失敗だ…


「ところで、先生、レールガンって作ったこと…ありました?」


「ん?ないぞ

初めから上手くいくわけないだろ?」


そう言ってケロッとしている霧島先生だった。


「先生?これって…土魔法の馬郡先生にも相談してみませんか?」


僕は呆れて提案した。


「たしかにそれもそうだな。」


俺達の兵器開発はまだまだ始まったばかりだ…

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