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第18話 静かな午後

目が覚めてからしばらく、ベッドから起き上がれなかった。

 でも――(おなかすいたなぁ)


ふらふらしながらリビングへ行くと、お母さんが振り返った。


「――あら、起きたのね。おそよう」


「……おそよう? 今何時?」


「もう三時よ。何か食べる?」


「うーん……卵かけごはん食べる」


卵かけご飯くらいなら僕でも作れるけど、今日はお母さんにお願いした。

 お母さんの卵かけご飯は、ちょっと醤油が少ない。でも、それがまたおいしい。


「お、ちゃんと食べられてるな。体のほうは大丈夫か?」


ヒューイが、いつもの調子で声をかけてきた。


「ヒューイも……って、羽がボロボロじゃん!」


よく見ると、ヒューイの羽は焦げて欠けていた。


「昨日のアレだ。むしろこれだけで済んだのが奇跡だな。

 そのうち治るから気にすんな」


「……ヒューイ……」


「精霊さん、今日もいるの?」


お母さんには、僕が誰と話しているのか分かっている。


「うん。なんだか心配みたいで……ヒューイも雷獣も近くにいてくれてるんだ」


雷獣は部屋の隅で丸くなって寝ているようだった。


――ガチャ。


汗だくのお兄ちゃんが帰ってきた。


「ヒロ! 起きてきたんだな! よかった!」


「お兄ちゃんは何ともないの?

 僕、まだちょっとフラフラする」


「本調子じゃないけどな……。昨日、俺の攻撃、全然だめだったから……

 じっとしてられなくて」


そのとき――

部屋の隅から、低い声が響いた。


「いや、あの雷を防いだ防壁は見事だったぞ」


寝ていると思っていた雷獣が、片目だけ開けて言った。


「雷獣がお兄ちゃんの魔法、見事だったって!」


「……えっ!? そこに今もいるの!?」


お兄ちゃんの反応がお母さんと一緒で、思わず吹き出してしまった。


「……話が通じないのは非効率だな」


雷獣がぼそりとつぶやく。


「しょうがねーだろ! ヒロは本調子じゃねーんだ。召喚なんかさせられるか!」


ヒューイが噛みつくように言い返す。


「存在を小さくすればよかろう」


「は?そんなことできんのかよ」


「風の精霊は相変わらずだな…」



雷獣がゆっくり立ち上がり――


――バチッ。


小さな雷が走った。


……

 ……

 ……


……ちょこん。


机の上に、ぬいぐるみサイズの小さな雷獣が座っていた。


「……うわぁ、かわいい!!」


「え!? なになに!?」


僕の声に、お母さんが興味津々で近づいてくる。

 お兄ちゃんも目を輝かせていた。


「じゃあ……召喚するね。大丈夫だよね?」


「問題なかろう」


小さくなっても偉そうな口調は変わらない。それがまたかわいい。


「じゃあ――出てきて!」


――ヒュウン

 ――パチッ


「え!! これがあの雷獣!?

 超かわいい! もふもふしていい!?」


お兄ちゃんは返事も待たず、雷獣をわしゃわしゃ撫で始めた。


「こら! やめぬか!!」


「きゃーーかわいい!!」


「……俺を忘れてないか?」


ヒューイの嘆きに、みんな爆笑した。

――久しぶりに、家の中がちゃんと明るかった。

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