第四十章 決勝戦 vs千葉 隼人2
「壊されて壊されて、壊された分だけ強化されていく能力だねぇ!!」
「それ以上も出来るが、半分正解だ!!」
壊れない剣を大我が見ながらも、ニッコリと笑ってくる。
「力技なら、僕が上だよ!!」
剣は壊れないが、思い切り剣と共に振り飛ばされる千葉。背中から落ちるがすぐさま前を見て左手で持っている剣を消し、右手に持っている剣を光らせる。
「だったら、能力としては俺が上だ! 消し飛べクソガキ!!」
思い切り光っている剣を振ると、光の斬撃が飛び、大我を切り裂――、
「アニメみたいだ~~ね!!」
両鉄の棒で光の斬撃を反対側から打ち返すように振り抜き、斬撃を消し飛ばす。この行動には流石の千葉も舌打ちをした。
「(近くで放ったから威力が足りなかったか! いや、アイツは俺との距離を詰めてきた。つまり接近戦を求めている! ヤバいな、相性が悪すぎる! 能力じゃなく、戦い方の相性が!)」
真横へと走り始めながら、自ら出した全ての物体を消し跳躍。盾を出して大我を見る。すると、鉄の棒が飛んできた。
「(仕込み武器か!! あの威力を耐えられる素材って、どんな素材だよ!!)」
心の中で叫びながら、盾を足元に添え、地面から無数の剣を伸ばし盾に直撃させ上へと伸ばす。剣が壊されるが、空中に回避する事に成功した。
「これはどうするクソガキ!!」
乗っている盾の強度を更に底上げし、盾を巨大化させる。それは会場全体を覆うかの如く大きさ。もはやこっちからは見えない。だが、やるしかない!
「そういう約束だからなぁ! したっけか?」
「どっちだろうね!」
声がした、それも真上から。顔を上に上げると、鉄の棒を振り上げていた大我がいた。
「(どうやってここまで……っち! さっき伸ばしたのは俺を追いかけてんじゃなく、伸ばした仕込みの鉄状の糸のようなものを俺が出した剣の束に巻きつけて、ここまで飛んできたってわけか! しかも大きくしている最中だから、俺も必死で盾を大きくする事にしか考えてなかった! これは反省!)」
即座に盾を消し、背中に大楯として出現させる。背後から轟音と共に大楯が背中にぶつかる。壊れなくなった。壊れなくなったが、そのまま地面に落下する形となった。
「だがなぁ、こういう使い方も出来るんだよ!!」
地面から棒が出現し千葉の元へ行く。千葉がその棒を掴むと、思い切り撓りながら地面に向かって減速する。大楯は違う方向に飛んでいき消えて、大我は仕込み武器を見せて来る。そこには刃が付いていた。
「マジか!」
棒が切られ、撓っていた部分が弾け飛んだ。それでも地面に安全に着地するには十分な高さだった……が、多くの鉄の盾を出現させて足場にして、無駄な足への疲労を嫌がった。
「こんのぉ~~~!!」
真上を見れば、仕込み武器である鉄の棒が伸ばされて千葉の頭に向けて落とされていた。
「(くそが!)」
器用に盾から盾を横に次々と出現させて階段状にして下に降る。先程いた場所は鉄の棒によって破壊された音が響いた。剣を右手に作り出し光らせて、回転する千葉。
先程と同じように光の斬撃を回転しながら真上に向けて放つ。今度は距離が足りている――が、空には大我が居なかった。
「さっきの仕込み鉄の棒か!」
「正っ解!!」
斜め下から回転しながら振り上げて来る大我の鉄の棒と光る鉄の剣が接触、剣が破砕する。
「(さっきの一撃で鉄の棒を固定して自身を引き戻し、そのまま遠心力を使って俺の元まで来たか! この天才が!!)」
内心、イラつきが出ている。こうも全て見透かされているとなると、こちらの脳を動かし続けるのに疲弊が、と考える。
盾を目の前に出し、その盾から棒を斜めから出して掴み、そのまま伸ばす。大我から離れる考えだ。だが、急に棒が上に撓り始めた。何が起きたのか考えるまでもなく、やっているのは大我だ。盾を掴み、真上へと持ち上げた。いや、斜めで出したので思い切り反らしている。
つまりは――、
「(そのまま反らして会場から出す気か!? ちくしょうが!)」
棒から棒を出現させ、斜め下に伸ばす。速度は速めに、先端が地面スレスレで横に移動している所で手を放し、地面を転がるように着地し、大楯を次々と地面から扇状に広げてる。直後――、
真上から真直ぐに鉄の棒が千葉の頭に向かって振り落とされているのを見た。
「感覚でやってんじゃねぇぞ!」
扇状に出した大楯を全て消し、目の前に大楯を十枚出現させ、鉄の棒を斜めに出して固定し、鉄の棒による攻撃を受け止める。衝撃で鉄の棒が地面に埋まったが、ヒビは無い所を見れば、強度は十分であると内心頷く。
「!?」
右から何かが迫ってくる。そう感じた千葉は、脳をフル回転させ、足元に鉄の棒を出現させ斜め後ろに伸ばし、その場から脱出する。
右側から鉄の棒が飛んできて、こちらの鉄の棒と接触。振動と音が響くと、当てられた鉄の棒が戻っていく。
「上と右側から攻撃してきたわけか……。おいおい、んなのありかよ!」
千葉は決して弱いわけではない。ここまで相手を殺してきたのは能力と、その適応能力、そして膨大な経験だ。だが、相手が明らかに千葉にとって戦いにくい部類に入っている。
「(俺の見立てが間違っていたのか? いや、そもそもの話し、ここまで全てあのクソガキの手の平だとしたらどうだ? それを逆手に取る事は可能か? ……無理だ。アイツは勘でこちらを狙ってやがる部分もある。あれは俺の計算に入れる事が出来ねぇ。くっそ! 後手後手じゃねぇか!)」
千葉は考えた。今出来る事は何か。そこで、一つの事を考える。後手後手に回っているのは、自分自身が相手の動きに合わせようとしているからであると。だからこそ、千葉は狙いを定めた。
「(先手先手だとか後手後手だとかじゃねぇ。同時同時じゃなきゃ、あのクソガキは止められねぇ!)」
そう考えたからこそ千葉は、鉄の棒から降りたのちに前へと飛び出し、全ての盾や棒を消した。消した先に待っていたのは、大我が盾が消えたタイミングで振り被っている姿だった。
「(後手になったが、問題なし!)」
大楯を出現させ棒を固定具にして、振りによる攻撃を受け止める。
「おぉ! やるねぇ!」
「やっと、こうやって先手が取れるようになったってか!」
槍を出現させ、真っ直ぐ――、
「ふん!」
大我はもう一つの鉄の棒で地面を陥没させ、足場を悪くさせて千葉の動きを止める。
「これでもまだ後手か!」
「後手だの先手だの、考えてないで好きなように戦いなよ!」
「自分から殺す事を決めるって事は、頭を使わなくちゃならねぇんだよ! 誰かに頼まれて好きなように暴れられる奴はいいよなぁって言いたいぜ!」
「言えばぁ!!」
千葉は槍を消し、周りに無数の針を出現させて攻撃するが、陥没した場所の出るタイミングが他の長さと違う為に二度目の地面攻撃によって針が壊され、大我がそこに着地する。
「(なんでこうも冷静に対応出来るんだって言いたいぜ。いや、冷静?)」
大我の姿を見れば、大我は楽しそうにしている――が、疲れている様子もない? と考えて、
「(全ての行動が最小限の動きだとすれば、俺がすべきことは……なんだ?)」
「考えているねぇ~~。だけど、やっぱり違うね。僕と千葉ナントカじゃ、ともとも戦いの土俵が違うんだから!」
「土俵が、違う?」
一瞬だけ考えさせられた、ところを大我が針の山を一瞬にして破壊して千葉の前に現れる。
「っち!」
間に大楯を出現させて、攻撃を――、
「邪魔!」
突然、大楯から握り潰されるような音と共に、真横へと投げられたのを見て、千葉は一瞬だけ思考が停止した。絶対にやってはいけない、思考の停止を。
「てい!」
「!?」
声と共に聞こえたのは、鉄の棒による突き。一枚の鉄の盾を用意したが――持ち方が違った。掴んでいるのではなく、手の平で回転させながら押し込んできた。それには盾は壊されず貫通し、
とうとう、一撃をくらってしまった。
「っぐふぅ!?」
そのまま背後へと吹っ飛び背中から落ちるが、巨大な盾と棒による全体を覆い隠すような形を作り、大きく深呼吸をする。前方から攻撃をしてくる音が聞こえるが……精神的に追い詰めてきている。
「(一発喰らっちまった。しかも直撃、一点張りの直撃。腹に穴が開いてないのが唯一の救いだが……こりゃあキツイ。だが、こっちもやられっぱなしは好きじゃねぇから、一発は返してぇけど――)」
「うりゃ!!」
外から大我の声が聞こえたと同時に、盾にヒビが入る。まだなのか! まだ足りないか!
「(流石に力関係の能力者だとしても、ここまで可能なのか? 制限ってのがあるだろうが普通! 俺の能力にだって制限があるっての――!?)」
そこで、ある一つの仮説を立てた。ただ、これはあってはならない仮説だ。だからこそ、考えたくはなかった。だが、考えなければならない。それは――、
「素の力か!!」




