第二十五章 優雅な昼下がり2
今日の一日は、朝の六時から始まる。朝起きて、歯を磨き、料理をして、テレビを見ながら食事をする。そんな一日の始まりが私にとってはとても嬉しい。
朝の七時頃には外を散歩して、いつも歩いている道で変わらない日常を感じて、
七時半には小学校の前を通りながら、横を通り過ぎる小学生と少年を見ながら、今日も元気だなぁと考える。
そんな事を考えながら八時には自宅に帰宅し、朝からシャワーを浴びて軽く汗を流して、身体を拭きつつもリビングで一つの資料を見て、準決勝の相手を見て、笑顔になる。
そんな、最高の始まり方が暫く続くのだ。その日が来るまで、私は待ち遠しい。
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こんにちは。
「やぁ、こんにちは。今日もお一人で?」
一人行動が好きなので。前回は少しだけ突っ込んだお話しをしてしまいましてもうしわけありません。同席、失礼します。
「いいですよ。お! 今日は私と同じランチセットですか!」
えぇ、お得だったので。今日は簡単な会話をしようかと思いまして。邪魔になりますか?
「いやいや、そんな事ありませんよ。一緒に食べましょう。そちらはホットドックですか。私はサンドイッチでしたよ」
おっと、既に食べ終えて紅茶だけになってましたか。
「今日は早めに休憩をいただきましてね。ゆっくりと子供達の声を聴きながら紅茶を飲んでいたところです。勿論、おかわりはしますよ?」
ここの紅茶は美味しいと聞きましたからね。けど、珈琲も中々美味しいですよ。
「でしょ? 私も数週間前は珈琲だったんですが、知り合った小学生のお母様が、ここの紅茶のティーパックをくださいまして。それからハマりましたよ、ここの喫茶店の紅茶に」
成程。後で買って見ようかな。何かおススメはありますか?
「そうですねぇ。ダージリンもいいですが……ちょっと高くはなりますが、お試しセットが一番分かりやすいかと思いますよ? 私もそれを買って、やっぱりここのダージリンだなと思いましたから」
ほぉ~~。後で買ってみましょう。おっと、サンドイッチ失礼します。
「いいですよ。ここのサンドイッチはとても美味しいんですが、カツサンドがやっぱり一番ですかね。ここのお店の横にお肉屋さんがあると思うんですが、家族絡みでの経営になってるんですよ。ここの喫茶店の店長とオーナーは、隣のお肉屋さんの息子夫婦でして、小学生の子供が二人、今聞こえている小学校に通っているそうですよ? 前にお会いしたことがありましたが、とても可愛い男の子二人組でした。元気があっていいですね」
そうなんですか? 前も今もそうですが、子供好きなんですか?
「私ですか? そうですねぇ。人並み~~ですかね。けど、元気よく遊んでいるのはいいじゃないですか。それに、ほら、ここって怪しい人が出るってお話し、聞きました? 怖いですよね。私、夕方歩いているので、誰か怪しい人はいませんでしたか? って聞かれる事が多くて」
成程。確かに怖いですね。ただ、噂だけっていう可能性もあるじゃないですか?
「そうなんですけど、とても恐ろしいじゃないですか。未来がある若者を狙うだなんて、なんて恐ろしいんだろうかって」
本当ですね。
「確か、三つ先の隣町で、高校生の男の子が行方不明になったって聞きましたね。勿論、知り合った奥様方から聞いた話なんですが」
虐められていて、誰も助けてくれないから家出した可能性もありますよね?
「そうなんですよね。ただ、その高校生と一緒に、小学生の男の子も行方不明になったとか。なんか怖いですよね……」
今の高校生が何をするか分かりませんからね。いや、それは言っちゃ駄目ですね。
「いえいえ、全然言っていいと思いますよ。今の時代だからってわけじゃないですけど、風化させてはいけない事です。貴方の言っている事は当然、言いたくなる事ですよ」
ありがとうございます。話しを変えましょうか。
「ですね。折角の食事が台無しだ。折角のBGMも台無しになってしまいますから」
確かに、ここのお店の音楽はクラシックでいいですよねぇ。
「ん? あぁ、そうですね。確かにとてもいい音楽です。あ、すみません、ダージリンのお代わりを。――はい、はい、それで大丈夫です。お願いします」
今日は休憩する時間が長いんですか?
「いえ。あと一杯飲み終えたら、仕事に戻りますよ。にしても、ここは本当に良い街ですね。職場も良くて、人も良くて、とても気に入ってますよ」
へぇ~~。元々はここの人じゃないんですか?
「はい。別の県で働いていたんですが、そこが倒産してしまいまして。その前も、その前も。いやぁ~~、不運に見舞われてますよ。倒産する度にこう、色々と移動をしてきて、やっと落ち着いたって感じですね」
なるほど。渡り鳥みたいな感じで他の所に飛んでいくんですね?
「渡り鳥だったら、元の場所に戻りますよぉ。今の私は、元の場所には戻れないですから」
どうしてですか?
「簡単に言えば、家がないんですよね~~。実家、今は無いので」
あぁ~~、なるほど。あ、また深入りしちゃいましたね……。
「全然大丈夫ですよ、気にしないでください。あ、ありがとうございます。このダージリンを飲んだら、仕事に戻りますので」
そう言っていただきまして、ありがとうございます。それにしても、小学生の声が凄いですね。私も昔は、よくサッカーとか鬼ごっこをしていましたね。
「いいですねぇ~~。私も若い頃は陸上部なので、鬼ごっこはやらせてもらえませんでしたけど、サッカーは誘われましたね。私、キック力には自信がありませんので」
あっはっはっは。そこまで自信持たれると、逆に気になっちゃいますね。今も運動しているって事は、やっぱり走っていた頃の名残とかですか?
「そうですね。ほら、社会人枠でも陸上ってあるじゃないですか。あれに参加してたんですよ、私。そんなに速いわけではないですが、持久力はありますね。今は簡単なお仕事になってますけど、持久力を使うお仕事でもありますから、今も役立ってますね」
持久力を使うお仕事ですか。なんか言葉で聞くと、耐久力みたいな感じですね。
「確かに。私は最近のゲームとかしないんですけど、昔はゲームもハマってやってましたねぇ。主に格闘ゲームでしたけど。結構強かったんですよ?」
ほぉ、格闘ゲームですか。青春していたって感じですね~~。友達とですか?
「えぇ、そうですよ。いや、友達の家に遊びに行った時は、小学生の弟さんがいたっけ。とても可愛かったなぁ~~。こう、一生懸命指を動かして勝とうとしているんですよ」
成程。確かにそういうゲームは男の子好きですよね?
「今は女の子も好きなジャンルですけどねぇ。けど昔は違いましたねぇ。時々、少女向けのゲームをやっている男の子とか居て、どうして好きなの? って聞いたら、可愛い服を着ている姿が好きって答えたんですよ。可愛いですよねぇ~~。けど、昔は馬鹿にされてましたよね? 確か」
男の子なのにぃ、みたいなのはありましたね。そういう弄りみたいなの。
「そうそう。あれは可哀想だったなぁと。私はわりと好きな方だったので、全然問題ないんですけどね? 今は男の子でも、”むすめ”と書いて”こ”と読む男の娘ってのがあるんですよね? 不思議な文化ですよねぇ」
そうですね。男性でも女装する時代ですし、それで生計を立てている人もいますからね。馬鹿には出来ませんよ。
「オカマってやつですよね? 私も最初は、こ~、なんていえばいいんだろう。毛嫌いじゃないんですけども、なんかこう、今みたいな奇麗じゃないんですよね? こう、男が女の服を着て、そのままメイクをしてって、汚いイメージが先行していましたよね。今となっては、オカマは最強! みたいな感じでありますけどね」
そうそう。面白い方が滅茶苦茶いますし、今は受け入れられている感じですよね。
「えぇ。そうやって皆から評価されて、時間と共に面白い人達、とか、とても頼りになる、とか、色々とね、言われるようになってますから」
大丈夫ですか? 何やら息切れを起こしているようですが……、
「恥ずかしながら、そういうのにちょっとトラウマがありまして。あぁ気にしないでください。人間、色々と判断が難しい事がありますから。少ししたら落ち着きますので、ご安心を」
「ふぅ~~。すみません、数分くらい時間経っちゃいましたね」
全然大丈夫ですよ。あ、お仕事の時間は大丈夫ですか?
「えぇ、大丈夫です。ダージリンを飲んで、スッキリとさせましょう」
そうですね。おっと、丁度良く? 珈琲がなくなりましたね。
「では、今日は私に奢らせてください」
いいんですか?
「いいんですよ。では、お会いしましょう」
はい、また。




