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悪役令嬢に転生した格闘家、再び最強を目指す  作者: 葛西渚
第2章 英雄の意志を継ぐ薔薇
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これは良い流れ!

 プロヴィデンスの前日。この日も、学園では平穏な時間が流れ、スコットたちは無事に屋敷へ戻ってきた。敵に動きはなく、逆に嫌な静けさと言えるが、今は明日に向けて備えるだけである。



「明日の動きについて、しっかりと話し合っておこう」



 夜、スコットは仲間たちとエドガーを自室に集めた。



「前回と違って、今回はデュオフィラ選抜戦の公式プロヴィデンスだ。しかも、第一トーナメントとなると、開会式がある」


「開会式があると何か違うことがあるのですか?」



 質問はエドガーのものだ。スコットは頷く。



「開会式では調印の儀式が行われるんだ。これには、擁立者とロゼスが揃っていなければならない。つまり、どちらかが時間に遅れるようなことがあれば……失格だ」


「となると、敵は足止めを仕掛けてくるかもしれないな」



 アーサーの指摘に、スコットは頷く。



「その通りだ。普通の敵であれば、シラヌイ殿が排除してくれるのだろうが……彼女だけに頼るわけにはいかない。そうですね、シラヌイ殿?」



 今度はコハルが落ち着いた様子で答えた。



「はい。私は公開練習の日、トライアンフ学園の陣営が雇った傭兵と交戦しましたが、かなりの戦力を有していました。そのため、私はやつを抑え込むことで手一杯になると考えれます」



 それに対し、アーサーが低く唸る。



「だとしたら、トライアンフ学園の陣営がさらに一手、シラヌイ殿と同等の戦力を持ち出しているとしたら……厄介なことになるな」


「さすがに、そんな戦力を揃える資金力があるとは思えませんわ。コウヅキ家だって難しいことですから」



 ジュリアの言うコウヅキ家も困難である、という主張はなかなか説得力のあるものだった。スコットは頷く。



「だとしたら、後は寄せ集めの兵……と考えた方がいいだろうな」


「しかし、だからこそ足止めを仕掛けてくる可能性があるのではないか」



 アーサーの発言で話は最初に戻る。



「その場合は、僕とアーサーで一点突破を狙おう。余計な戦いは避けて、学園まで駆け抜けるんだ。ジュリアは前回と同じように、後から一緒にきてくれればいい」


「僕はどうすれば?」



 エドガーも第一トーナメントを観戦するため、命がけでスコットに同行しなければならない。



「もちろん、エドガーも一緒だ。僕の後ろから離れるなよ」



 緊張の面持ちで頷くエドガーを見て、スコットは大した男だ、と感心する。自分よりも五つ以上も下の子どもが、強さとは何かを学ぶため、命をかけようとしている。彼がカーライル家を継ぐのなら、フロストウィック領は安泰かもしれない。



「前回のように数で囲まれることがなければいいのだが……」


「やめろ、スコット。不安を口にすると現実になるぞ」


「むっ、君こそ不吉なことを言わないでくれ!」



 スコットとアーサーが嫌な予感を振り払おうとしていると、意外な人物が顔を出した。



「スコットー? あら、まだ会議中だったかしら」



 セシリアである。



「母上、どうしました?」


「それがちょっと見てほしいものがあって。一緒に外まできてくれない?」



 外へ出てみると、屋敷の周りに倒れる多くの人が。セシリアは迷い込んだ犬の対処で困ったかのように言うのだった。



「うちに押し入ろうとした人がたくさんいたみたいで。でも、この通り全員セキュリティに引っかかって失神しているわ」


「これは……トライアンフ学園の陣営が放った刺客に違いない!」


「ああ、運良く向こうの戦力を裂けたということだな」



 スコットとアーサーは二人で侵入者たちを拘束する。



「今日ほど母上が味方でよかったと思えた日はない」



 一仕事を終えて胸を撫でおろすスコットだが、アーサーは油断は禁物だと主張する。



「しかし、避けては通れない敵が二人いるだろう」


「クレインとイーリアか」



 その二人さえ突破してしまえば、学園まで辿り着けると言えるだろう。だとしたら、スコットには自信があった。



「僕の見立てではクレインはそれほどの魔力を備えていなかった。かと言って剣士や戦士と言うタイプではない。一騎打ちであれば勝つ自信はある」


「向こうが足止めに専念してきたら?」


「彼だって開催式に間に合わなければ失格だ。無茶な足止めはしてこないだろう。あとは君がイーリアを確実に退けられれば……僕たちの勝ちだ!」


「ふっ、それはなかなかのプレッシャーだな」



 そう言いつつも、アーサーは何かやってくれそうな表情であった。いや、そうでなくとも、そういう顔をする男なのだが、今回ばかりは何かしてくれそうな気がする。


 スコットは明日の戦いに自信をもって望める気がしていたが……


 このデュオフィラ選抜戦は誰もが命がけであり、彼が考えるほど簡単なものではないのだった。

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― 新着の感想 ―
アーサーには秘策があるんですかね?あと、エドガーがなんかやらかす気配がプンプンして心が落ち着きません!ジュリアとコハルの絆がよき…!
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