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悪役令嬢に転生した格闘家、再び最強を目指す  作者: 葛西渚
第2章 英雄の意志を継ぐ薔薇
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アーサーの直感

「敵は二人か……」


 アーサーは敵の数を確認した後、いまだに大きい体を縮こまらせたスカーレットを見る。


「今ならファンの期待に応えられるかもしれんぞ? どうする?」



 そんな問いかけにも、スカーレットは反応しない。アーサーは笑みと同時に一息吐きながら、腰に下ろした剣に触れた。



「仕方ない。どうやら、グリムウッドの剣を見せるときがきたようだ。イーリア」


「はい!」



 反射的に返事するイーリアの愛らしさに目を細めながら、アーサーは注文する。



「君がいれば、俺も戦えるはず。何か声をかけてくれないだろうか」


「声を、ですか?」


「ああ、つまり……応援してくれ」


「もちろんです、アーサー先輩。頑張ってくださいね! 私も魔法で援護しますから」



 満足そうに頷くアーサー。剣の柄を握り締め、外へ出ようとするが……。


「どうしたのです??」


 いつまでも動かないアーサーに、イーリアは首を傾げた。



「いや、なんだか妙な感じがするんだ」


「妙な感じ?? あ、敵がきてしまいますよ!?」


「気にしている暇はない、か。アーサー・グリムウッド、出る!」



 勢いよく空き家から出ていくアーサー。彼の剣技が敵を打ち払うと思われたが……。



「せいやっ!!」


 敵の一人が突然前飲めるに倒れる。どうやら、アーサーではない何もかが、背後から不意打ちを仕掛けたらしい。もう一人の敵も振り返るが、少し遅かった。


「もう一丁!!」



 さらなる不意打ちによって倒れる敵。結局、アーサーが剣を振るうことはなかった。そして、突然現れた援軍は……。



「ジュリア嬢!」


「やはり、アーサー先輩でしたか。運よく合流できましたわね!」



 別でエドガーを探していたジュリアだったが、偶然合流できたらしい。ただ、彼女と一緒にいるはずのコハルの姿がなかった。



「シラヌイ殿は?」


「トラブルで別行動です。スコット先輩は??」


「スコットも別行動だ。が、エドガーは確保したところだ。ただ、敵の襲撃が続いてな。どうすべきか、迷っていたところだ」



 ジュリアは空き巣の中を確認する。


「あの派手な頭は……まさか、アイアン・スカーレットですか??」


 アーサーが頷いて肯定するが、ジュリアは混乱したようだった。



「どういうことです?? 彼女がいれば、あの程度の敵は撃破できたはず。逃げ回らないで、会場に戻ればよかったのに」


「それがだな……」



 アーサーはスカーレットのメンタルについて説明すると、ジュリアは珍しく嫌悪感を見せた。


「はぁ? 怖くて動けない、ですか??」


 やや挑発的な響きが含まれているが、それでもスカーレットは動かない。そんな彼女にジュリアは容赦なかった。



「どんなに怖くても、敵に立ち向かうのが戦士と言うもの。それがファンの前ですら強がれないなんて、グロリアスターとしての誇りはないのでしょうか?」



 やはり動かないスカーレットにジュリアは呆れたように肩をすくめるのだが、すぐに鋭い表情を取り戻す。



「アーサー先輩、まだ安心できる状況ではないようですね」


「ああ、これは参ったな……」



 どうやら、敵は先程の二人だけではなかったらしく、いつの間にか空き家は男たちに囲まれていた。



「あの、アーサー先輩。先程から気になっていたのですが、そこにいるのは例の女性では?」


「ん? ああ、イーリアのことか」


「彼女がいる、ということは……先輩は全力を出せる、という認識で間違いありませんか?」


「……いや、それがだな」



 何かを言い聞かせるアーサーだったが、何かを察知したように、急に俊敏な動きを見せた。ジュリアの背後に向かって、手を伸ばしたのである。



「やはり、トライアンフ学園側の人間だったか」



 アーサーがジュリアの背後に向かって問いかける。何があったのか、とジュリアが振り返ると、そこには……イーリアが立っていた。しかも、彼女の手にはナイフが握られているではないか。


 どうやら、背後からジュリアの命を狙おうとしていたらしい。



「な、なぜ……分かった?」



 完璧なタイミングによる一刺しを見抜いたアーサーに驚愕した様子のイーリア。それに対し、アーサーはほのかに微笑むのだった。



「理由はたった一つ。君に応援されても、俺は全力で剣を振るうことができなかった。……それだけさ」

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― 新着の感想 ―
アーサーすごい!彼の直感冴えてますね!と感心してる場合じゃないw ドヤ顔で言うところじゃないよ!とツッコんでしまいました!
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