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大事なこと

作者: みやふぇる

「ねえ、人が人を好きになる時に1番大事なことってなんだと思う?」

ティーカップを置きながら彼女はそう僕に尋ねる。

「相性とか、共通の趣味とか、好きなところとか、そういうこと?」

テラス席から見える風景に目をやりながら少しだけ考えて思いつくことを伝えてみる。

「残念。1番大事なことはあなたと私は他人ですって認識することよ。」

僕の回答は彼女にとって想定内のものだったようであまり残念とは思っていない口調で彼女は続ける。

「同じ人ではないから考え方が違っていても、価値観が違っていても当然のことなの。」

彼女の言う通りそれは当然なことだと思う。

「それは当然のことだと思うけど?」

僕は紅茶で喉を潤しながら彼女に聞き返す。

「それがね、そうでもないの。恋人だから同じことを考えてるとか、好きあってるから価値観が同じと考える人が多いのよ。だから、しっかりと言葉を重ねて思っていることを伝え続けないといけないの。」

空になった自分のティーカップを眺めながら彼女は答える。

「ところで、私のティーカップが空なんだけど、あなたは私に何をするべきだと思う?」

僕の目をイタズラっぽい笑みを浮かべながら聞いてくる。

「今、思っていることは言葉にしないと伝わらないよって話をしたばかりじゃないの?」

そう言いながら僕は彼女のティーカップに紅茶を注ぐために席を立ち紅茶を注ぎやすい場所へと移動する。

「違うわよ。これは私の心をわかってほしいと好きな人に願うわがままというものよ」

思いを伝えることも大事だけれど、それと同じように相手を思いやりながら行動することも大事なことなんだろうな。

木漏れ日が射し込み花のように微笑む彼女の眩しさに紅茶を注がながらそう思った。

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― 新着の感想 ―
[一言] 彼女の茶目っ気のある語り口と、その彼女の言葉を穏やかに受け止める愛情ある僕の会話のほんの一部分からでも見える魅力がとても素敵でした。 情景が目に浮かぶ様な眩しい物語でした、これからのお話しも…
[一言] 男性のキャラと女性のキャラはそれぞれ性格は違いますが、とても良い時間の積み重ね方や感受性を持って生きてきたのかなぁと感じました。外でティータイムしてみたくなりました。有難うございます。次回作…
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