表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

子供返り

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

子供の時間が無いままに大人になると、反動が来る。

それは箍が弾け飛んだ瞬間。


普段大人しくて、大人びている子が、泣いた時だけ子供のようになるのは、きっと幼少期に甘えられなかった反動だと思うんだ。

ん、こんばんは。私の名前は皆知っていると思うから、あえて割愛を。まぁ、臆病なあの子が気を使って言わせないだろうけどね。ふふふ。あの子、揶揄うと、とても楽しい反応するんだよ?

まぁ、冒頭に戻って。私がこの話をしたのはね、ついこの間、社に来た子を見てからなんだ。その子は何時も良い子だよ。我儘も言わないし、素直だし。でも泣く時だけは駄々っ子の様に泣くんだよね。歯を食いしばって、唸り声を上げて、癇癪を起こすんだ。

我慢、させられていたのかなぁって。声を上げたら否定されて。痛いって言ったら、痛くないって言われて。大したこと無いって言われて。だからきっと誰にも甘えずに、誰にも頼れずに此処まで生きて来たんだろうなって。

良くないね……。とっても。君にしかその辛さは分からないのに。悲鳴を上げられるのは他でもない、君でしか無いのに。

ん? 何故そう思うのかって? 何となく。特に理由とかはないよ。

だから初めてあの子が此処で泣いた時、一つだけ約束をしたんだ。好きな事を言っていい、思った事を言っていい。辛かったら辛いと言って良い。子供である時間が少なかった君への時間だよ。でも死にたい。なんて事を言ったら全力で止めるからね。全力で君を生かすよ。ってね。

その後も泣いていたなぁ。歯を食いしばって、唸り声を上げてた。それから黙ってしがみついて、長い間そうしていた。そうしたら、すっきりした顔をして、去っていったよ。また会った時に様子を聞いたらね、帰ってから眠ったって。よく眠れたって。

さてと……ん? なんで抱き締めるのかって? だってそれは――。


目が覚める。瞼が腫れていて塩っぱかった。何か……優しい夢を見た気がする。泣いても良いんだよ? 辛かったら、苦しかったら、声を上げて縋って良いんだよ? 辛さは君しか分からないんだからって。そう言って、黙って抱き締められた気がする。

本日の曜日を確認する。幸いにも休日で会いたいと思った方に会える。だから手早く準備をして、私は家を飛び出した。

「また会ったね」

梅香の君だった。春の日差しの様な笑顔で私をすっぽりと抱き込むと、頭を撫でる。

「夢の中で……話を」

「前にも言っただろう? 好きな事を言っていい。思った事を言っていい。辛かったら辛いと言っていい。子供の時間が少なかった君への時間だよって。そうしたらた抱き締めて、寄り添ってあげようって」

そう言って梅香の君は泣くのを許して下さった。歯を食いしばって、唸り声を上げる私を、許して下さった。

子供の時に、大人である事を強制された人って、一体何時子供に戻るのかと。


※こんな事位で泣くんじゃない。高々それくらいで騒ぐな。

とか頻繁に言われていた方々。


他者から大人である事を強制されているから、傍から見れば大人びて見えると思います。

でも(わだかま)りを抱えて生きているので、ふとした瞬間に堰を切って子供に戻ってしまうのではないかと。

怒りとか、悲しみとか、一番素に戻りやすい感情なので。


梅香の君を登場させたのは、そろそろ出したかったのも勿論。

けれども揺籃から墓場まで精神で、受け入れてくれそうな気がしたから。

何度でも言いますが、理想のカウンセラーだと思っているので。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ