子供返り
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
子供の時間が無いままに大人になると、反動が来る。
それは箍が弾け飛んだ瞬間。
普段大人しくて、大人びている子が、泣いた時だけ子供のようになるのは、きっと幼少期に甘えられなかった反動だと思うんだ。
ん、こんばんは。私の名前は皆知っていると思うから、あえて割愛を。まぁ、臆病なあの子が気を使って言わせないだろうけどね。ふふふ。あの子、揶揄うと、とても楽しい反応するんだよ?
まぁ、冒頭に戻って。私がこの話をしたのはね、ついこの間、社に来た子を見てからなんだ。その子は何時も良い子だよ。我儘も言わないし、素直だし。でも泣く時だけは駄々っ子の様に泣くんだよね。歯を食いしばって、唸り声を上げて、癇癪を起こすんだ。
我慢、させられていたのかなぁって。声を上げたら否定されて。痛いって言ったら、痛くないって言われて。大したこと無いって言われて。だからきっと誰にも甘えずに、誰にも頼れずに此処まで生きて来たんだろうなって。
良くないね……。とっても。君にしかその辛さは分からないのに。悲鳴を上げられるのは他でもない、君でしか無いのに。
ん? 何故そう思うのかって? 何となく。特に理由とかはないよ。
だから初めてあの子が此処で泣いた時、一つだけ約束をしたんだ。好きな事を言っていい、思った事を言っていい。辛かったら辛いと言って良い。子供である時間が少なかった君への時間だよ。でも死にたい。なんて事を言ったら全力で止めるからね。全力で君を生かすよ。ってね。
その後も泣いていたなぁ。歯を食いしばって、唸り声を上げてた。それから黙ってしがみついて、長い間そうしていた。そうしたら、すっきりした顔をして、去っていったよ。また会った時に様子を聞いたらね、帰ってから眠ったって。よく眠れたって。
さてと……ん? なんで抱き締めるのかって? だってそれは――。
目が覚める。瞼が腫れていて塩っぱかった。何か……優しい夢を見た気がする。泣いても良いんだよ? 辛かったら、苦しかったら、声を上げて縋って良いんだよ? 辛さは君しか分からないんだからって。そう言って、黙って抱き締められた気がする。
本日の曜日を確認する。幸いにも休日で会いたいと思った方に会える。だから手早く準備をして、私は家を飛び出した。
「また会ったね」
梅香の君だった。春の日差しの様な笑顔で私をすっぽりと抱き込むと、頭を撫でる。
「夢の中で……話を」
「前にも言っただろう? 好きな事を言っていい。思った事を言っていい。辛かったら辛いと言っていい。子供の時間が少なかった君への時間だよって。そうしたらた抱き締めて、寄り添ってあげようって」
そう言って梅香の君は泣くのを許して下さった。歯を食いしばって、唸り声を上げる私を、許して下さった。
子供の時に、大人である事を強制された人って、一体何時子供に戻るのかと。
※こんな事位で泣くんじゃない。高々それくらいで騒ぐな。
とか頻繁に言われていた方々。
他者から大人である事を強制されているから、傍から見れば大人びて見えると思います。
でも蟠りを抱えて生きているので、ふとした瞬間に堰を切って子供に戻ってしまうのではないかと。
怒りとか、悲しみとか、一番素に戻りやすい感情なので。
梅香の君を登場させたのは、そろそろ出したかったのも勿論。
けれども揺籃から墓場まで精神で、受け入れてくれそうな気がしたから。
何度でも言いますが、理想のカウンセラーだと思っているので。