親との会話
少し笑いが少なめです。
漫才部に入部して1か月がたった。
漫才部の活動は放課後に部室に集まりスマホでプロの漫才師の動画を見る。そのあと各コンビのネタ合わせをし、最後にまた部室に集まって今日の進み具合を報告する。これの繰り返しだ。
「二重先輩、丸先輩、今日はどうでした?」
「何とか文化祭でやるネタは決まったって感じかな」
二重先輩と丸先輩は俺たちの一個上、2年の先輩で二重丸というコンビを組んでいる。
「そういえば高田は親に漫才部入ったって報告したのか?」
「あー、してないですね」
「絶対しといたほうがいいぞ、珍しい部活だし中々理解してくれないからな」
「やっぱそうですよね」
「俺も報告した時はめちゃめちゃ喧嘩になってな、結局許してくれたけど」
「いや丸めっちゃ心配してたじゃん、親父がめっちゃ怒ってるって毎日学校で聞かされてたよ」
「おい!それ言うなよ!」
二重丸先輩2人で笑っていた。でも丸先輩の言う通り親にはこの部活のこと言っておくべきなのかもしれない。
「田沢は親に言ったのか?」
携帯をいじり出した田沢に聞いてみた。
「うん言ってあるよ、簡単に許してくれた。まあ中学生の時は帰宅部だったからね、部活入っただけでも嬉しいんだと思う」
「そうか、良かったな」
「うん!」
田沢は満面の笑みで答えた。俺はサングラスをかけた。
「何してんの?」
「その笑顔が眩しすぎて…髪切った?」
「一本に絞ってくれないかな!」
そんな話があった日の夜。俺は親に今の部活を打ち明けることにした。
「母さん、父さん」
「どうした?」
「そういえば俺、部活入ったんだ」
「そうか、何部なんだ?中学の時少しやったバスケ部か?」
「いや違うんだ」
「嫌ねお父さん、中学の時できなかったサッカー部に決まってるでしょ?ねぇ?」
「いや違うんだ」
「じゃあ何部なんだ?」
俺は濁さず、素直に話した。
「漫才部なんだ」
「漫才部だと?」
食卓が静かになった。流れているテレビの音だけが聞こえていたが、急に父親が席を立ちテレビを消した。
「何でその部活に入ったんだ」
父からの質問。少し怒ったように聞いてきた。俺は4月からのことを最初から説明した。
「そんな部活に入って将来は大丈夫なのか」
父親の第一声はこれだった。俺はその質問に自信を持って答えた。
「将来お笑い芸人になろうなんてまだ考えてないよ、まだ入ったばっかりだけど楽しくて3年間やってみようと本気で思ってるんだ」
父と母は顔を見合わせた。少しの沈黙が続き父が発言した。
「そうか、お前が何かを続けるって事は初めてだからな、やってみればいいんじゃないか。でも将来はちゃんと考えろよ」
「ありがとう、俺部活も頑張るから」
「お母さんはいつでも応援してるからね」
「ありがとう!」
次の部活の時、俺は親の許しが出たことを部員のみんなに言った。
「良かったね高田くん!これで思う存分部活ができる!」
「おう、これからは部活漬けの毎日だ!」
「いや勉強もやれって言われたんでしょ、テストも近いよ?」
「あー…田沢、勉強教えてくれ」
「そうなると思った!」
いつものように会話していると部長が全員を呼んだ。
「高田も親の許可が出たと言う事で!来週の土日も部活をやる!」
「あれ行くんですね?」
二重先輩が察したように話した。
「何するんですか?」
田沢が部長に聞くと待ってましたとばかりに口を開いた。
「ライブを見に行きます!!」
部長が勢いよく言い放った。
「ライブ!?」
俺と田沢の目がキラキラと輝いた。初めて生で漫才を見る!そう思うとワクワクが止まらなかった。ドキドキも止まらなかった。気持ちがマシマシな感じでピカピカだった。
「擬音うるさいな!分かったよ!」
「あぁ、ごめんごめん」
「というわけで、来週駅前に16時集合な」
「わかりました!」
今から来週が楽しみになった。
ここまで読んでいたどきありがとうございます!
まだ続かせたいです。
きんたつ。