98 禁断の男子トイレ!
九十八話 禁断の男子トイレ!
昼休み。 オレはメールで西園寺を図工室前のトイレに呼び出す。
「どうしたの福田くん」
西園寺が駆け足でオレのもとへ。
「とりあえずここじゃ誰か来るかもしれないからこっちきて」
オレは西園寺を男子トイレに誘導。
奥の個室に入り鍵を閉めた。
◆◇◆◇
「ーー……で、私に何か用なの?」
西園寺が少し顔を赤らめながらオレに尋ねる。
「どうした西園寺、顔が赤いぞ」
「あ、いいの。 気にしないで」
「わかった。 あのな……」
オレはクラスの歯抜けこと柳が西園寺のことが気になっていることを伝える。
「えっ!?」
「し! 声が大きい」
「ご……ごめんなさい」
「ーー……で、どうだ?」
「え?」
オレは西園寺を見つめながら尋ねる。
「西園寺、お前は柳のこと好きか?」
「そんな、気にしたこともなかったし……言っちゃうと顔も出てこないよ」
「よし、わかったありがとう」
「ーー……え?」
オレは頭上にはてなマークを浮かべている西園寺に顔を近づけ、耳元で囁く。
「実はな、お前に手伝って欲しいことがあるんだ。 やってくれるか?」
「ーー……」
ーー……ん?
西園寺の返事がない。
オレは一旦顔を話して西園寺の顔を確認する。
するとーー……
「はぁ……はぁ……」
西園寺は足を内股に……細かく震わせながら顔を真っ赤にしてオレを見つめている。
「どうした西園寺。 息荒くないか」
「な……なんでもないよ、で、なに?」
「だからな……」
オレは再び西園寺の耳に顔を近づけ協力内容を伝えようと試みる。
しかし……
「ーー……!!!」
オレが顔を近づけると西園寺の身体がびくんと反応。
「お、おいどうした西園寺」
「わ、分かんない……なんか耳に息がかかると身体が熱くなってビクってなるの。 なんだろうこれ……」
西園寺が息を整えながら自身の耳に手を当てる。
「ーー……!!!」
まさか西園寺お前、耳が感じ……ゲフンゲフン!!
「いや、なんかごめんな。 この距離で小さく話すから聞いてくれ、オレが柳に……」
「福田くん」
西園寺がオレの話を止める。
「なんだ?」
「その……もう1回ここで喋って」
「ーー……え?」
西園寺が再び息を少し荒げ、何かを期待しているような目でオレを見つめながら自身の耳を指差す。
「えーと……なんで?」
集中できないんだったらわざわざそこで囁かなくてもーー……
「さっきの……身体がビクってなるけど……気持ちよかった。 ねぇ、もう1回」
「ーー……!!!!」
そうだ……こいつ久しぶりすぎて忘れてたけど、超がつくほどのドMだったんだ!!!!
気づいた時にはもう遅い。
もはやこれは西園寺が満足いくまで続けない限りオレの話をちゃんと聞きそうにないぞ。
「ったく、仕方ねーな。 満足したらオレの話ちゃんと聞けよ」
「うん」
「あと、絶対に声を出すな? お前ここが男子トイレの中だってこと忘れるなよ。 バレたら大問題だからな」
「ーー……そう言われると、もっとゾクゾクするね!!」
西園寺の瞳に一層の光が宿る。
「!!!」
やっちまったああああ!!! ドM魂を加速させてどうすんだオレええええええ!!!!
こうしてオレは西園寺の声が漏れないように念の為、口に手を当てて耳元囁きを開始。
それから西園寺が満足するまで大体20分かかったのだった。
もう昼休み、時間ねえじゃねえぁああああああ!!!!
とりあえず真面目キャラを崩したくないので授業に遅れるのだけは避けたかったオレは今夜電話で要件話すことを伝え、西園寺の手を引いてトイレを出る。
しかし……
「ちょ、ちょっと待って……足に力が入らなにゃい……」
「ほら! 早く行くぞ!」
「あ、ちょっと待って。 戻る前におトイレ行かせて……」
「時間ねえんだよ!! んなもん授業中にでも行ってこい!!」
「あ、だめ……力入らにゃいからちゃんと歩けにゃい……」
「このド変態があああああああ!!!!」
オレは西園寺を背負って保健室へダッシュ。
保健医がいなかったのでベッドに西園寺を寝かせ、オレは猛スピードで教室へ戻ったのだった。
お読みいただきありがとうございます! 久々に西園寺さん登場しました☆
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