96 ドキドキが止まらねぇ!!
九十六話 ドキドキが止まらねぇ!!
エマから突然の告白を受けたオレはエマの手を掴んでダッシュで帰宅。
そのままエマを自分の部屋へと連れ込む。
「ちょっとどうしちゃったのダイキ。 エマ早く帰りたいんだけど」
エマが自分の部屋のある上の階に視線を向ける。
「いや、それよりもさっきのお前の言葉だ! あれマジなのか!?」
オレは額から大量の汗を流しながらエマに顔を近づける。
「え……ダイキ、エマのあの言葉信じてくれるの?」
おそらくどうせ信じてくれていないものだと思っていたのだろう……エマは目を大きく見開いてオレをまっすぐ見つめる。
「今のところ8割くらいかな。 ていうか本当にガチ?」
「う、うん!! ガチ! ガチだよ!!」
オレが前向きに信じようとしていることが余程嬉しかったんだろう、エマは嬉しそうに口角をあげながら何度も大きく頷く。
「えっと……再確認するぞ。 お前はエマって女の子の中に入ってる別の人間ってことでいいんだな?」
「うん。 エマ……いや、もう私でいいか。 私、一回死んだんだ。 でも気づいたらこのエマって女の子の体に魂が乗り移っちゃってたの」
エマが自分の胸に手を当てながら答える。
「お前、本当の名前はなんていうんだ?」
「小山 楓。 17才の高2……JKだったんだ」
「あ、日本人だったのか!」
「そうだよ。 だからほら、私日本語ペラペラじゃない?」
「確かに……」
言われてみればそうだよな。
なんだかんだで会話が噛み合わなかったことは一度たりともなかった。
「どう? 信じてくれた?」
エマが不安そうにオレをじっと見つめる。
うむ、判断材料としては充分っぽいが……。
「他にいくつか質問いいか?」
「うん! うんうん!! 何でも聞いて!!」
「お前……楓はいつそのエマの体に乗り移ったんだ?」
「んーとね、大体1年前くらいかな。 元の私が死んで、目を覚ましたら入院していたこのエマって子の体に入ってたんだよね」
ーー……歴は先輩とはいえ、境遇オレと同じじゃねえか。
「じゃ、じゃあさ。 お前昨日妹さんがいじめられてたとか言ってたじゃん? あれどうやって分かったんだ?」
「この子……エマの机に日記が置いてあったの。 最初は何書いてるか分からなかったけど、やっぱり長期間いると分かってくるもんだよね。 この体になって半年くらいかな……日常会話レベルのフランス語は理解できるようになったから、その時にもう1回その日記を読んでみたの。 そしたらこの子の妹がいじめられてた……とか、誘拐されかけた……とか書いてあったんだ」
なるほど……ここまでスラスラと喋ってるあたり嘘をついてるようにはまったく見えない。
てか半年で外国語そこまでできるようになるのかよ!
やっぱり若い脳ってすごいんだな。
「なんかお前、頑張ったんだな」
無性にエマ……小山 楓が健気に思えてきたオレは無意識に手を彼女の頭の上に。
エマの頭を数回優しく撫でる。
「な……、なにするの!?」
「いいからいいから。 オレは信じてやるから溜まってるもんあったら全部吐き出してくれ」
ここでオレのことをさらけ出してもいいが、別にオレは傷の舐め合いをしたいわけではない。
元の年齢ではオレの方が圧倒的に年上。
今までこいつは頑張ってきたんだ。 ここは正体は明かさずに存分に甘やかしてやろう。
「なんでだろ……ダイキ、私より年下のくせにやっぱりなんか大人っぽい」
「お前が子供っぽかっただけの話だろ」
「ーー……うん」
完全にオレに心を許したのかエマは完全に甘えモードに突入。
オレの足の上に股がるようにして座り、顔をオレの胸に押し付ける。
うん、かなりいい雰囲気だ。
いい雰囲気なんだけど……
オレはゴクリと生唾を飲み込み視線を自らの足の方へ。
ちょうど膝上くらいにエマが座っているのだが、この感覚……間違いない。
そう……パンツ履いてない!!!!
オレの膝上に当たっているのはパンツという布ではなく、きめ細やかで潤いたっぷりの生肌。
こーーれは、最高の感覚なんじゃあああああああああ!!!!
オレはエマの頭を撫でながらも感覚は全て膝上に集中。
膝上にエマのどの部分が当たっているのかを妄想する。
今当たってる部分ってもしかして!! いやでももしかしたら違う場所……あああああ分からん!!
でもエロ漫画で見た知識だとそこに違いないんだけど……うわあああああああ!!!!
そんな感じで集中しているとエマがゆっくりと顔を上げてオレを見上げる。
「な……なんだ?」
「ダイキ、心臓がばくばくいってる」
「ま……まぁそうだな。 そうなるわな」
「ふふ、ダイキのそういうところが思春期の子供だよね。 子供じゃないとこんなことでドキドキするはずないもん」
大人だけどドキドキしとるわあああああああ!!!!!
確かに抱きつかれてもドキドキするけど、今のオレのドキドキは違う理由なんじゃああああ!!!!
オレはそう心で叫びながらも冷静を演じる。
「あ、あんまからかうなよ」
「うん。 なんかスッキリした。 また甘えさせてね」
エマはスッと立ち上がり玄関へ。
オレも玄関まで見送ることにする。
「ん? どうしたのダイキ、なんか前のめりだけど」
「ちょ……ちょっとお腹が痛いんだよ」
「ふーん、お大事にね。 今日はありがと」
「おう、じゃあな」
エマが扉を開けて出て行く。
それを見送ったオレは再び自室へダッシュ。
「ここに……ここに当たっていたのか!? 当たっていたのかあああああ!?!?!?」
それからオレは優香が帰ってきてご飯ができるまでの間、ベッドの上で三角座り。
膝上……エマの肌と触れ合っていた箇所の匂いを嗅いだり顔をくっつけたりして興奮していたのであった。
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