92 一歩間違えばセクハラ案件!
九十二話 一歩間違えばセクハラ案件!
休み時間。
「ダーイキー!! エマだヨーー!!!」
昼休み。
「ダイキー!! エマとどこかお散歩行コーー!?」
ーー……おいおい昨日保健室で言ってたエマの言葉、本当だったのかよ!!
別にやることのなかったオレはエマに強引に連れられ、休み時間が終わるギリギリまで周辺を歩き回ったのだった。
そして放課後。
ポケットに入れておいたスマートフォンが振動。
確認してみると三好からだ。
【受信・三好佳奈】ねぇ、今日も杉浦たち福田を狙ってるみたいだよ
ーー……マジか。
昨日の今日であいつらも飽きないな。
オレはすぐに三好に返信をする。
【送信・三好佳奈】情報ありがとう。 じゃあ今日も昨日みたいに張り込み撮影よろしく。 今度はどっちかがバレてもなんとかなるように多田とは距離を空けた場所でスタンバイしてくれ
【受信・三好佳奈】りょ
ーー……よし。
これで昨日みたいなイレギュラーは起きないはずだ。
くくく……杉浦とその仲間たちよ、今度こそオレが貴様らを出席停止なんて生温いーー……退学にまで追い込んでやるからなぁ!?
◆◇◆◇
「福田。 杉浦くんが呼んでる。 行くぞ」
早速きたか、オレは天然パーマに腕を掴まれる。
ーー……と同時にオレは三好と多田にアイコンタクト。 先回りして場所を確保せよとアイコンタクトを送る。
「ダーイキー!! エマちゃんだヨーー!!」
「なっ!!!」
今日のイレギュラーはお前かエマ・ベルナール!!!
三好と多田も離れたところからその様子を見て驚いていた。
「ねーえ、君はダイキとこれから何するノー??」
エマが手を後ろに組み、少し前のめりになりながら天然パーマに尋ねる。
「な、なんでもいいだろ! お前には関係ないことだから引っ込んでろよ!」
「それはエマの台詞だもんネー!!」
エマは天然パーマの脅しにひるむことなく逆に一歩前に踏み込む。
それにより天然パーマの方が少し引き気味に。
「君はダイキと約束してたノ!?」
「し……してたよ」
「いつ!?」
「さ……さっき」
「じゃあエマはそのさっきのさっきー! だからエマの方が優先だシーー!!」
エマは天然パーマの手を引っ張りオレの腕から離す。 そしてすかさず今度はエマがオレの腕を掴んだ。
「ーー……ねぇこれどういう状況?」
「ウチにも分かんない」
少し離れたところから三好と多田の声が聞こえてくる。
オレだってわからないよ!!
「とにかく!! エマの方が君よりも先にダイキと約束してタノ!! だからダイキはエマと帰るノ!!」
エマがムッと頬を膨らませ、少し上目遣い気味に天然パーマを睨みつける。
ーー……か、可愛い。
少しウルウルした青目にぷっくりさせた頬。 もうなんでもお願いを聞いてあげたくなっちゃうくらいの反則さだ。
これには天然パーマも心に矢が刺さったようでエマを凝視……見惚れている。
「ほら、行くヨ! ダイキ!!」
エマがオレの腕を引っ張りながら教室を出る。
待ってくれ……このままだとオレの杉浦への制裁が遅れてしまうじゃないか。
「ちょ……エマ、ちょっと待ってくれ」
教室を出て少しのところでオレは足を止める。
「どうしたの?」
「今回はあいつのところ行かせてくれないか?」
オレは真剣な表情でエマを見る。
「なんで?」
「ちょっといい案があってさ」
「いい案?」
「うん」
「それってさ、復讐?」
エマが少し首を傾げながら尋ねる。
ほう、結構鋭いやつだな。
オレの今の一言でよく分かったものだ。
「そうだよ」
オレは頷きながら教室の方を振り返る。
「今回はうまくいきそうなんだ。 だから今回はオレを……」
「だめ!!!」
「ーー……!?」
エマがオレの腕を強く引っ張る。
「ーー……なんでだよ」
「復讐は復讐しか生まないんだよ!?」
へぇ……結構大人な発言するじゃねぇか。
でも甘いな。 オレは復讐されないレベルまで復讐するから結局オレがやり返して終わるんだよ!!
だからオレもここは譲ることはできない。
「復讐上等。 出来るもんならやってみろってね」
「後が怖くない?」
「ぜーんぜん。 昨日はイレギュラーで危なかったけど今日はうまくいくから」
オレは教室に戻るためにエマの手を振り払おうと自分の腕を上下左右にブンブン振るう。
しかしエマも強情だ。 力を入れて意地でもオレを教室まで戻らせないつもりだ。
「おい、エマ離せって!!」
「いーーや、離さない!!」
「離せ!」
「離さない!」
「離せ!!」
「離さない!!」
「だから離せ……ってうわああああ!!!」
力を振り絞ってエマと反対方向に体を持って行こうとしたオレだったが、今日の掃除当番は誰だったのだろう……踏ん張っていたオレの足がつるんと滑る。
その時にオレの腕を掴んでいたエマもつられてバランスを崩す。
「うわわわわわ!!!」
「きゃあああああ!!!」
ドスンっ!!
バランスを崩したオレたちはそのまま転倒。
オレは仰向けに倒れてその上にエマ。
倒れた時にエマのお尻がオレのお腹にドスッと衝撃を与える。
ぐえっは……あああ!!!!!
オレはあまりの痛さに一瞬目を閉じ息を止める。
そして目を開けるとそこには……なんということだろう!
「ーー……!!??」
オレの視界に広がっていたのは世界的に有名なネズミーランドよりも遥かに夢の詰まったドリームランド!
そう……そこはスカートの中の世界。
どうやらオレとは反対方向に倒れたみたいでオレの足の上にエマの背中が乗っていた。
「ーー……」
どうしてオレがそんなに無言なのかって?
それは簡単さ、だってエマのやつ、パンツを履いていなかったのだから!!!!
いぇす!! ノーパンいぇええええす!!!!
オレが息を荒げて心の中で乱舞しているとそれに気づいたエマが急いで足を閉じる。
「ーー……見た?」
「見た。 お前昨日もそうだったけど、なんでパンツ履いてないの?」
オレは心臓をばくばく言わせながらエマに尋ねる。
これは一歩間違えばセクハラ案件!! このギリギリな感じの質問……生きてるって実感するぜぇ。
するとエマはスカートを上から押さえながらゆっくりと上半身を起こす。
そしてこう答えたのだった。
「し……仕方ないじゃない。 パンツ履いてない方が開放的で気持ちいいんだから」
ーー……え、正義の女の子じゃなくてまさかの痴女?
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あぁ……エマたん可愛いんじゃあ……