89 奴の復活!!【挿絵有】
八十九話 奴の復活!!
ーー……マジか。 もうそんな時期だったか。
夏休みも終わり新学期。
教室には1人の男の姿……そう、杉浦だ。 そういや2学期まで出席停止処分っていう話だったもんな。
杉浦の周囲にはかつての仲間が輪を作って彼を囲っている。
どうやらなにがあったか色々と詮索しているようだ。
「あーあ、大丈夫なのかなー福田ー」
オレの隣で三好が目線を合わせずに話しかける。
「なにが?」
「またボコられるんじゃないのー? 今度は誰も居ないところとかで」
「ふん、返り討ちじゃ」
「まぁまた何か私にできることあったら言ってよ」
三好はそう言うと少しだけ振り返りオレに微笑んで自分の席へと戻っていく。
ふむ……これは三好は完全にこっちサイドに来たと思って間違い無いようだな。
ーー……ということは連動して多田もこっちサイド。 帰ったらいじめノートにそう書き加えておこう。
この時オレは今後また面倒なことが起こるとは微塵も思ってはいなかった。
◆◇◆◇
「ーー……どうしてこうなる」
オレは授業中静かに呟く。
それもそのはず……杉浦が復活して仲間になにを吹き込んだのかは分からないが、教師が黒板の方を向く度にオレに消しゴムのカスが飛んでくる。
なんだ? リーダー格が戻ってきたらこうなるもんなのか?
オレは消しゴムのカスを眺めながら考える。
一言言えるとしたら、これしかない。
不快極まりない!!!!
消しゴムのカス攻撃に参加しているのはざっと見て杉浦と仲の良かった男。 そして数名の勘違いブス女。
これが美少女の投げたカスだったら大切に保存していたというのにこのやろう!!
この対処……どうするべきか。
とりあえずこの日は誰がオレいじめに参加しているかをインプット。 家に帰ってからいじめノートにそいつらの名前をメモすることを決めたのだった。
◆◇◆◇
「ーー……はぁーー」
放課後。 やられ続けたら地味にイライラが溜まっていく消しゴムのカス攻撃を耐え切ったオレは大きなため息をつきながら教室を出て下駄箱へと向かっていた。
「ーー……はぁーー」
なんというタイミングだろうか。 オレとすれ違うように歩いてきた女子がオレと同じくらい大きなため息をつく。
「ーー……ん?」
「ん?」
お互いに目が合う。
見たことのない顔だな。 こいつも小5ーー……同級生なのか?
目はぱっちり開いていて青色。 髪はクルクルと巻かれた金髪で……外国人だよな。 それにしても結構な美人さんだ。
でもこんな美人いたら今まで気づかないわけないよな。
オレがそう考えながら女の子を見ていると……
「ーー……ごめんなさい、5年1組ってどこ?」
女の子が気だるそうな顔をしながらオレに尋ねる。
「ーー……1組? ならあっちだけど」
「ありがとう」
「え? うん」
なんだろうこの感覚ーー……他の奴らとは少し違った雰囲気をもった子だったな。
まぁ外国人だから雰囲気違うのは当たり前か……?
今度三好たちに聞いてみるとしよう。
「福田」
ビクッ!!!
突然名前を呼ばれたので体が反応。 オレは恐る恐る振り返る。
まさか杉浦のやつもう行動を……? いやでもさっきの声って……
「ーー……え?」
振り返った先にいたはドSの女王・小畑美波。
内股になって両手を胸のあたりで組みながらソワソワした様子でオレを見ている。
「えーと……なに?」
「もう私我慢出来なかったんだからあーーー!!! 来て!!」
「えっ!?」
小畑はオレの腕をガシッと掴むとそのまま1階図工室前の女子トイレへ。
奥の開いてる個室にぶち込んで鍵を閉める。
も……もしかして!!!!
「夏休みだったじゃん? 私、福田で遊べなくて壊れそうだったんだよ?」
小畑は便器の上に座らせたオレを見下しながら妖艶にニヤリと微笑む。
じょ……女王様あああああああ!!!!
「ねぇ福田、今日は佳奈も麻由香もいないけどいいよね? 私の専属おもちゃ……福田も嬉しいでしょ?」
嬉しいです!!!
今日は色々と大変だったのでとても嬉しいです!!!!
「あはははっ!! なーに福田、なんでそんな物欲しそうなキラキラした目で私を見てるの? キモいんだけどー!!!」
「こ……これは!!!」
「じゃあお望み通りに!!!」
小畑がその綺麗な足の裏をオレの下半身にピトッと乗せる。
ピヤァアアアアアアア!!!!
キマシ!! キマシターーーーー!!!!
温もりが伝わってきますううううう!!!!!
「じゃあ夏休み分のやつ、行くよおおおーー!!!!」
「ーー……!!!!」
アアアアアガガガガバババババ!!!
小畑の小さく柔らかい足裏が小刻みにクリーンヒット! オレは一瞬でノックアウトしてしまったのだった。
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あの謎の女の子は一体……!