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88 尾行作戦②


 八十八話  尾行作戦②



 「ーー……結局どんな話だったんだ?」



 映画館から出たオレは三好に尋ねる。



 「え! 福田寝てたの!?」


 「ちげーよ、ちゃんと起きてたよ!」


 「だよね、たまに福田の方見てたけどちゃんと起きてたもんね」


 「まぁなんか……色々考えてたんだよ」


 「ふーん。 お姉ちゃん好きな弟も大変だねぇ」


 「うるせぇ」



 ちくしょう……金がもったいないからそのまま見てしまったが、それが原因で優香たちを完全に見失ってしまった。

 その後30分ほど映画館を張り込みしていたが優香たちは現れることはなかった。


 

 「あー、仕方ねぇ。 今夜直接、それとなく聞いてみるわ」



 やましいことしてない限りは優香も教えてくれる……よな?



 「え、福田もういいの?」


 「なんだ? 物足りないか?」


 「なんだかんだで私楽しみにしてたんだけどなー。 まぁ福田がいいならそれでいいけど。 これからどうすんの? 解散?」



 三好は周囲をクルリと見渡した後オレを見る。



 「んー、そうだな。 解散してもいいんだけど、お前もそれじゃあつまらんだろ。 せっかくオレのわがままに付き合ってもらったんだから、なんか食べたいものあったら奢るぞ」



 「まじ!?!?」



 三好が目をキラキラと輝かせながらオレに顔を近づける。

 時間を確認すると結構なお昼時。 無理やり付き合わせたんだからそれくらいはしないといけないよな。



 「あぁ気にすんな」


 「映画も奢ってもらったのに!?」


 「うむ構わん」



 こうして優香の捜索を諦めたオレたちはショッピングモール内にあるレストランフロアへ。

 三好のチョイスしたハンバーグ専門店に入り、肉汁ジューシーな熱々ハンバーグの味を堪能したのだった。

 


 その食事中。



 「あ、そうだ福田、私らラブカツ映画の打ち合わせとか色々しにこの前行ったんだけどさー」


 「うん」


 

 ーー……ちくしょう、オレも行きたかったぜ。



 「月宮メロンちゃんの声の人と写真撮ったんだけど、福田いる?」


 「くれ!!!!」



 

 ◆◇◆◇




 「あーー!! 美味しかった!! ありがと福田!」



 ハンバーグを満喫したオレたちは膨らんだお腹をさすりながらハンバーグ店を後にする。



 「オレの方こそメロンちゃんの声優さんとの写真さんきゅ。 じゃあ今日は早いけどこれでーー……」



 オレは早々に三好に解散を告げようとした……その時だった。



 「あ!!! 福田あれ!!!」



 三好が目を大きく見開いてある一点を指差す。


 

 「なんだ? まだ食い足りないのなら自腹で払えよ」


 「そうじゃないって! あれ見てあれ!!」


 「だからなんだってーー……」



 オレはため息をつきながら三好の指す先へと視線を移す。



 「ーー……え」



 そこにいたのはガラス越しにいる優香と三好兄の姿。

 ちょうど優香たちも食事中らしい。 そりゃあ見つからないわけだ。

 オレは優香たちが入っている店の看板に視線を移す。



 「ーー……【甘甘☆アイランド】?」


 「知らないの福田。 あそこケーキとかプリンとか、甘い食べ物が制限時間内で食べ放題の結構人気のお店だよ」


 「甘い食べ物が食べ放題……?」



 「ああああああああ!!!!」



 突然三好が大声を上げる。


 

 「な、なんだ!?」


 「福田、私なんでお兄が優香さん誘ったのかわかったかもしれない!!」



 三好がすっきりしたような表情でオレに詰め寄る。



 「な、なんだよ」


 

 ーー……近いな。

 襟の間の空間から見えそうだぞ。



 「あそこいまキャンペーン中なんだよ!」


 「キャンペーン中?」


 「そう! これやってるのお昼の時間だけなんだけど、男女ペアで入店したらラスト30分にスペシャルスイーツを食べられるんだって!」



 三好が店の前に設置してある立て看板に書かれたポスターを指差す。



 「なるほど。 それで姉ちゃんとなんの関係が?」


 「私前お兄に誘われたんだけどさ、お兄のこと絶賛嫌いな時期だったから断ったんだよね。 だから誘ってオーケーしてくれそうな優香さんにお願いしたんじゃないのかな」


 「そういうことか……」



 だから時間まで他のことして時間潰してからここ……【甘甘☆アイランド】に来たってわけか。 なるほどなるほど。

 確かにそう言われてみれば優香は少し冷め気味で、三好兄はテンションが高いように見える。

 キスとかそういうのじゃなくて本当良かった……。


 心のそこから安堵したオレは三好とともにそこを離れ、ショッピングモールを出たところで解散したのであった。



 ◆◇◆◇



 その日の夜。


 

 「ねぇお姉ちゃん」


 

 オレは夕食の準備に取り掛かっていた優香に話しかける。


 

 「なにダイキ」


 「今日どこに行ってたの?」


 「んー? 友達にどうしてもお願いされて、近くのショッピングモールに行ってたんだよー。 なんかそこの甘いもの食べたかったらしくてね」


 「へぇー。 え、男の人?」


 「そうなの。 だから私本当は行きたくなかったんだけど……どうしてもってお願いされたから今日だけ許可してあげたんだ」


 

 全然優香に動揺は感じられない。

 ということでもう1歩踏み込んだ質問をしてみる。



 「それで……今日そこに行った人のこと好きになったりした?」


 「全然だよー。 だから次誘われても絶対行かないし。 なんで?」


 「ううん、聞いただけ」



 ああ良かった、優香をやべー男に取られないで済んだぜ。 

 本人の口から聞くことができて一層安心したオレはその日の夜、禁断症状が出かけていたこともあり優香の部屋へ突撃。

 布団の中に潜り込んで一緒に眠ったのだった。


 

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次回・新学期予定!!

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