85 もはやパンツ中毒
八十五話 もはやパンツ中毒
ただいま我が家!!
結城を送り家に戻ってきたオレは玄関を開けると同時に自室へ走る。
ただいまダイキ部屋! ただいまエロ漫画!!
そしてーー……
ただいまギャルJKパンツ!!!
オレは引き出しを思い切りあけて奥に手を突っ込み、ギャルJK星からプレゼントされた黒レースパンツを取り出しそれを鼻に当てて勢いよく息を吸う。
「ーー……なん……だと」
ギャルJK星の匂い……というか柔軟剤の匂いもまったくしない。
夏場密室に長時間放置していたからなのか、パンツから香るのは引き出しの中独特の木の香りだけだ。
「これは……これは由々しき事態だあああああ!!!!!」
◆◇◆◇
【送信・星美咲】折り入ってお話があるんだけど。 お姉ちゃんには内緒で
オレは速攻ギャルJK星にメールを送信する。
するとさすがギャルJK! 一瞬で返信の通知が鳴る。
【受信・星美咲】ゆーちゃんから聞いたよ、帰ってきたんだねおかえりー! で、なにー?
【送信・星美咲】実はーー……
◆◇◆◇
「あっはっはっは!!! 待って、マジでウケるんだけど!!!」
最寄駅近くにあるカラオケ店。
カラオケルームの中、オレの目の前でギャルJK星がお腹を抱えて大爆笑する。
「ちょ……笑ってないでどうかお願い致します」
オレはプレゼントしてもらった黒レースパンツをギャルJK星に差し出す。
「まさかアタシを呼び出した用がこれだなんてマジ爆笑でしょーー!!!」
そう……オレは男としてのプライドを捨て、ギャルJK星にプレゼントしてもらったパンツを今一度履いてもらって匂いをつけてほしいことをお願いしたのだ。
結果から言うと返事はオーケー。 ギャルJK星的には小学生の男の子が恥を忍んでお願いしてくる様がツボで、面白かったからオーケーしたとのこと。
というわけで早速履いて匂いをつけてもらうためにここカラオケに出向いたのだ。
「別にいいんだけどさ、アタシこれどれくらい履いてればいいの?」
ギャルJK星がパンツを指に引っ掛けてくるくる回しながらオレに尋ねる。
「ーー……できれば時間ギリギリまで」
「いや、それしたら逆に臭くならない?」
「ならない! 大丈夫!! むしろその方がーー……!!」
「ちょっとダイキ必死すぎ! もうそれ変態じゃんーー!!」
絶賛爆笑中のギャルJK星が足でオレを指差しながらその指先でオレの足をツンツン突く。
ちなみに本日ギャルJK星は割と丈の短めなワンピースをご着用。 よってむちむちセクシーな足がオレの目の前へと迫る。
ーー……この奇跡の肉体を授けてくれた神に最大限の感謝を。
「まぁいいよ。 んじゃここのフリータイムが終わるまで履いてよっか」
「ありがとうございます!!! それとーー……メールでも話した通り、このことはお姉ちゃんには……」
「言わない言わない。 てか言えないっつーの。 そこらへんは美咲お姉ちゃんを信じなさい!!」
そう言ったギャルJK星は自らのスカートの中へと手を入れる。
「ーー……えっ!!!!」
脱ぐの!?!?
スカートの中から黄色のパンツがこんにちは。
オレはあまりの衝撃で言葉を失う。
「ん? どしたダイキ」
ギャルJK星がオレを見ながら首をかしげる。
「い、いや……今履いてるパンツの上から履いてくれるものとばかり思ってたから」
「え? ごめん、アタシ直で履くもんとばかり思ってたわ! 逆にどっちがいい?」
「直でお願い致します!!!」
「おけー、じゃあダイキ、これ脱ぐまで預かっといてー」
ギャルJK星がさっきまで履いていた脱ぎたてほやほやの黄色パンツをオレに向かってフワッと投げる。
「おっと!!!」
オレはそれを見事キャッチ。 クロッチ部分が……そして全体がほんのり温かい。
「ん? もしかしてそのパンツも欲しくなった?」
「え」
「あれなら今アタシが履いた黒パンツとそれ交換する?」
ギャルJK星がオレの手にもつ黄色パンツを指差す。
んんんん!!! 悩み難い……でも……でも!!!!!
「いや、黒パンツでお願いします……」
「なんで?」
そんなの決まってるだろう……!!
だって……
「だって黒パンツ、初めてもらったプレゼントだから……」
あぁ……なんて恥ずかしい台詞なんだ!
まったくかっこよくもなんともない! むしろダサい!!!
オレは顔を真っ赤にしながらもその旨をギャルJK星に伝えた。
「ええーーー!! 何今のめっちゃ可愛いじゃん!!!」
「ーー……え」
ギャルJK星が勢いよくオレに抱きついてくる。
「ほ、星さん!?」
「それそれ!! ダイキのそういうところが好きなんだよアタシはーー!!」
ーー……というわけでオレとギャルJK星はカラオケのフリータイム終了時間までここで過ごすことになったのだが。
生き地獄だ!!!!
ギャルJK星はかなり綺麗な声でアイドルの曲を熱唱。
画面に集中していてオレのことをたまに忘れているのか、度々オレの目の前で足を組み替える。
そしてその度にオレの渡した黒パンツが足の隙間からチラチラと。
うおおおおおお!!!! もっと近くでガン見したい!! でも出来ない許されないもどかしい!!!
そしてオレの手には履き替えるまで預かっている黄色パンツ。
うわあああああ!!!! 裏返してガン見したい匂いたい!! でも出来ない許されないもどかしい!!!
オレはそんな欲望と戦いながらなんとか時間をやり過ごし、とうとうフリータイム終了10分前となった。
「ふーーっ! アタシ小学生とカラオケなんて初めてだったよ」
ギャルJKが満足した顔でオレに微笑む。
ーー……眩しい!!
「んじゃ、弟ダイキのお願いだったパンツ返すべー」
ギャルJKはオレの前でパンツを脱ぎそれをオレの手のひらの上に乗せる。
「あ……ありがとう」
うわあああああ!! あったかあああい!!!!
オレは黄色パンツをギャルJK星に返して受け取った黒パンツを大事に両手で包み込み体温を感じながらリュックの中へ。
ギャルJK星にお礼を言ってカラオケ屋の前で解散したのだった。
◆◇◆◇
その日の夕方。 オレの部屋。
「うおおおおおおお!!! 匂う!! 匂うぞおおおおおお!!!!!」
オレは完全復活を遂げたギャルJK星のパンツを顔面に強く押し付け叫ぶ。
パンツに残る微かなカラオケ店の香りがよりリアリティを生みオレのテンションも絶好調!!
もはやパンツ中毒……オレはその日の夕方から深夜寝落ちするまでの間……ご飯やお風呂の以外の時間を全てをギャルJK星のパンツの匂いを楽しむことに費やしたのだった。
しかしあれだ……このパンツのおかげで残りの夏休み、平和に暮らせそうだぜ。
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