84 性癖ランキング
八十四話 性癖ランキング
「あっという間だったね」
新幹線の帰りの車内。 前の座席に座る優香が後ろを振り返りながらオレたちに話しかける。
「うん」
なんだかんだでオレは今回が福田祖父母とは初めましてだったけど、この短期間一緒に暮らしてただけで情って移るもんなんだな。 別れ際ちょっとウルっときちまったよ。
それにしてもーー……
オレは結城に視線を向ける。
「なんで結城さんがオレたちより泣いてんの」
結城は新幹線に乗った時から今までずっとグスンと鼻をすすりながら泣いているのだ。
オレが言うのもアレだけど、結城が一番福田祖父母と関係なかったよな。
そんなことを思いながら結城を見ていると結城が涙であふれた目をハンカチで押し付けながらゆっくりと口を開く。
「私ーー……ちっちゃい時にはもうおじいちゃんやおばあちゃんとかいなくて……。 あと、福田くんや優香さんみたいに温かかったから……。 陽奈ちゃんとも仲良くなれたのに……」
そう……実は結城、陽奈とかなり仲良くなっていたのだ。
最終日前日にはにこやかな笑顔も出ていたほどだからな。 心を完全に許していたように思える。
「まぁでもほら桜子ちゃん、桜子ちゃんさえ良かったら来年も一緒に行こうよ。 ね?」
優香が座席の隙間から手を伸ばし結城の頭を撫でる。
「ーー……いいの?」
「もちろんだよ。 おじいちゃんたちも桜子ちゃん可愛い可愛いって言ってたし」
「うん……ありがとう」
はぁ……こういう結城の姿を見ると心が洗われるよ。
大人になるにつれて薄れていく純粋さを改めて思い出させてくれる感じがする。
結城ーー……頼むからこれからもその純粋なままの結城でいてくれな。 血迷ってもギャルになんかなるんじゃねーぞ。
オレは心の底から結城の美しい未来を祈った。
◆◇◆◇
あれからしばらく。
結城は泣き疲れたのか寝落ち。 優香もなんだかんだで疲れていたのかうとうとしている頃、オレはというと……。
「くく……我ながらセンスしかない」
オレは小さく呟きながらスマートフォンの画面を眺めていた。
それはもちろん画像フォルダ。
この帰省した半月間で撮影枚数はかなり膨れ上がっていたのだ!!
まず夜な夜な息を殺して撮影した寝ている結城シリーズが写真約400枚と動画5本!
そしてお祭り時の動画が1本! ちなみにそのお祭り時、本来は動画を2本撮ってあってうち1つは陽奈の夏のせせらぎシーンだったのだが……陽奈の姉・愛莉と出会った翌日に何故か見れなくなってしまっていたのだ。
もしかして愛莉にバレてしまったのだろうか。呪うのだけは勘弁してくれな。
他は優香・結城・陽奈と遊んだ際の川遊びでの写真500枚以上!! ピチピチの肌が水で濡れてかなりいい味を出している。
これで1年間は夜な夜な眺めて楽しめそうだぜニヤニヤ。
あ、ちなみにオレが前のオレの実家に何もしてないと思ったら大間違いだぜ?
オレはちゃんとそこらへん上手くできたと思ってるんだ。
これは陽奈の姉・愛莉に出会ったこともあり思いついたことだったのだが、お土産を買いに行った際、オレは前のオレの実家に郵送でお菓子を送っておいたのだ。 手紙を添えてな。
ああいうお土産コーナーではそのまま持って帰ることが荷物になるということから郵送サービスしてくれるところもあるから助かるぜ。
ちなみに内容は簡単に説明するとこんな感じだ。
===
真也です。
お盆ということで帰ってきました。
親より先に逝くバカ息子をお許しください。 これからお盆の時期にお菓子を送ろうと思います。 届かなくなったら、その時にはオレは生まれ変わったものだと思って喜んでください。
===
これが今のオレにできる最大限の親孝行だろう。
この手法……お盆だから帰ってきました作戦を思いつかせてくれたきっかけになった愛莉には本当に感謝だぜ。 願わくば見れなくなったお前の妹の陽奈の夏のせせらぎシーンを元に戻してはくれないだろうか。
オレは心の中でそう願い、再び開くとエラーになる陽奈の夏のせせらぎ動画を再生してみる。
「ーー……やっぱり見れないっすか。 愛莉さんマジもう1度夢ぇ見させてくださいよ」
そう小さく呟いた時だった。
「んんーー……」
隣で眠っていた結城のバランスが崩れ、結城の頭がオレの肩に。
「ーー……!!!」
それだけではない。
結城は体の体重をオレの方へ。オレの腕に結城の柔らかい二の腕がプニプニと当たる。
なぁ、知ってるか? 女性の二の腕の柔らかさって、あの柔らかさと一緒なんだってさ。 そう、夢の詰まった二つのーー……ゲフンゲフン!!
興奮したオレは自分の腕をわざと揺らしたりして動かしながら結城の二の腕の柔らかさを堪能する。
あぁーー……腕が幸せなんじゃあーー……!!
しかしオレはその時気づかなかったのだ。 舞い上がりすぎて腕の動作が次第に大きくなっていっていることに。
そしてそれは突然訪れた。
それはオレが結城の感触をもっと楽しもうと腕を結城の腕の後ろに回り込ませた時だった。
結城の体が前に傾きオレの腕に沿うように徐々に下へ。
結城の頭は少しずつ少しずつ下りていく。 肩から胸、胸からお腹、そしてーー……
ヒャアアアアアアア!!!
とうとう結城の頭が最終落下地点まで到着。 それはもちろんそう、オレの足。
ちょうどオレの足の間ーー……股の部分に結城の頬がポヨンと当たる。
これは……! これはこれはこれはああああああああ!!!!
JSのほっぺ……結城のほっぺがああああ!!! 感触最高なんじゃああああああ!!!!
もしかして本当に愛莉が夢を見させてくれたのだろうか。
それが真実かどうかはわからないがその日、オレの中の性癖ランキングにJSのほっぺがランクインしたのだった。
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