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83 やっぱり生パンツ!


 八十三話  やっぱり生パンツ!



 帰省期間も後少し。

 結局前のオレの妹・翠も仕事が忙しいらしく会う機会が全然取れず、オレは実家にまだ立ち寄れないでいた。

 翠いわく、オレの両親はまだ完全に元気な感じではないが、少しずつ前を向いていっているらしい。

 おそらく翠の言ってることは本当なのだろう……だって見ず知らずのオレに嘘をついても意味ないからな。

 まぁ何かしらアクションは起こそうとは思ってはいるが……。


 そんなことを考えながら部屋で1人意味もなくスマートフォンを弄っていた夜。

 すると扉が開かれ結城がひょこっと顔を出す。



 「優香さんが明日、お土産買いに街に行かないかだって」



 「お土産……か」



 ーー……いいこと思いついたかもしれない。



 ◆◇◆◇



 街の大きな駅のお土産コーナー。

 


 「桜子ちゃん、誰に買うの?」


 「えっと……、ママと、ママの彼氏と、西園寺さん……かな」


 

 結城が3本指を立てる。



 「別に親の彼氏はいいんじゃないか?」



 もっと言うと母親にもいらないんじゃないかとすら思える。

 休みの日に外に出す親だぞ? そこまでしてあげる意味あんのか?



 「でもママだけだとかわいそうじゃない?」



 結城が純粋な目でオレを見る。

 結構酷いことされてるのに心が汚れていない結城……ほんと天使。



 「そういやお姉ちゃんはどのくらい買うの?」


 「んー、私は美咲とか他の学校の友達にかなー」


 「そうなんだ」


 「ダイキは?」


 「まぁ適当に買っとくよ」



 あまりそういうところを見られたくなかったオレはしばらく別行動をするという形を選択。

 今優香たちのいるお土産屋さんを出て、別の店舗へと入っていった。


 結局オレはそれから大体30分くらいだろうか……オレのお土産タイムは終了。

 優香に連絡したのだが、優香たちはまだまだかかるとのこと。

 


 「買い物してるのを見てるだけなのもつまらないし、なんかいい暇潰しねーかなぁ……」



 そう呟きながら周囲をグルーっと見渡した……その時だった。



 「ーー……!!! あれは……!!!



 ◆◇◆◇



 「まさかこんな店が都会以外にも出来てたなんてな……」



 オレはその建物を見上げる。

 そう……何を隠そうそれは朝の子供アニメから深夜枠までのアニメ・漫画・小説のグッズを大量に取り揃えているオタク専門店!

 もちろんそこにはオレの好きだった小説のグッズも大量に品揃えされている。

 ーー……ということで、、



 「いざ参らん!! 久方ぶりの聖地へ!!!」



 オレは心をかなり踊らせ、店の中へと入っていった。



 「お……おおおおおおお!!!」



 中に入ると360度どこを見渡しても2次元2次元2次元!! 

 ただいま聖地! おかえり自分!!

 オレは全身の鳥肌をスタンダップさせながら目的のグッズが置いてあるコーナーを探す。

 そしてようやく見つけたんだ……目的のそれが置いてある場所を!!!



 「あったあああああああ!!!!」



 オレは1つのグッズを手に取る。

 それはオレの好きだった小説【絆創膏をアソコに貼った私が無双して世界を救う!?】通称・絆アソの下敷き。

 


 オレは下敷きを片手に他の絆アソグッズへと視線を移していく。

 中には可愛いクリアファイルから、結構公共の場で使うには勇気のいるギリギリのキーホルダーまで。

 

 お……おおおお。 これって下敷きとかは別として、ギリギリヤバめなやつはオレみたいな子供がレジに持っていっても購入できるものなのか??


 そう思いながらオレはギリギリのキーホルダーを手に取り眺めていた。

 するとこんなコーナーのある場所には似つかわしくない女性の声が。



 「あれー、ダイきちくんじゃないのー?」



 びくぅ!!!!


 突然名前を呼ばれたので振り返るとそこにはまさかの姿が。



 「えっ……!! ミドリ……さん!?」



 そこにはスーツ姿のオレの妹・森本翠の姿があった。



 ◆◇◆◇



 「はい、これでいい?」



 近くのカフェ。

 翠がリクルートカバンから袋を取り出しオレに渡す。



 「あ、ありがとうございます」


 「それにしてもダイきちくんもエッチだねー。 あんなのが好きなんだ」


 「あはは……まぁ」



 下敷きとかは自分で購入したのだが、買えるか微妙なやつは翠に代わりに買ってもらったのだ。

 【絆アソ】最新刊も一緒にな。 これはラッキーだったぜ。

 オレは愛想笑いをしながらその袋を受け取る。


 どうやら翠の仕事場がちょうどこの辺だったらしく、いつもは立ち寄らないのだが今日はなんとなく立ち寄ろうと思った……とのことだった。



 「でもあれだね、まさかあのグッズのコーナーでダイきちくんがいるなんて思わなかったよ」


 「えっと……ミドリさんはなんであのコーナーに?」


 「信じてもらえるか分からないんだけどさ、ダイきちくんが買ったグッズの小説……私のお兄ちゃんも好きだったやつっぽいんだよね」


 

 翠が懐かしいものを見るようにオレの手に持っている小説を眺める。


 ーー……な、なんで知ってるんだ!?


 オレは激しく動揺。

 そんなこと妹にそんな話した記憶はない……これは詳しく聞いてみるしかないようだ。



 「えっと……お兄さんの趣味、詳しいんですね」


 「そんなわかんないよー。 お兄ちゃんが死んで部屋の片付けをしにいった時に偶然そのタイトルのグッズが多かったなって覚えてただけだからさ。 ほら、それタイトルにインパクトあるじゃない?」



 ナ……ナンダッテェエエエエエ!!!???



 「それにしても妹ながら流石に引いたよね。 あのね、お父さんやお母さんが着く前に先に私がお兄ちゃんの部屋に入ったんだけどさ、部屋中エッチな本でいっぱいだったんだよ。 だから2人が来るまでに急いで片付けたよね」



 うわあああああああ!!!!! やっちまったあああああ!!!

 終わった……いや、もう終わってるけど兄としての威厳があああああ!!!!



 オレは絶望のあまり首の力が抜けてテーブルに強く頭を打ち付ける。



 「ダ、ダイきちくん!? 大丈夫!?」


 「あ、あはははは」



 まぁ……てことは両親には見られてないってことか。 翠、良くやったガチでありがとう!

 オレは心の中で翠の頭をこれでもかというくらいに撫でまくる。



 「それにしても不思議だなぁ」



 翠がコーヒーを飲見ながら視線をオレに向ける。



 「え」


 「なんか分からないんだけどさ、ダイきちくん見てるとお兄ちゃんと話してるような感覚……懐かしさを感じるんだよね」


 「そうですか」


 「うん、ごめんね急に変なこと言って。 お姉さん変だよね」


 「いえ、大丈夫です」



 そこから翠と話したのはオレ……ダイキの学校生活の話ばかり。

 それとなく昔のオレの話に持っていこうとしたのだが、それっきり翠が話すことはなかった。

 そんなこんなしていると優香から買い物終了の連絡が入る。



 「あ、お姉ちゃんたち買い物終わったっぽいや。 行かないと」


 「うん、色々話せて楽しかったよ。 ここは私が払っておくからダイきちくん行ってくれていいよ」



 翠がカバンの中から財布を取り出す。



 ーー……いや、ここはどう考えてもオレが払うべきだろ。

 年齢制限ありそうなアニメグッズ然り、前のオレ関連然り。



 「いや、ここはオレが払うよ。 スイさん、お仕事や家のこと頑張ってください。 今日はありがとうございました」


 「えっ……」



 オレはテーブルの上に置かれていた伝票を手にまっすぐレジへ。

 会計を終わらせこちらを向いていた翠に再び頭を下げて店を後にした。



 ◆◇◆◇



 その日の夜。



 「ぐへへ……このキーホルダーは実に堪らん」



 オレは部屋で1人寝転びながら今日買った色々とギリギリなキーホルダーを眺める。

 言っちゃうとオモテ面が服を着ててかっこいいイラストなのだが、裏面は逆にスカートをたくし上げて顔を赤らめているちょっとえちえちなイラストなのだ。


 

 「表、裏……。裏、表……。からの裏……ぐへへへへ」



 普段そういう画像や雑誌を見れなくなってくると、こういった僅かなえちえち系も高価なものに思えてくる。

 オレはしばらくの間それを眺めて楽しんでいたのだが……



 「福田くん、お風呂空いたよ」



 風呂上がりの結城が髪をタオルで拭きながら部屋に戻ってくる。



 ーー……おっ!


 寝転んで下から結城を見上げているため、ダボめの短パンの隙間から結城の白パンツがこんばんは。



 「なにしてたの?」


 「ううん、いやなにも」



 はぁ……オレは何を勘違いしていたんだ。

 エロ雑誌やエロ漫画もいいけど、やっぱり生パンツが一番の目の肥やしになるよな。

 そう思ったら無性にパンツを被りたくなっちまったぜ!



 オレはキーホルダーをカバンの奥へと封印。

 結城の脱いで間もないパンツを求めて脱衣所へと向かったのだった。



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感想やブクマもお待ちしております♪♪

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「スイ」と名乗ってないし周囲も「みどりさん」呼びだったような…? [一言] それでも欲望には忠実。ブレませんね。
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