08 たくさんの女子にいじめられたい【挿絵有】
2020/07/10 挿絵入れました!
八話 たくさんの女子にいじめられたい
翌日の朝・ホームルーム。
「えー、杉浦だが……昨日帰りにタバコを吸っていたため、しばらくの間出席停止処分となりました」
「「「ええーー!!??」」」
「ーー……なので、みんなもタバコなんてものは吸わないように気をつけてください」
担任の言葉を受けて皆がざわめいている中、三好だけがオレに視線を向けていた。
◆◇◆◇
「ねぇ、何したの?」
図工室前の女子トイレ。
三好がオレに真剣な眼差しで尋ねてくる。
「いや、動画を先生に見せただけだけど」
「でも先生はタバコって言ってなかった?」
三好は頭上にはてなマークを浮かばせながら口元に指を当てている。
ーー……JSながらに鋭いな。
「まぁあれだろ、そっちの方がイメージ軽く見えるからな。 世間的にも」
ていうか担任にそれを提案してあげたのもオレなんだけどな。
家にまで謝りに来ないこと……姉の優香に知られないことを条件に『タバコを吸っていた』ということで済ませてあげたのだ。
学校に呼び出された杉浦の両親から『できれば全て無かったことにしてほしい』とお願いされたときは流石にびっくりしたけどな。
あれには担任も学年主任の先生も空いた口が塞がらないといった感じだったぜ。
「ーー……ふーん、そんな感じなんだ」
「だから三好も変なこと考えんなよ。 杉浦みたいになりたくなかったらな」
オレは三好の腕を掴み顔を近づける。
「そ、そんなことするわけないじゃん。 だから昨日だって動画撮るの手伝ったわけだし!」
「ふむ、確かにな。 よろしい」
オレは三好の頭をわしゃわしゃと撫でる。
やっぱり女の子の髪だよな……さらさらで、かつ瑞々しい。
「なっ……!! なに!?」
三好は驚いて一歩下がってオレから距離を取ると、両手で頭を押さえだす。
「あーごめん、なんかノリで」
「扱いが子供じゃん」
三好たちから見たらオレは同年代なんだけど、オレからしたらかなり子供なんだよなぁ。
◆◇◆◇
後日。
……どうせならたくさんの女子にいじめられたい。
そう考えていると、教室の反対側……廊下側の席の方から女子たちの会話が聞こえてきた。
「そういや昨日といい今日といいさ、佳奈、福田の悪口全然言ってなくない?」
「確かに」
三好と仲の良い女子たちがギャーギャー騒ぎながら雑談しているようだ。
「そ、そんなわけないし! めっちゃキモいし!」
三好がチラチラとオレを見ながら威勢を張っている。
うんうん、年下の女子に罵倒されることってあんまりないからなんだかむず痒いぜ。
オレはニヤつきを隠すように机に突っ伏しながらその会話に耳を傾ける。
「でもさ、あれだよね。 今までは杉浦が先頭立って福田をいじめてたけど、それ見れなくなるのちょっとさみしくない?」
「わかるー、見てて爽快だったもんー!」
ーー……ほう。
「え、どうする? 杉浦いなくなっちゃったし、ウチやってみたいんだけど」
「それあり、佳奈もやるよね」
「あ、……うん」
なるほど、それは楽しみですねぇ!!
そして放課後、オレは三好の友達……小畑美波と多田麻由香に呼び出され、いつもの図工室前の女子トイレに連行されたのだった。
◆◇◆◇
女子トイレに着くと、2人は三好とは違って見張りを立てながらオレを奥の個室へと押し込んでいく。
ーー……なるほど、少しでも人の目に触れないようにね。 よく考えてんじゃん。
しばらくして三好が合流。
狭い個室での、待ちに待ったJSたちによるいじめタイムが幕を開けた。
「ほら! 杉浦がいなくなって安心してたんじゃないの!?」
便器の上にオレを座らせて、腹部や下半身を蹴りつけてくるのは黒髪2つ結びの小畑美波。
ダイキのノートにはいじめられてるところを楽しそうに見てたと書いていたが……かなり楽しそうだなこいつ。 実は自分でやることに興味ありました的なS女か?
とりあえず力はあまりないものの、蹴りの思い切りがいい。 オレの気持ちいいところを偶然にもピンポイントで当ててくる。
「うーわ、でもとうとうウチらも手を出す側になっちゃったね! まぁ福田だし何やっても大丈夫っしょ!!」
小畑の隣で蹴っているのが黒髪ショートボブの多田麻由香。
こいつは今までいじめを見てるだけではなく、たまーに消しゴムのカスを飛ばしてきてたらしい。 ぶっちゃけオレ的にその行為はご褒美だと思うけどな。
ただどうしてだろう……こいつの蹴りはなんかイライラするぞ。
何故そんな感情になるのかオレは冷静に考える。
ーー……!!
そうか!! こいつは優越感を感じていることもなければ、躊躇するという気持ちもない。
ただただイジメに興味があるだけ。 これじゃあオレのドM心には響かないわなぁ!!
そして三好佳奈。 お前は合格だ。
オレの指示したちょうどいいくらいの力加減で……かつ少し緊張した面持ちでオレを蹴っている。
あぁぁ……最高だ。
顔とか殴られてないのに鼻血が出そうだぜ。
オレはこの快感に浸りながら、次のターゲットを小畑か多田……どちらにするかを選定したのだった。
「あー、すっきりした。 佳奈、美波。 もう帰ろ?」
満足げな表情で少し息を乱した多田が2人に問いかける。
「そだねー」
「うん」
こうしてオレのイジメタイムは終了。 多田と小畑が先に個室を出ていく。
しかしあれだな、多田の蹴りには終始苛立ちを覚えていたぞ。
これはお仕置き……いや、調教が必要だな。
「じゃ…じゃあね福田。 あんま調子乗んな……よ」
2人に続いて三好がオレに暴言を吐きながら出ようとしたわずかな時間……オレは小さく呟く。
「三好、次は多田麻由香ね」
お読みいただきましてありがとうございます!
よろしければ下の方に☆マークがありますので、評価していって頂けると嬉しいです励みになります!
感想やブクマ等、お待ちしております!