78 チョロすぎる田舎娘
七十八話 チョロすぎる田舎娘
「あ、そういえばお姉ちゃん。 陽奈って誰か知ってる?」
ある日の昼・昼食時。オレは優香に少し前に出会った……オレのことを知ってるのであろう褐色少女・陽奈のことを尋ねる。
ーー……カタン。
なぜかそれを聞いた福田祖父母が同時に持っていたお箸を落とす。
「え? どうしたの2人とも」
「ダイキちゃん、陽奈ちゃんのことも忘れたのかい?」
福田祖母が目を大きく開いてオレに尋ねる。
「え、うん」
「ダイキ、陽奈ちゃんに会ったの?」
優香が驚いた様子でオレに視線を向ける。
「うん。 そこの川辺で夏休みの宿題してる時に」
「ーー……で、なにかされた?」
「なにか? ううん、別に何も」
どっちかというとオレがやっちゃったっていうか。
「そう……ならいいんだけど」
ん、なんだ? 一気に空気が暗くなったような。
「陽奈ちゃんは近所の薮内さん家のお孫さんだ」
しばらくの沈黙の後、耐えきれなくなったのか福田祖父がオレを見ながら話す。
「薮内さん?」
「そう。 薮内さんはワシらとは長い付き合いでのう……あれはいつだったかな。 そうじゃ、昔夏祭りを近くの神社でやってた時、ダイキお前が迷子になってな……その時に陽奈ちゃんが見つけて家まで届けてくれたんじゃ」
「え、めちゃめちゃいい子じゃん」
「ただ……のう、ばあさん」
福田祖父が福田祖母へ視線を向ける。
「えぇ。 まさか陽奈ちゃんがあそこまでおてんばだったなんて思わなかったわ。 ただ私たちも薮内さん家との付き合いや、陽奈ちゃんにはダイキを探し出してくれた恩があるからねぇ、あまり強くは言えないのよ」
「ーー……例えばどんなことされてたの?」
オレの質問に福田祖父と福田祖母が互いに顔を見合わせる。
「そうだな……例えば外に出たくないダイキを無理やり外に連れ出して草むしりの手伝いやらせたりとか」
「あ、あとは川で遊ぼうって誘ってきて、水着持ってきてないってダイキちゃんが言ったら下着でもいいじゃないってなって連れてってたこともあったわよね。 あの時はダイキちゃん服を着たまま川に入ってたと思うけど」
福田祖父母の話に優香がウンウンと頷いている。
ーー……え、てか全然暗くなるほどでもなくね?
それにダイキもそれくらいならやり返しできただろ。
それになんだ? あっちは水着でこっちは下着で川遊びを提案? ご褒美じゃねえか!! 動物園じゃなくて水族館開園できるわ!!!
◆◇◆◇
午後。 オレたちは夜に花火をしようという話になり、優香と結城は福田祖父母とともにバスで少し大きな街へと買い物に向かった。
オレは先日の川の水の冷たさを結構忘れられずにいたので私服のまま1人で川へ。
田舎ということもあるのかそこまでの暑さはなく、両足を川に突っ込んだまま寝転ぶだけでもだいぶ快適な感じだった。
「あの時はここの水を飲みすぎてお腹痛くなったからな。 今回は飲まねえぞ」
オレはそう呟き目を閉じる。
あぁ、風の音に水のせせらぎが心地よい。 大人になって忘れていた何かを思い出させてくれるようだ。
オレはそんな感じで自然の奏でるメロディに耳を傾けていたのだが……突然その時はやってきた。
「ああーーー!! こんなところにいたダイきちーーー!!!」
「ん? なんだうるさいな」
目を開けると視界にはこの前の褐色少女・薮内陽奈。
寝転んでいるオレの顔を跨ぐようにして真上に立っているからパンツが丸見えだ。
しかし柄のない薄緑のパンツか……なかなかチョイスはいいじゃないか。
オレがパンツに視線を向けていると陽奈はニヤりと笑いしゃがみこんでオレに顔を近づける。
まぁオレの視線はしゃがみ込んだことによってより強調されたパンツだけど。
「ーー……なに?」
「ねーね、今から川遊びせん?」
ん? なんかデジャブだな。
あの時のダイキは何て言ってたっけかな。
確か……
「水着、持ってないから」
「いいやん下着でも。 ここ川やし周りに誰もいないしさ」
「え、でもお前も……」
オレは陽奈を指差す。
さっきパンツ見たからこいつが服の下に水着を着ているなんてことはあり得ない。
ーー……てことはこいつ、オレをおちょくってるだけじゃないか?
そう考えていると陽奈はフフンと鼻を鳴らしながら背負っていたリュックをオレに見せつける。
「なんだ?」
「へへーん、陽奈、ちゃんとここに水着入れてきてるけんねー! やから下着のまま水に入るのはダイきちだけやよーん」
陽奈は口に手を当てながらオレを見下すように笑う。
てかこいつアレだな。 こうしてオレをイジりたいだけのために水着を持ってきていたんじゃないのか? そうだとしたらめちゃめちゃ構ってちゃんの可愛いやつじゃないか。
ただ……オレは去年までのダイキではない。 そう簡単にオレを好きにできると思うなよ?
「え、いいじゃん陽奈も下着のままで泳げば」
「え?」
オレの言葉に陽奈が一瞬言葉を詰まらせる。
「な、何言ってんのさダイきち! そんなの恥ずかしいやん!」
「大丈夫だってオレも下着で遊ぶから。 おあいこおあいこ」
「は!? 全然おあいこじゃないし!! そしたら絶対ダイきち陽奈のパンツ見るやん!!」
陽奈は顔を赤らめて足を閉じ、スカートの上から手で押さえる。
「いやもう見たから薄緑色。 てかお前程度の下着姿でオレが照れると思うなよ」
オレはゆっくりと体を起こしながら陽奈に向き合う。
そう……オレは今まで優香やギャルJK星・結城・三好のパンツを直接嗅ぐまでしてきてんだよ。 それだけじゃねえ、三好に至ってはたくし上げまでさせている。 そんなオレが一瞬で照れるなんてことは……
ドサァッ!
「ーー……!?!?!?」
突然陽奈が背負っていたリュックを地面に下ろし、勢いよく服を脱ぎ始める。
「ーー……え、何やってんの?」
「は!? ダイきちが陽奈の下着姿見ても平気みたいなこと言ったけん確かめるん!」
えっと……なにムキになってるのこの子。
単純って言えば単純だけど……これこそが都会のような邪悪にまみれていないからこそ育まれる純粋さなのか?
結果陽奈は着ていた上着も履いていたスカートも脱ぎ捨て、下着状態でオレの前に仁王立ちに。
「どうダイきち! 陽奈のパンツとか見ても照れないんでしょ?」
「あぁ照れない」
「ーー……!!」
オレは陽奈をまっすぐ見据えて断言する。
まぁ照れるというよりかは超興奮してガン見してますけどね!! まったく白昼早々外で下着姿なんて。とんだ痴女野郎だぜ!
陽奈の顔に視線を移すと結構動揺している。
ちょっと楽しいしこのままイジり続けてみるか。
「うし、じゃあ川遊びするか」
オレは陽奈を見ながら川を指差す。
「え!? で、でもそしたら下着が濡れて透けちゃ……じゃない! ダイきちまだ服きてるやん!! 陽奈だけ下着で入るのおかしいし!!」
「そう? じゃあ脱がせてくれ」
オレは立ち上がって両手を広げる。
「ーー……!?!?」
陽奈が少し顔を赤らめてオレを見る。
「ほら、陽奈が脱がしてくれたら入るって言ってんじゃん。 ほら、早く」
「ーー……もうっ!! わかった!!!」
陽奈はオレの上着の裾に手をかけ思いっきり上にあげる。
おっ……おおう!!!
オレの素肌に陽奈の肌がちょいちょい触れるぜ気持ちいい!!
上着を脱がし終えた陽奈は次にズボンへ。
顔を先ほどよりも赤くして視線を斜め下に向けながらゆっくりと下へ下ろしていく。
「ーー……ん、あれ?」
陽奈が首をかしげながらズボンを下へと引っ張る。
「ん、どうした?」
「いや、何かが引っかかってるのかな……ダイきちのズボンがここから下に行かなくて……」
まぁ……それはそうだよな。
だってさっきまではスカートの中のパンツをガン見、今は下着姿のお前を見てるわけなんだからさ。
「ほら陽奈、こう強く引っ張れば脱げるから」
「わ、わかってるし!! 今からやろうと思っとったもん!」
そういうと陽奈は勢いよくズボンを下に引っさげた。
「ーー……!?!?!? な、ダダダダイきち!?」
ククク……何を見ているんだこのお嬢ちゃんは。
「ふむ、よくできたな陽奈」
オレはあえて動じずに陽奈の前で腕を組む。
「あ、当たり前やし! ほ…ほら、脱がしたよ! これで良いんでしょ!?」
「あぁ。 じゃあ中に入ろうか」
オレは陽奈の手を引きながら川の中へ。
そこで一度わざと転んで尻餅をつき、陽奈を巻き込んで全身を水で濡らせる。
「ちょっとダイきち危な……」
陽奈の視線が上に上がらずに一定の位置で動きを止める。
それとともに顔の色も先ほどよりも真っ赤に。
知ってるか陽奈。
オレの今履いてるパンツーー……ブリーフってのはな、水に濡れるとめちゃめちゃ透けて肌にくっつくんだよニヤァ!!!!
◆◇◆◇
しかし陽奈はあの時何を見たのだろうか。 川の中だから珍しいお魚さんでもいたのかな?
天然の水族館……夏にはうってつけかもしれない。
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