74 エロ&癒しの空間!
七十四話 エロ&癒しの空間!
新幹線を降りた後に電車を乗り継いでオレたちがたどり着いた場所。
そこに降りたち、周囲の景色を見渡したオレは思わず声が口から漏れる。
「マジか……」
「どうしたのダイキ、行くよ」
先を結城と手を繋ぎながら歩く優香がオレに声をかける。
「あ、うん」
やっぱり間違いない。
まさかダイキと優香の祖父母の家が前のオレの実家と同じ地域だっただなんて……。
◆◇◆◇
1時間に2本しか出ていないバスに乗り、より周囲に建物の少ないバス亭で降りる。
ここはあれだ、オレの実家の真隣の町じゃないか。
小学生高学年の時は自転車乗り回して友達とよくここら辺も来てたから何となく覚えている。
「ダイキ、桜子ちゃん、こっちだよ」
優香先導のもとそこから約15分。
周囲を田んぼで囲まれた細い道をひたすら歩き、ようやく優香が木造建築の一軒家の前で足を止めた。
「ここ?」
「うん。 桜子ちゃんのことも電話で話してておじいちゃんたち知ってるから。 ささ、入ろ」
優香はそう言って微笑むとただいまの声とともに玄関の引き戸に手をかけた。
「わぁーー優香、ダイキおかえりなさーーい!!」
中に入ると白髪混じりのお婆さんが満面の笑みで出迎える。
「ただいまおばあちゃん。 この子が電話で言ってたダイキの同級生の桜子ちゃんだよ」
優香が結城に視線を向けながらお婆さんに教える。
「あら可愛らしい子ね。 初めまして」
「は……はじめまして」
結城は緊張からかぎこちなくお辞儀をする。
「さ、暑かったでしょう? 中にお入り」
どうやら福田祖父は町内会に出ているということで今はいないとのこと。
オレたちは福田祖母に背中を押されながら半月の間泊まらせてもらう2階の部屋へと案内されたのだった。
◆◇◆◇
「うーーん……」
オレたちは部屋の前で頭を悩ます。
福田祖父母が用意してくれていた部屋は2部屋。
福田祖母曰く、優香は高校生で色々あるからと1部屋。 そしてオレと結城はまだ小学生だし一緒の部屋でいいだろうということでの1部屋だったのだが……
「どうする桜子ちゃん。 1人がよかったら1部屋桜子ちゃんが使ってくれてもいいし、男の子と一緒の部屋があれだったら私と一緒の部屋にしてもいいけど」
優香が結城に尋ねる。
「うーん……」
結城がオレに視線を向ける。
「ーー…福田くんはどう思う?」
「え、オレ?」
「うん」
「そうだなぁ……」
オレは腕を組みながら考える。
ぶっちゃけオレ的にはプライベートタイムが欲しいからできれば結城は優香と一緒の部屋にして欲しいけど、優香も高校生だ。 福田祖母の言う通り色々ありそうだしな、高校生だと夏休みの宿題の量も多そうだし……
オレは優香を見上げる。
ーー……そうだよな。 考えてみれば、学校がある時はオレの世話をしつつの生活だったし、土日もなんだかんだオレや結城の相手をしてくれてたんだ。
この帰省してる期間はガチで有意義に過ごしてもらうか。
「ん? どうしたのダイキ」
オレの視線に気づいた優香がオレに尋ねる。
「ううん、じゃあオレ結城さんと一緒の部屋にしようかな。 お姉ちゃん宿題とか多そうだから邪魔したくないし」
「ダイキ……」
「結城さんもそれでいい?」
オレの質問に結城は大きく首を縦にふる。
こうして1部屋は優香、もう1部屋はオレと結城が滞在するということとなった。
ーー……のだが、、
ゴクリ
中に入ったオレは思わず生唾を飲む。
部屋は6畳ほどの和室で隅に布団が2つ、4つ折りに畳まれているのだが、冷静に考えると今日から約半月……結城とここで共に夜を過ごすわけだよな。
てことは着替えてるところも……間近でルッキング可能!?!?
うおおおおおおお!!!!! これはこれで素晴らしい展開になってきたぜえええ!!!
この部屋にはエロ漫画やギャルJKパンツといった癒しアイテムこそないが、今このシチュエーションこそがもはや最高のエロ&癒しの空間だもんな!
ラブカツの話し合いに行けない分、オレはこの6畳の部屋で幸せを満喫してやる!!
オレはそう自分の心に誓いを立てて対面に座っている結城に視線を向けたのであった。
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夏休み回ということで水着回必須ですよね!近々用意する予定です!
作者、挿絵頑張っちゃいます!!