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☆732☆【作者の気まぐれSP】ラブ手帳②



 特別編・ラブ手帳②



 前世含めて、オレはこれまでモテない人生を送ってきた。

 だからこれはおそらく天からの救済措置……存分に楽しませてもらうぜ。


 

 朝、優香お手製の絶品朝食を終えたオレは、胸を高鳴らせながら玄関へと向かう。

 


「ダイキ、行ってらっしゃい。 今日はやけに元気だね」

「まぁね! 行ってきマァス!!!」



 優香に行ってきますの挨拶をして玄関の扉を勢いよく開けると、そこにはエルシィちゃんとエマが手を繋いで立っていた。

 


「あー、だいきー。 おーはよー」



 先にオレに声をかけてきたのはエルシィちゃん。

 昨日とは打って変わってエルシィちゃんが無邪気な……いや、癒しの笑顔を振り撒きながらオレに挨拶をしてくる。 



「うん、おはよー、エルシィちゃん」


「んー! えっちー、きのお、びくり、したのよー?」


「びっくり? なんで?」


「えっちー、なんれか、わかんなーけど、だいきと、けこん、いっぱい、したかたのー!」


「そうなんだね! 昨日は嬉しかったなー! 今はもうそんな気持ちないの?」


「んんー? えっちー、だいきと、けこん、してもいいのよー? れも、きのおの、いっぱい、ちがうのよー」



 うむ、完全にエルシィちゃんは昨日みたいな……オレのこと大好きモードではないみたいだ。

 それもそのはず、昨日の夜中に目が覚めた時、あのラブ手帳に書いたエルシィちゃんの名前の上に斜線を引いたからな。 これで効力は完全に消えた……今オレの目の前にいるエルシィちゃんは、いつも通りの金髪ロリ天使だ。


 オレはそんな元に戻ったエルシィちゃんに対し「そっかー、昨日ほどじゃないのかー」などと返しながらエマに視線を移す。

 するとどうだろう、いつものエマならエルシィちゃんをかばいながらオレにツッコミを入れてくるはずなのだが……頬を赤らめながら、ポーっとオレを見つめてきているではないか。



「ん、どうした、エマ」


「ーー……」


「おーい、エマー? どしたー?」


「ーー……っ! はっ! ダ、ダイキ! なに!?」



 エマは一瞬オレに視線を向けるも、目が合うなりすぐにその視線を別の方へ。 更に頬を赤らめながら細かく顔を左右に振り、「ったく、どうしちゃったのよ私……!」と小さく呟いた。



 ほうほう、エマは人を好きになると、そんな反応をするようになるのか、ニヤニヤ。

 そう!! もうみんなもお気づきだろう!! オレは昨夜エルシィちゃんの名前を線で消した後に、完全なる出来心でエマの名前をラブ手帳に書き記したのだ!!!



「うん? どうしたんだエマ、具合でも悪いのか?」



 オレはわざとらしい笑みを浮かべながら、エマの顔を覗き込む。



「な、なんでもないわよ!!」


「そうなのか?」


「そ、そうよ!」


「てか顔赤いぞ? もしかしてエマ……オレに恋しちゃったとかー?」


「な、なああああああ!?!? 朝から変なこと言ってんじゃないわよ変態ダイキ!!」



 これもいつものパターンなら、鉄拳か急所キックが飛んでくるはずなのだが……好きな相手には手を出さない性格なのだろうな。 エマはオレに視線を向けないままオレに背を向け、エルシィちゃんの手をを引っ張り歩き出す。



「んー? どうした、いつもみたく殴ってこないのか、エマー」


「時間の無駄なのよ!! ほら、このままだと遅刻しちゃう……さっさと行くわよ!!」


「なぁ、ほんとにエマ、オレのこと好きじゃないの?」


「あー、もううるさいわね!! 好きよ! 悪い!?」


「!!!!!」



 っしゃあああああああああああああああああああああああ!!!!!

 キタアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!



 あの難攻不落だと思われていたエマを、こんなあっさりと攻略できるなんて!!! ていうかこのエマはエマで、可愛すぎるだろ素直万歳!!!!!



 オレは目の前の『恋する乙女モード』のエマに完全にノックアウト。 当初はポケットに潜めたこの神器ゴッズアイテムラブ手帳で、学校の女子全員に一度はオレに惚れさせよう計画を企てていたのだが……



「エマおねーたん、エマおねーたんも、だいき、ちゅきなんなー?」


「そうよ。 だからこれに限っては、エルシィにも譲る気はないからね」


「そーなー? じゃあ、だいき、エマおねーたんに、あげゆー」


「やった! ということだからダイキ、その……エマと、付き合っちゃう?」



 ーー……あ、ダメだ。 可愛すぎて、破壊力半端ねぇ。

 これはもう他の女子からの、オレへ向けての好意は要らねーな。 



 オレはすぐに計画を中止。

 この恋する乙女モード状態のエマとの時間を優先することにしたのだった。



「エマ……ありがとう」


「なんでダイキが感謝してるの?」


「だってこんなオレのことを好きになってくれるなんて……」


「そんなの当たり前よ。 ダイキにはいいところがいっぱいあるもの」


「でへへ、そうかな。 例えばどんな? あ、優しいとか、そんなありきたりなのは無しな」


「例えば……ダイキってイケメンやプレイボーイでもないのに下ネタをよく口にするじゃない? でも不思議とか嫌な気持ちにならないのよね」



 ーー……。



「は?」


「それに、たいして立派でもないのに、人前でも堂々と大きくしてるところとか……自分に正直で、いいと思うわよ」


「ーー……」



 うん決めた。 学校に着いたら、即刻あのラブ手帳に書き記したエマの名前の上に線引いて消そう。




お読みいただきましてありがとうございます!!!

次でラストです!! 読んでくださってる方、本当にありがとうございます!!!!

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