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☆726☆ 【作者の気まぐれSP】お決まりのハプニング!!【挿絵有】


 七百二十六話  【作者の気まぐれSP】お決まりのハプニング!!



 扉を開けると、エマが先頭を切って中へと入っていく。

 小畑は誰か入ってくるとは思ってもみなかったのだろう……扉の音にピクリと反応。 タオルで汗を拭いながら、静かに視線を向けてきた。



挿絵(By みてみん)



「久しぶりミナミ。 頑張ってるようね」


「え、エマ? それに佳奈に真由香、福田までええええええ!?!?」



 ◆◇◆◇



 どうやらエマいわく、ダンスレッスンそのものがこの時間までだったとのこと。 エマが事前にメイプルドリーマーのマネージャー……通称・鬼マネに話を通してくれていたらしい。

 そのことを聞いた小畑は大きく息を吐きながら、膝から力なく崩れ落ちた。



「あ、そうなの? レッスン時間がさっきまでだったってこと?」


「そうよ。 と言っても結構してたでしょう?」


「確かに途中休憩を挟んでたとはいえ、もう三時間も経ってる」


「それだけミナミがレッスンに集中してたってこと。 三時間も体力持つとかすごいじゃない」



 そうエマが優しく声をかけると、小畑はそのまま仰向けに倒れ込む。 その後安心した表情で、「ちょっと……だったら先に言ってよー」とエマにエアーツッコミを入れた。



「いやいや、言うわけないでしょう? こっちはミナミに内緒……サプライズで来てるんだから」


「もう色んな意味で終わったかと思ったじゃんーー」



「「!!」」



 小畑の言葉にオレと三好が揃って反応。 条件反射のように小畑を見つめる。



「ん、どしたの佳奈に福田」


「え、ううん!! なんでもない、なんでもないよ!! ねぇ福田!!」

「あ、ああなんでもない!! 本当になんでもないんだ!!!」



 ちくしょう、さっきの修羅場しゅらばを見なかったことにしろって……そう言われたら余計に気にしてしまうじゃねーか。

 オレと三好が返事に困っていると、気の利く多田がすかさずフォロー。 「佳奈も福田も、中学に行く前に美波に会いたがってたんだもん。 また会えて嬉しいんだよ」と言葉を挟んだ。



「え、私に?」


「そうだよー? まぁウチも私立組だけど、実家から通うから佳奈や福田たちとは会おうと思えば会えるからね。 でも美波は土日とかはこうしてレッスン漬けっぽいし、そもそもお母さんと一緒に引っ越すじゃん? 簡単に会えなくなるからこそ、会えるうちに会いたいって思うのは当然だよ」



 おお、なんて素晴らしいフォロー……さすがは情報収集役を任せていただけのことはあるな。

 納得した小畑は「あー、そういうことね」と頷くと、ゆっくり上体を起こす。 その後「でも、助かったー」と背伸びをしながら三好の背中に抱きついた。



「ええ!? 美波!? どーしたの急に!」


「いや、色々ちょっと大変で限界寸前だったからさー。 なんかこうして佳奈に抱きつくと今までを思い出して……精神的に癒されるわー」



 小畑は三好の背中に顔を埋めたまま、「落ち着くー」と小さく呟く。 するとどうだろう、本来この状況では小畑が泣くのが普通だと思うのだが……なぜか抱きつかれた三好の方が泣き出してしまったのだった。



「ちょっ、えええ!? 佳奈!? 私別に力込めて抱きしめてなくない?」

 

「うわああああああん!!! だって、だってええええええ!!!」


「待って、本当に分かんないんだけど!! ねぇエマ、私、今佳奈に泣かすようなことした!?」


 

 焦った小畑が慌ててエマに質問を投げかける。

 エアはそんな小畑に笑顔で返しながら、視線を壁にかけてあった時計へと移した。



「とりあえずここを出ましょ? もうちょっとしたら別の子たちのレッスンが始まるはずよ」



 エマがそう声をかけたと同時。 

 扉が開かれてアイドルなのかモデルなのかは分からないが、顔面偏差値・スタイルと共に高レベルの高校生・大学生あたりの女子たちが続々と入ってくる。



「昨日の課題できたー?」

「うーん、一応は覚えてきたつもりだけど、多分ダメだし貰うと思うなー」

「だよねー。 あはは、がんばろー」



 うおお、なんだかみんなオーラがあるな。



 オレがそんな女子たちに見惚れていると、その女子たちはまさかこの場に男がいるとは思っていなっかったのだろう。 先に室内にいたオレたちのことなど一才気にかける様子もなく、レッスン着に着替えるべくその場で服を脱ぎ始める。


 

 ちょ、マジかよ……、やったあああああああああああああああ!!!!



 優香やギャルJK星のそれを見慣れてるとはいえ、二人がけないような柄のブラジャーやパンツを見るのは逆に新鮮すぎる!!!!! 最高だぜヒャッハアアアアアアアアアアアア!!!!



 オレはそのまま瞳を通して脳内に直接録画。 たまに揺れるそれらに大興奮していると、それに気づいたエマが背後からヘッドロック。 小畑の私服の入った袋をオレの頭に被せ、「今声出したら潰すわよ」と脅しの言葉を囁きながら部屋の外へと連れて行ったのだった。



 いや、声を出すというよりもこの状況でオレがとるべき行動は……



 すんすん!!! スーーハーー!!!!



 そう、この袋の中に入っているのは小畑の私服。 小畑の香りが……身につけていた衣服が、オレが空気を吸うたびに口や鼻に吸い付いてくる。

 さっきまでは目が幸せだったけど、今度は肌触りと匂いが幸せなんじゃあああああああ!!!!


 

 そして背後で密着しているエマの身体の感触も……



 お? エマのやつ、どことは言わないが前よりもフワフワ感が成長しているような……ゲフンゲフン!!



 オレは袋を外されるギリギリまで一心不乱に『小畑の香り』と背中に感じる『エマの成長の尊さ』を摂取。 そして外された時には……ホコリとかが鼻に入ったのかな? かなり控えめな『クシャミ』をしてしまったのだった。



「すまないエマ、トイレはどこだ?」


「なに? この階に男子トイレはないわよ」


「まじか」


「我慢できるでしょ? しなさいよ」


「ーー……いや、もう遅い」


「は?」



 オレはエマの耳元に顔を近づけ、三好たちには聞こえない声量で囁く。



「エマなら分かってくれると思うから言うけどさ、興奮しすぎて……ちょっと出ちゃった」


「ちょっと出たって、ーー……っ!!!」



 うーーん、さすがはエマだ。 すぐに下半身へ視線を落としてくれるあたり、話が早いぜ。



「ーー……そういうことなのね」


「へい」



 エマは顔を赤くしながらも、三好たちに「ちょっとダイキシバいてくるからそこで待ってて」と言い残してオレを女子トイレへ。 個室に押し込むと、「見張っててあげるから早く拭きなさい!!」と天使的な言葉を投げかけてくれたのだった。



「ありがとうエマ」


「いいから早くしなさいよ!!」


「それともう一つ問題があるんだけど……」


「なによ!」


「オレさ、リュックとか持ってないから……このパンツどうすればいいかな? 流石にここで捨てたらまずいよな?」


「ああああ、もう!! いいわよ!! エマのカバンに入れててあげるから、早く渡しなさい!!! でもあれよ!? できる限り、念入りに拭き取ってから渡すのよ!?!?」



 ええええええ!!! エマの(カバンの)中に、直接ーーー!?!?!?



 ーー……これはこれで興奮するぜ。



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