719 【真・結城編】類稀に見る最高すぎる1日!!【挿絵有】
お読みいただきましてありがとうございます!!!
桜子だけに桜、咲く……いい言葉ですねぇ!!!
七百十九話 【真・結城編】類稀に見る最高すぎる1日!!
結城の許可が出たことにより、エマも「桜子がそう言うのなら……」とオレの水着動画撮影を了承。
その後結城のいないところで「一応モデル経験者からのアドバイス……写真を撮られてる時、どんな反応されたら嬉しいのか教えておくわね」と助言を貰い、いざ撮影当日。 オレはスマートフォンを固く握り締めながら目の前の光景に心を躍らせていた。
結城が着ているのは全体的に青が基調の上がフリルで下がスカートのような形状をした水着。
「こ、神々しい」
オレが小さく感想を漏らしていると、エマがその水着の簡単な説明をはじめた。
「この水着ね、見ての通りクラゲをイメージしてデザインされたらしいのよ。 桜子にぴったりでしょ」
「あぁ、素晴らしく似合ってるぜ」
「それでね……これって一般的にはフリルビキニっていう分類なんだけど、トップでいうと大胆にも中心部だけフリルがなくて、そこにクラゲ型の穴があるでしょ?。 そこから肌がちょっと見えることでセクシーさを醸し出してるのよ」
そう、まさかのフリルビキニで中心に穴……肌が見えるという素晴らしさ!!!
もちろんオレの目はそこに全集中。 若干ではあるが結城の膨らみをこうして生で拝めることができるなんて……なんて最高なデザイナーなんだ!!!
結城が「あ、あんまりここばっかり見ないで」と恥ずかしがっているが関係ない。
見れる時に見る!! それが男の生きる道だ!!!
「まったくけしからn……いや、至高だな。 全体的に見ても新しい。 特に下のスカートっぽいやつからクラゲの触手みたいなのが出てるところも可愛いな」
「あ、分かる? そこに目をつけるとはさすがダイキね! デザイナーさんも喜ぶと思うから伝えておくわ」
エマはそのデザイナーと少し親交があるらしくオレが水着を褒めたことでかなりご機嫌に。
それで気を良くしたのか、目の前でモジモジしながら立っている結城にとんでもない要求を口にしはじめた。
「じゃあ桜子、その下のスカート捲りあげてみて」
ナ、ナンダッテエエエエエエエ!?!?!?
エマのその要求にオレはもちろんのこと、結城がそれ以上に動揺しながらエマに視線を向ける。
「え……えええ!? 捲るの!?」
「大丈夫よ。 中に履いてるのは所詮水着でしょ? パンツじゃないんだから全然恥ずかしくないわよ」
「た、確かにそうだけど……でも恥ずかしいよ」
「桜子、今エマは桜子にエッチなことをさせているんじゃない……説明をしてるのよ。 それにこの説明を聞いたら桜子ももっとその水着に愛着が湧くはずよ」
ーー……うむ、オレ的にはかなりご褒美……エロいことさせてると思うんだが。
まぁでもエマがそういうのならエロくない!!
そう、オレと結城は今エマから説明を受けているだけ……そしてたまたま結城がその水着を着てるんだから仕方のないことなんだよな!!!!
結城は観念したのか頬を赤らめながらスカートを上へ。
すると中からパンツ型の水着……ビキニボトムスがこんにちは。 黄色の生地に赤色の水玉模様をオレの視界が捉えた。
「この柄は毒を表してるらしいの」
「毒?」
「えぇ。 ほら、毒キノコってこういう水玉模様のあるイメージあるでしょ? それを体現させたんだって」
「いやいや水着に毒なんてまた物騒な……」
「はぁ……なんで分からないかしらねー。 『綺麗な花には棘がある』って言葉があるように、『可愛い物にも毒がある』ってことを言いたいのよ。 可愛いからって容易に近づくと痛いめ見るわよー?ってこと!」
「おおお、なんか奥深いな」
「でしょ! 一見子供っぽいデザインに見えるけど、それだけじゃない……セクシーや表現性を兼ね備えたなかなかに面白い水着なのよ」
その後オレはようやく撮影を開始。
結城も最初こそ恥ずかしがっていたのだが、これは……前に貰ったエマの助言のおかげだな。 「桜子ちゃん可愛い! ほんと似合ってる!」やら「おいおいオレはアトランティスに来ちまったのか!?」などの褒めや笑いを織り交ぜていると、最終的には結城もニコリと微笑みながら撮影に応じてくれるようになったのだった。
ちなみにオレのお気に入り写真がこれなんだが……
このスカートを捲りあげて微笑んでる結城。
やられたぜ。 まさか視界から毒を注入されるなんて……もう結城中毒だよ。
◆◇◆◇
もうちょっと結城やエマたちと戯れたかったのだが、昼寝していたエルシィちゃんが起きたり夜には結城母もエマ家に泊まりに来るらしく、日が落ちる頃にオレは一階下の自宅へと帰宅。 リビングに入ると週末&もうすぐ受験日ということでギャルJK星も来ており、早速尋問タイムが始まった。
「おかえりダイキよ! エマちゃんや桜子と遊んでたらしいな!」
「う、うん」
「小学生の高学年って何して遊ぶん? しかも女の子と」
「え」
「隠せると思うてか!! お主、部屋に入ってきてから終始ニヤニヤしておったことに気づかなかったのか!!!」
「な、なにいいいいいい!?!?」
慌てて頬に手を当てて確認してみると確かに口角が左右どちらも上に上がっている。
「あ、いや! これはなんでも!!!」
「はいダウトー!! お主、どうして焦りながらポケットに手を当てた!? そこに入れてるのはスマホじゃな……よし、美咲お姉さまにお見せなさーーい!!!」
「アアアアアアアアア!!!!!!」
ギャルJK星はスルリとオレのポケットからスマートフォンを抜き取りゲット。
強制的に見られると思っていたオレだったのだが、ここでギャルJK星は「電源つけるべ? 良き?」と律儀にオレに確認。 その時向けてきた笑顔がかなり眩しかったため、オレの脳が『可愛いと美人のお願いは絶対!!』とバグを起こして意思とは関係なく首が勝手に縦に動いた。
「さっすがダイキ! そういうオープンなところ好きだべ!! んじゃ失礼してーー」
ギャルJK星が満面スマイルでオレのスマートフォンの電源を付ける。
するともちろんすでに壁紙に設定済みの結城水着VERの画像が表示されるわけで……
「ダ、ダイキ……すげぇな」
壁紙を見たギャルJK星はポツリと呟く。
「え、なにが?」
「いやこの写真さ」
あー、なるほどな。 ギャルJK星はオシャレとか詳しいし、この結城の着ていた水着の良さに一瞬で気づいたってことか。
これはまさかの結城の良さについて語り合えるやつかもしれない。 オレは「でしょー!」と返しつつ、クラゲモチーフの水着について説明しようとしたのだが……
「普通はさ、1回距離空けた相手にここまでのことはしないべ?」
「え」
「それにこの表情……これ撮ったのダイキよな? 桜子、カメラの奥にいるダイキをめちゃくちゃ信頼してるようにも見えるし、一体どうやったらこんな魔法みたいなことを」
「ーー……」
いやちょっと待て。
「ねぇ星さん」
オレはギャルJK星の話を途中で止めるように彼女の手首を掴み、先ほどとは真反対……無表情でギャルJK星を見上げる。
「ん、なにダイキ」
「どうしてそのこと……距離を空けられたこと、星さんが知ってるのカナァ」
「ア」
ギャルJK星の表情が固まる。
そしてあろうことか、そのままギャルJK星の視線がキッチンで夕食の準備をしていた優香の方へ向けられているではないか。
「ま、まさか……お姉ちゃんまで知ってるの!?」
「さぁー、ナンノコトカナー。 美咲ちゃん知らない……何の話してたっけー」
「お主バレバレだあああああ!!! どうして何も知らないのに言葉詰まってお姉ちゃんの方見るんだああああああ!!!!」
「ああああああ!!! バレたああああああああ!!!!!」
ギャルJK星はオレから逃げるように優香のもとへ。
「ごめんゆーちゃん、口滑っちゃったあああああああ!!!!」と叫びながら優香の背中に抱きついた。
「え、なにが? 私美咲と内緒にしてることあったっけ」
「ダイキが桜子にフラれたこと知ってるの言っちゃったあああああああ!!!」
「ええええええええええ!?!??!?」
それから2人は超低姿勢でオレに内緒にしていたことを謝罪。 しかしその件はもう終わったこと……オレもまったく怒りなどはなかったためすぐに2人を許したのだが、ここでまさかのご褒美が舞い降りることとなった。
「よし、こうしよう!!! 今日のお風呂、ダイキも一緒に入るべ!!」
ギャルJK星がオレに肩を回しながら明るい笑顔で提案してくる。
「え」
「んでアタシもゆーちゃんも水着着て入ったげる! もちろん裸じゃないから撮影自由な!! これがアタシらの誠意……どうだダイキ!!」
「アリガトウゴザイマス!!!! 最高デス!!!!」
今日はなんて最高な日なんだ。
11月だというのに最推しの結城だけではなく優香やギャルJK星の水着姿までカメラに収めることができるなんて!!
夜、オレは自身の身体がどんな状態になってるかなど関係なく2人の水着姿を激写。 スマートフォンの電池残量が0に近くなるまで永遠に連写や接写・動画撮影を交互に繰り返す。
「あはははは!!! 見てゆーちゃん、ダイキめっちゃ興奮してるべ!」
「だ、ダイキ。 嬉しいのは分かったけど、ちょっとは隠そうよ」
「こりゃーあれだべな。 アタシが着てんのゆーちゃんのやつだし、サイズが合わなくて若干はみ出てるから余計に興奮してんだろな!」
「ちょ、違うよ! ダイキは私の水着に興奮して……!」
「おっとー、興奮戦争かぁー!? じゃあどっちの写真を撮ってる時によりダイキが興奮してるのか検証すっぺ!! まずは先行アタシねー! ほーらダイキ、こんなポーズ欲しかったよなー?」
「ま、待ってよ美咲、私だって……! ダ、ダイキ! ダイキはお姉ちゃんくらいの大きさの方が好きだもんねー? ほら、こうしたら柔らかさが写真越しでも伝わるんじゃないかなー?」
オアアアアアアアアアアアア!!!!!!
天国すぎて心が成仏しそうなんじゃああああああああああ!!!!!
「最高すぎる……もうオレ幸せすぎて天にも昇っちゃいそうなレベルだよおおおおお!!!!」
オレは心と脳の思うがまま……本能のままにカメラボタンを連打していく。
しかし調子が良い時ほど冷静になれとはよく言うもので、超至近距離での接写やら動画を回して全体を舐め回すように撮っていたその時、興奮に耐えきれなくなったオレの体がハックション。
更にそのハックションで足を滑らせ転倒し、オレの手から離れたスマホが綺麗な弧を描きながら浴槽の方へ。 見事お湯の中にインしてしまい天に召されてしまったのだった。
「で、電源が……つかない」
「どんまいダイキ! てか今の一瞬でほぼ同時に逝っちゃうとかミラクルだべな!」
「美咲、それどういう意味……と、とりあえず洗おう? 顔にその……付いてるよ」
あぁ、やってしまった。
オレは電源のつかなくなったスマートフォンをタオルで包みながら湯船に浸かる。
すると……どういう意味なんだろうな。 目の前で体を洗っていたギャルJK星と優香の会話を聞いていたんだが……
「でもあれだなゆーちゃん。 これってダイキ、もしかするともしかするべ?」
「え?」
「桜子だけに『桜咲く』ってね!」
「美咲、上手いこと言うね」
「でしょー! 先週国語の問題集で出てきて覚えたやつ! どう? インテリっぽかったべ!?」
「うん。 しかも『桜子だけに……』って語呂も良かった」
なにを言ってるのかは分からんが……あれか?
桜子だけに桜咲く……スマートフォンの壁紙にしていた結城の表情が、桜の花が開花した時のように明るかったから……もう1回頼んだらまた撮らせてくれるかもってことなのか!?!?
ーー……覚えてたらあとで調べてみるか。
まぁおそらく忘れてるだろうし、そもそもスマホぶっ壊れたから検索すら出来ないんだけどね!!!
◆◇◆◇
お風呂から上がって約1時間後のリビング。
1人ソファーの上でスマートフォン終了のショックを忘れられないまま横になっていると、優香と勉強をしていたはずのギャルJK星が「ねぇダイキ、ちょっと良き?」と顔を覗かせてきた。
「なに星さん」
「さっきゆーちゃんと部屋で話してたんだけどさ、水没したダイキのスマホ……壊れたんじゃなくてただ単に電池残量がなくなっただけじゃね?」
ーー……。
「え?」
「だってそれ確か防水じゃん。 別に勢い余って水溜りに落とした訳でもないんだし……もう乾いてるはずだべ? いっぺん充電器挿してみ?」
「いやいやそんなわけ。 そんなタイミングよく電池がなくなるなってことが……」
ピロロン♪
「ほらやっぱり。 良かったべなダイキ」
Oh。




