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716 【真・結城編】心、叫ぶ!!【挿絵有】


 七百十六話  【真・結城編】心、叫ぶ!!



 さて、恋愛フラグ復活の可能性について悩みながら登校していたら気づけば校門前。

 


「え、オレはいつの間にここまで……」



 呆気にとられ立ち止まっていると、一緒に登校していたエマが「なにどうしたのよダイキ。 昨日の夜にきたメールといい……一体どうしたの?」と後ろから回り込み尋ねてきた。



「あーいや、別に大したことじゃないんだけどな」


「もしかして、また恋しちゃったとか言うんじゃないでしょうね」


「エ。 そ、そんなわけねーだろ」


「そうなの、ならいいけど」



 エマは何か勘付いたのか、オレを見上げながら「でももう2学期ももう少し……3学期なんて短くてあってないようなものなんだから、変な暴走とかもう勘弁してよねー?」と若干肩をあげて微笑む。



「なんでそんなこと言うんだよ」


「さぁ。 自分の胸にでも聞いてみれば?」


「だ、だからオレは何でもないって……」


「ふふ、まぁダイキの人生だし無理に止めたりはしないけどね。 せいぜい頑張りなさいよ」



 あー、これは完全にバレちまってるな。



 その後エマは隣でポカンと口を開け見つめていたエルシィちゃんの手を取り正面玄関へ。 

 


「ほらエルシィ、いくわよ」


「ダイキと、エマおねーたん、なに、はなしてたんなー? エッチー、ぜんぜん、わかんなかた、のよー?」


「いいのよエルシィは分からなくて」


「そうなー?」



 オレはそんな2人の会話を聞きながら後ろをついて行っていたのだが……



 エルシィちゃんと別れて6年生用の靴箱前で上履きに履き替えていると、ちょうど登校してきた結城と鉢合わせる。 それにいち早く気づいたエマが「あら桜子。 おはよ」と声をかけた。



「え、あ、う、うん。 お、おはよ……エマ」



 そう挨拶を返しながらも結城は視線を一瞬だけオレに。

 しかしオレと目が合うや否や、すぐに視線をエマへと戻す。



「えぇおはよ。 ていうか桜子どうしたの? 今朝のダイキといい……桜子もなんかテンションおかしいわよ?」


「そ、そんなことないよ」


「そうなの?」


「うん。 あ、それと、おはよ……その、ダ、ダイキ……くん」



「「ーー……」」



 え?



 突然の結城からの『ダイキくん』呼び。

 度肝を抜かされたオレとエマは言葉を発さぬままお互いに顔を見合わせ、そして……



「ちょっ、えええええええええ!?!? 桜子との間になにがあったのよダイキーーーー!!!」

「うわあああああああああ!!! オレが一番聞きてえよおおおおおお!!!!!」



 ま、待ってくれ心の準備が……!!

 てか名前呼びってオレが結城の名前を呼ぶだけかと思ってたのに、結城もオレの名前呼ぶんかーーーい!!!!



 顔が一気に熱くなったオレはあまりの衝撃で力が抜けて膝からドサリと崩れ落ちる。



「ええええ!?!!? だ、ダイキ!?!?」


「ダメだ、腰抜けた」


「はああああ!?!? なにしてんのよこのヘタレ!!」



 エマは崩れ落ちたオレに顔を近づけるとそっと耳打ち。

「これってあれじゃないの!? チャンス到来……ちゃんとレスポンスして桜子の名前呼んであげなさいよ!!」と結城には聞こえないくらいの声量で囁く。



「ーー……!! ま、まじか!」


「えぇ! 普通、急に名前呼びしたくなるなんてありえないわ! だから早く名前呼んであげなさい!」



 お、おおおおおおお!!!! やっぱりそうか!? そうなのかああああああ!?!?!??



 恋愛力の高いエマが言うんだから、あながち間違いでもないはずだ。

 告白するわけではないんだし、これで更に距離が近くなるのならばそれに越したことはない。 オレは大きく頷くと、結城に視線を移して勢いよく口を開いた。



「お、おおおおおはよう!! さ、さささ……桜子……ちゃん」



「!!!!!!!!」



 そう呼ぶとどうだろう、結城は大きく目を見開きながらオレを凝視。 オレもその後どう続けたらいいのか分からなかったためそんな結城を逆に見つめ返していたのだが……



「ーー……、きゅううぅ」



 見上げていたオレの視界から結城の姿が消える。



「ゆ、結k……じゃなかった、桜子ちゃん!?」

「ど、どどどどどうしたのよ桜子!!!!」



 あろうことか結城までもが膝から崩れ落ちる始末。

 2人揃ってエマの介抱が必要になってしまったのだった。



「あははっ、び、ビックリした。 ごめんねエマ。 ダイキ……くんに名前呼ばれたら、私も力抜けちゃって」


「もおおおお!!! なんで桜子まで腰抜かしてんのよおおおおお!!!! そんでダイキ、あんたはどさくさに紛れて首筋の匂い嗅がないの!! もう肩貸してあげないわよ!!!」


「す、すみませんつい」



 ◆◇◆◇



 あれから教室に着いてからの、エマからもらった助言。



『いい? さっきエマはダイキにチャンス到来って言ったけど、それはあくまで可能性の話だから鵜呑みにしないこと。 間違ってもその変態脳の思うがままに行動するんじゃないわよ』



 ぐああああああああああ!!!!!

 そんなこと分かってるけど、もどかしすぎるぜええええええええええええ!!!!!


 

 蘇った恋心の補正なのか、結城が視界に入るたびに胸が激しく鼓動……結城の周囲がキラキラと輝き出す。

 ていうか気づけば結城を目で追ってるし……こんなことになるなら2人で遊びに行かない方がマシだったのか?



「はぁ……夏の終わり頃、久しぶりに遊びに行った映画が懐かしいぜ」



 休み時間トイレ内。 オレはため息をつきながら以前結城と久しぶりに出掛けた際に撮影した写真を眺めながら呟いていた。


 

「このカメラを向けられた途端に緊張して笑顔が消えちゃうあたり、ほんと可愛いよなぁ……」



挿絵(By みてみん)



 はぁ……可愛いどうしよう!!!!!!




お読みいただきましてありがとうございます!!!

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