715 【真・結城編】恋愛感性は十人十色!?
七百十五話 【真・結城編】恋愛感性は十人十色!?
何が……どうしてそうなったんだっけ。
夜、通話していた結城からの突然の提案。
『じゃあどうかな、名前で呼んでくれたり……とか。 結城さんじゃなくて、さ、桜子って』
か、かかかか可愛すぎるううううう!!!!!!!!
オレの心臓は爆発寸前に。 それと同時に恋愛初心者脳が『名前呼びを求めてるってことは……チャンス再来なのでは!?』と都合のいい解釈をし始める。
このままではまた我慢出来なくなって、変な男気が漲ってきて勢いに任せて告白しかねないな。
オレは一旦その提案を保留することに。 「く、詳しくはあれだ、明日話そうよ」と無理やり話を締めてその日は解散することにした。
「ーー……うむむ。 これはマジでどうなんだ? 一度告白まで行った相手とまた接近ってするものなのか?」
気になったオレはすぐに三好に連絡。
もちろん結城のことを聞くわけではないのだが、女の子はその辺についてどう考えてるのかを聞いてみた。
『どしたのー?』
「すまんな三好。 起きてくれてて助かった。 ちょっと聞きたいことがあってな」
『なに?』
「三好ってほら、オレが前のダイキにいつ戻っちゃうか分からないから付き合えないって言ってたじゃん?」
『う、うん。 それがなに? なんでそんなこと今更……』
「仮にだぞ? 別にこれは告白ではないから安心してほしいんだけど……もし仮にそれを分かった上で一度フった三好がオレと付き合いたくなる状況があるんだとしたら、どんな状況なのかなって」
『は、はあああ? なにそれ』
ここで三好がどう答えるかでこの今オレが置かれている状況が少しでも分かるはずだ。
理想としては『フった時には気づかなかった魅力に後で気づいた』とか言ってほしかったのだが、三好の口から発せられた答えはオレの理想とはかけ離れていて……
『いやー、そんなことある? 普通はないと思うけど。 なんかかなり特殊なことが起きない限りないんじゃない?』
「特殊なこと?」
『うん』
「た、例えば?」
特殊といえば何だろう。
ベタなところでいうとヤンキーに絡まれてるところを颯爽と助けに入った時……とかそんな感じなのだろうか。
オレがそう推理していると、三好も『んー、例えばなんだろなー』と考察。
しばらくして『あー、うん、思いついたよ』と返ってきたので、いざ三好の答えを聞いてみることにした。
『誰もいない世界に2人きりで迷い込んで、そこでこの世のものではなさそうな化け物に追いかけられて、そんな時に守ってくれたりしたら……元の世界に戻って来れたとしても、もう我慢出来なくなって告白するかなー。 なーんて、あはははー』
ーー……HA?
オレが言葉を失っている間にも、三好の『まぁそんなこと起こるわけないんだけどねー』という笑い声がスピーカーから聞こえてくる。
「だ、誰もいない世界? お前はなにを言ってるんだ」
『だから特殊って言ったっしょー? 2人しかいないんだったら、必然的にこの人と過ごしていくって未来を想像するっしょ? そこで築き上げていく将来を想像してからの怪物との遭遇……そこで守ってくれたりしたら、そりゃあもうこの人しかいないわってなるっしょ』
「ーー……はぁ。 さすが三好だわ」
『ん、どしたの福田。 私が流石? ようやく分かった?』
「うん。 やっぱりお前は最強のバカだって確信したぜ」
『バk……は、はああああああああああ!?!?!??』
三好に聞いたオレがバカだった。
こうなればいろんな人に手当たり次第聞いて、似たような答えが複数あればそれを参考にするしかない。
オレは数人に以下のメールを送信。
【送信】急に気になったから教えてほしいんだけど、どんなことされたらまったく脈なしだった人でも好きになったりするものなの?(一度フった相手でも可)
そして翌朝、届いてたメールを目にしたオレは、全くのまとまりのない答えに頭を悩ませたのだった。
【受信・西園寺】そうだなー、まぁあり得ないことが起きたときかな。 私でいうと……仮に私が他の生徒たちに罠にハメられてピンチの時に、私のことを信じて必死になって助けてくれたり……解決するまで気にかけて寄り添ってくれてたら好きになってると思うよ。
【受信・小畑さん】あのね福田、私はアイドルになるんだから今は彼氏作る気ないの知ってんしょ? でもぶっちゃけそれって福田に会って話してる時に間違って橘さんに電話かけちゃったのがきっかけなんだもんねー。 もしそれがなくてアイドルになることが決まってなかったら今どうなってたかは分かんないかなー。 寂しさ埋めるために彼氏探ししてたかも?笑
【受信・水島】花ちゃんは脈ナシからの昇格はあり得ないかなぁー。 あーでも、ちょっと前にお兄ちゃんが荒れてるときがあったんだけど、それを解決してくれる人がいたら結婚してあげてたかもねー。
【受信・エマ】そんな簡単じゃないわよ? エマの場合はそうね……エルシィに何かがあって、それがエマ1人の力ではどうしようもないって時に手を差し伸べてくれたら少しは気持ちが揺らぐかしら。
【受信・茜】ダイきちくん久しぶり! 神様のおかげでイジメもまったくなくなって、毎日が本当に楽しいよ! あ、それと質問のことだけど、私は今が楽しすぎて想像がつかないや。 ごめんね。
【受信・星美咲】あー! ゆーちゃんっていう女神がいながらアタシに聞くんだ! あーあ、ゆーちゃん可哀想! もしかしてダイキ、アタシ狙ってるわけ? だったらもし今後アタシが……99%ないとは思うけど、ストーカー被害に悩んで病んでたりしたら助けてよなー? そしたら考えてあげないこともないべ!
だ、ダメだ!! 誰1人として同じ内容を書いてる人がいねぇ!!!!
まさに十人十色とはこのこと。
三好の言っていた『誰もいない世界で2人きり……』みたいな厨二病設定はなかったものの、どれも参考にはならないものばかり。 オレはため息をつきながら登校の準備を始めたのだが……
「女って難しい……って、ん?」
スマートフォンを勉強机に置いたと同時。 画面が点灯し、何やら通知画面が表示される。
【受信通知・多田】
おお、多田からも返信きたぞ。
なんだかんだであいつが一番まともな気もするからな。 さて、どんな答えが返ってきたのだろうか。
【受信・多田】ごめんね、起きてから気づいた。 んー、てか福田、同じ人好きになって悩んでんの? だったらウチはそのままの福田で接してればいつかは実ると思うけどなー。
多田ァ!!!!
寝起きで頭が回ってないのか全然答えになってないけど、なんていい子!!!! 元気が出たぜ!!!!
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