712 【真・結城編】動き!!
七百十二話 【真・結城編】動き!!
ああ!! なんて爽快なんだ!!!
今回は結城の時以上に病んでたからな!
あの状態があと1週間くらい続いてたらきっと精神が崩壊していたに違いない。 三好と今までの関係性を取り戻せたオレは久しぶりに見せるハイテンションで帰宅、勢いよく玄関の扉を開けた。
「ただいまぁ!」
「あ、おかえりダイキ。 なんか昨日よりも元気だね」
どうやらテスト期間だったらしく、すでに帰宅していた優香がリビングから顔を出して「おかえりダイキー」と普段と変わらない笑顔で迎えいれてくる。
「おー、お邪魔してんでダイキー。 なんだよ、ゆーちゃんがまたダイキ元気ないって言ってたのにめっちゃ元気じゃんー」
「あ、星さんいらっしゃい! うん、オレ今めっちゃ元気だよ!」
やばいぜ、この勢いなら何をやっても……恋愛面以外ならなんでも上手くいくような気がするぜ!
心が完全にハイモードになっていたオレに羞恥心などない。 オレはまっすぐ優香とギャルJK星を見据えると、元気いっぱいの声のままあの件について尋ねることにした。
「お姉ちゃん、星さん!!」
「ん?」
「どしたー?」
「2人に質問なんだけど、中に入れられたら熱さをちゃんと感じるって本当!?」
「「!?!?!??!?!?」」
一体2人は何を勘違いしたというのだろう。
オレの問いかけを聞いた2人はしばらくの間無言で互いの顔を見合わせ、そして……
「ええええええ!?!? ね、ねぇ美咲!! ダ、ダイキが……ダイキがとうとうそっちも先に卒業しちゃったよおおおお!!!」
「っていやそっちかい!! ゆーちゃん何そんなにショック受けて……あ、もしかしてゆーちゃんが卒業させるつもりだったとか!?」
「ーー……ぐすん!」
「ちょ、えええええ!?!? 図星ワロターーーー!!! てかダイキはちゃんと着けるもん着けたんか?」
「あ! 本当だ、そうだよね!! どーなのダイキ!!!」
ダメだこりゃ!!!!
◆◇◆◇
リビングに移動したオレは簡単に経緯を説明。
話を聞いた優香とギャルJK星は安堵したような……そして照れくさそうな表情で「なーんだ」と背もたれに体重をかけた。
「なんだよダイキ、そうならそうって最初に言えってのー。 アタシてっきりダイキがピーしてピーしちゃったのかと思ったべ」
ピーしてピーとは。
是非言語化して頂きたいものですねぇ。
「だよね美咲、私も思った! でも桜子やエマちゃんたち、小学生でそんなこと考えてるなんて大人……私がそれくらいのときはそんな疑問すら浮かんでこなかったのに。 美咲はどうだった?」
「アタシもゆーちゃんとほとんど同じだべさ。 普通にゾウさんってワードだけで盛り上がってたくらいかなー」
「だよねだよね! そして高校生になってもその疑問に答えられない私たちって……」
そこからJK組で始まったのは本当に注がれたら熱く感じるのかそうでないのかについての話し合い。
お互いの体験談やら諸々を例に出しあい、ほぼ答えに近いのであろう1つの仮説に辿り着いた。
ーー……あ、ホットコーヒーにミルクの話だからネ。
もし仮にそれ以外の何かだと感じた人は……ソウダネ! 【変態脳】の称号をもれなくプレゼントだ☆
「でもさ、ぶっちゃけよ? 冬に勢いあまって指がグニってなったとき、普通に『冷たっ!』ってなんない?」
「あー確かに。 てことは熱さも然りってことなのかな」
「多分そうじゃね? まぁ熱いのぶち込んだことないから分かんないけど……ほら、初めての時って痛いっていうじゃん? てことは痛覚とかは普通にあるんだから、熱さも普通に感じんじゃないのかなー」
「おお、すごいね美咲。 今の仮説一番しっくりきたかも」
「へへへ、だべー?」
てことでJK組の結論は『熱さは感じる』に決定。
オレはそのことをすぐにエマにメールで報告し、『それは納得いくわね、ありがとダイキ』とお褒めの言葉をもらったのだった。
【送信・エマ】まぁでもあくまで仮説だからな。 鵜呑みにすんなよ?
【受信・エマ】分かってるって。 でもさすが高校生ね。 着眼点が違うわ。
【送信・エマ】いやエマも中身高校生やろがい。
【受信・エマ】エマはいいの! 楓の青春はモデルやら部活、ニューシーに全部注ぎ込んでたんだから。 そういう類の知識は今から学んでいくのよ!
ほうほう。
【送信・エマ】これから学ぶねぇ。 ふーーん?
【受信・エマ】何よ。
【送信・エマ】もし体験したくなったらいつでも相手になるぜ☆
軽いセクハラを試してみると、返ってきた内容はかなり単調な『殴るわよ』。
しかしその後すぐに『でもありがと。 もしエマが大学卒業しても相手がいなくて、ダイキもいなかった場合にだけお願いするかもしれないわ』と、いかにもツンデレ風なメールが送られてきたのだった。
「っしゃあああああ!!!! これでオレ、卒業確約ぅうううう!!!!」
エマは美人だから普通に学校生活を送っていれば彼氏の1人や2人くらいは一瞬であろう。 だがエマは今回も前世と同様モデルをしてることだし……結局は恋愛よりも仕事を優先する可能性が高い。
これはワンチャンスあるって考えてもいいよな!!!
メールを終えたオレはベッドの上で小さくガッツポーズ。
将来くるかもしれない幸せな時間を妄想していると、こういうハッピーなことも連発するんだな。
今度は結城からのメールを受信。 目を通してみると、これまたハッピーな内容が書かれていた。
【受信・結城さん】エマから聞いたよありがとう。 それでその、これはさっきの内容とは関係のないことなんだけど、今度どこか行かない? ママが退院したから思いっきり楽しみたいんだ。
おおおおおおおお!!!! 最高じゃねえかああああああああ!!!!
西園寺の言葉を使い回すようで申し訳ないが、すでにオレは結城からしたら脈なし男。 もうカッコいい姿なんて見せる必要もないから素の自分で楽しむことが出来るのだ!!!
少しくらい引かれようが関係ねぇ……思いっきり結城の可愛さに癒されてやるぜええええええええ!!!!!
それから数回結城とメールのやりとりを交わし、遊ぶ日程は来週末の土曜日に決定。
オレはワクワクしながらスマートフォンのスケジュールアプリを起動。 決定した日にちの欄に【結城を愛でるDAY!】と入力したのだった。
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