709 【真・結城編】激動の朝!!!
七百九話 【真・結城編】激動の朝!!!
小畑に引っ張られあの懐かしの図工室前・女子トイレへと連れてこられたオレ。
そこで突然頭を下げられたのだが、脳の処理が追いつかなかったオレはただただ目の前の小畑を見つめていた。
い、一体なんなんだ昨日から。
西園寺に告白されたと思ったら翌日の今日には変態行為に付き合わされ……学校に着いたら今度は小畑に謝罪された!? もう意味がわからねーぞ!!!
とはいえ今は理由を聞かないとだよな。 何に対して謝られているのかも分からない。
「とりあえず頭あげてよ小畑さん」
「ほんっとーにごめん!!」
「いや、何に対してのゴメンなのか、身に覚えがないんだよね」
「ーー……へ?」
オレはまったく気にしていない・謝られることなんてされていませんよ的な雰囲気を全面的に出しながら話を聞くことにした。
「ーー……怒ってないの? 全部私のせいなのに?」
顔を上げた小畑が不安そうな表情でオレを見つめる。
「だからなんで? オレ別に小畑さんに謝られるようなことされてないけど」
「いや、流石にそれはないっしょ。 あんだけのことしたのに」
「んーー、それが心当たりないからさ。 よかったら何のことか教えてくれるかな」
オレがそう尋ねると小畑は少し言いにくそうに……唇を尖らせながら呟く。
「そ、そんなの決まってんじゃん。 佳奈のこと……。 私が福田に告白を促したせいで佳奈と……」
あー、そういうこと。
小畑はあの強行手段を……オレに告白を迫ったことを後悔してたってことか。
なんともドSらしからぬ思考だけど、これはこれでギャップがあって可愛いよな。
オレがくすりと微笑むと、それに気づいた小畑が「な、なんで笑うわけ?」と困惑しながら眉間にシワを寄せた。
「あーごめん、ちょっと意外だなって思ってさ」
「意外?」
「うん。 あ、先に言っておくとさっきの件、オレは別に怒ってもないし被害者だとも思ってないよ。 むしろ感謝したいくらい」
「そ、そうなの?」
「当たり前だよ。 オレってほら、結構……てかかなり暗い性格してるし、お察しの通り結城さんの件でトラウマになってから告白とかする勇気はもうなかったんだよね。 でも小畑さんのおかげで背中を押してもらって言えたんだから、ほんとスッキリ……嫌な気持ちなんてまったくないよ」
「ーー……!」
オレの心の内を聞いた小畑は驚いた表情で大きく瞬き。
しかしまだ完全には信じきっていないのか、「で、でもそれが原因で佳奈を傷つけて……それに福田を巻き込んじゃったのは事実じゃん?」と追加してくる。
「いやいや、どうしたの小畑さん。 今日の小畑さんいつになく弱気じゃん。 いつもの強気で自信たっぷりな小畑さんはどこいったの?」
「ちょっ……はあ!? いきなり何言い出すの福田! そ、そんなの決まってんじゃん……佳奈は私の親友。 傷つけちゃったらそりゃあ落ち込むのも当たり前じゃない?」
「でも小畑さんのことだし謝ったんでしょ?」
「そりゃあもちろんだよ! でも佳奈、あれからどこか上の空って言うか……口数もめっきり減っちゃってさ。 それに佳奈のことを遠くから見てても、福田が近くにいることに気づいたら真っ先にそこから離れてってんだよね。 だからどうしたもんかと……って、なんで謝らなきゃいけない私が福田に相談しちゃってんのさ!!」
かなり脳がこんがらがっているのか、小畑は頭を抱えながら「あああああ!!! もうこれ以上は私のキャパオーバーだあ……!」と叫んでしゃがみ込む。
小畑のやつ、ほんとに三好のことを親友だと思って悩んで、オレにも罪悪感を感じてくれているんだな。
だったら……まずはオレへの罪悪感を少しでも薄めさせるためにも手伝ってもらうことにするか。
「ねぇ小畑さん、ちょっと話たいことがあるんだけど」
オレが話を振ると、頭を抱えしゃがみ込んでいた小畑が「ん? 福田が私に? なに?」と純粋な目で見上げてくる。
「実はオレ、三好……さんに話しかけようと考えてるんだよね」
そう持ちかけてみるとどうだろう。 小畑は「ええええええ!?!??!?」と目をまん丸に見開きながらバランスを崩し、オレの前で尻餅をつく。
「そ、そうなの福田! まじ!?」
「うん。 オレもこのままじゃダメだと思ってさ。 それで小畑さん、出来たらなんだけど……」
ここでオレは小畑にとあることをお願い。
内容を伝え終わり「ーー……ってことなんだけど、大丈夫そうかな」と尋ねると、小畑は親指を立てながら頼り甲斐のある笑みをオレに向けた。
「あったりまえっしょ!! それで上手くいくかもしれないんなら……美波ちゃんに任せなさい!!」
「ありがと。 じゃあまた昼休みくらいに連絡入れるね」
「うん! 福田、絶対成功させてよねー!」
「任せてよ」
その後朝の予備チャイムが鳴りオレたちは教室へ戻ることに。
小畑のクラス・2組前。 小畑は別れ際にオレの耳へと顔を近づけ、小さく囁いたのだった。
「福田、もう1個言い忘れてたことあった。 5年の最初の頃はその……ごめんね」
「え」
「その罪滅ぼしってわけではないけど、何か福田にあった時は全力で助けるからさ。 頼ってくれたら嬉しいな」
「ーー……お、小畑さん? 一体なんのことを……」
「なんのことでしょーね!!! はい、内緒話おしまい!! ほら早く教室戻らないとせんせーに怒られるよー?」
小畑がオレの背中を隣の3組の方へと強く押す。
小畑は元気を出させる天才だな。
そりゃあアイドルオーディションも受かるってもんだ。
オレはそんなことを考えながら教室へと戻った。
◆◇◆◇
担任が来るまでに教室に戻れたオレ。 席に向かうと、隣の席のエマが両手で頬杖をつきながらボーッとしている姿が視界に入った。
「ど、どうしたんだエマ。 恋か?」
「あ、ダイキ。 なんか元気そうね……ていうか、何度言わせるのよ。 エマはまだ……高校生になるまで恋愛なんてしないわ」
「そうなのか? でもそれにしては顔も赤いし……一体何があったんだ?」
恋でなければどうしたと言うのだろう。
席に着き不思議そうにエマを眺めていると、エマが小さく口を開き……とんでもないことを言い出したのだった。
「ねぇダイキ」
「なんだ?」
「中に入れられるって……どんな感覚なのかしらね」
「ーー……は?」
こいつ、何を言って……
「い、入れられるって何をだ? すまん、オレにはもはやドエロいことしか思い浮かばん」
「うん。 多分それであってるわ」
「え。 そ、それってつまり……」
「オタマジャクシさんよ」
「!?!?!?!?!?」
いきなり何を言っているんだと突っ込もうとしたタイミング。
何故か前の席に座っていた結城も頬を赤らめながら振り返り頷いてきたのだった。
おいおい、オレがいない間に何があったんだああアアアアアアア!!!!!!
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