708 【真・結城編】晴れときどき大雨!? そして嵐!?【挿絵有】
七百八話 【真・結城編】晴れときどき大雨!? そして嵐!?
流石にびっくりした西園寺からの告白。
少し……と言うよりかなりオレには勿体無い出来事だったのだが、オレに解答権はなくその場で恋の終了宣言をされただけ。
だけどーー……
久しぶりに全力で突っ込めたり話せたり、心をさらけ出しあったおかげかだいぶ心が楽になったぜ。
本当にありがとうな西園寺。
そんなこんなで翌日の朝。
数日ぶりにちゃんと朝食を摂ったオレはまさに体力ゲージがMAX状態。 このテンションで登校して三好に話しかけてやるぜ……そう考えたオレは少し早くに家を出て、走って学校へと向かうことにした。
「ふ、福田くん!」
マンションの階段を降りたあたりで近くからオレを呼ぶ声が聞こえてくる。
「ん? ーー……ヘ?」
いやまさか……なんでだ?
視線を向けた先にいたのは昨日色々あった西園寺。 西園寺が身体をモゾモゾさせながらオレのもとへと駆け寄ってきた。
「福田くーーん!!!」
「おわわわわ!!! な、なんだ西園寺! も、もしかしてエマに何か用なのか? だったらエマの家は4階の……」
「ううん! 福田くんと行きたいと思って!」
ーー……は? 何故にオレと? 昨日あんなことがあったのに?
オレは西園寺の言葉にかなり動揺。
言葉を詰まらせながらも視線を西園寺の顔へと向けると、昨日は外していた……以前オレがプレゼントしたハート型のヘアピンを着けていることに気づく。
「うん? 福田くん? どうしたの?」
ーー……ハッ! いかんいかん!!
プレゼントを捨てられてなかった安心と、ちゃんと着け続けてくれてたことが嬉しすぎて思わず魅入ってしまったぜ。
「あああいや、なんでもない! てかお前の家真反対だっただろ!! なんでわざわざこっちまで……!」
「だってもう我慢しなくていいんだもんーー!!!」
西園寺が息を荒げながらオレの腕にしがみついてくる。
「オオオオオオ!?!? 朝からなんて刺激の強い……!! てか我慢しなくていいってどう言う意味だ!!!」
「もう我慢しなくていい。 最近は福田くんの前では絶対可愛くいようとか、それには周囲のみんなの私に対するイメージごと変えてもらうことも大事……とか思って必死に行動してたんだけど、もうそんなこと関係なしに全力の自分を出せるんだもん!! だから私……」
西園寺が内股になりながらオレの体にもたれかかる。
オレは意味がわからずただただ次の西園寺の言葉を待っていたのだが……
「ーー……んっ、ハァ」
「さ、西園寺大丈夫か? なんか苦しそ……」
「だから私、昨日の夜からおトイレ我慢してきたのおおおおおおおお!!!!!」
ーー……!!?!?!?!?!
「な、なああああにいいいいいいいいいいい!?!?!?!?」
オレが全力でそれに対するリアクションをとると、西園寺は待ってましたと言わんばかりのキラキラした瞳でオレに顔を近づけ、固まっていたオレの手をギュッと握りしめてくる。
「福田くんっ……! これ覚えてる!? 久しぶりじゃない!?」
「西園寺!?」
「それでもうスマホは音の鳴らないマナーモードにしてパンツの中に入れてるから……いつでもほら、電話してくれていいよ!!!」
「ちょ、おまっ……!!!」
「早く……早くうううううう!!!! もう我慢の限界だよおおおおおおお!!!!」
「お前……昨日の今日でそりゃあねえだろおおおお!!!!! 少しはかっこいい余韻に浸らせろやああああああああああ!!!!!」
通話ボタン、ポチ☆
「ーー……!!! アハアアアアアアア!!! きたきた、きっちゃあああああああああん!!!!」
こうしてオレはダム決壊寸前の西園寺とともに学校へ向かうことに。
そしてこれも想定内だったのだろうな。 案の定西園寺はオレのたまに仕掛ける不意打ち着信に驚いて見事決壊……途中にある公園のトイレで事前に用意していた予備パンツに履き替えていたのだった。
「はぁ……はぁ……」
「えーと西園寺、大丈夫か?」
「ううん、大丈夫じゃない……かも。 もう替えはないから次はノーパンだよぉ……!」
「いやもう全部出したんだろ? だったらもう大丈夫だろ」
多分もうスマホはパンツの中に入れてないとは思うけど……一応ポチっ☆
「違う……、次は別の理由で、ビチャビチャに……はひいぃっ!!」
ナンデダアアアアアア!?!?!?
ていうか西園寺のやつ、完全に前よりも悪化している……!!!
「なんつーかあれだな。 ダイエットで食事制限するのと一緒で、性欲も我慢してたら爆発しちゃうんだな」
「ーー……」
「っておい、聞いてるのか西園寺。 おーい、西園寺ー」
「ーー……福田くん、私の脚……みて」
「ん、なんだ? ガクガク震えて……っておい、まさかお前……」
残暑残る青空の下。
雲1つない快晴なのにも関わらず、超局所的に性なr……ゲフンゲフン! 聖なる雨がカラカラの地面に降り注いでいた。
◆◇◆◇
「なんか余計にテンションブーストがかかった気がするぜ。 さてと、三好はどこだー?」
学校に到着し西園寺と教室前で別れたオレは三好のいるクラス・1組へ。
もう登校してるかなーと教室内を覗き込むと、三好の姿が見つからない代わりに多田と目があった。
「あっ、福田ー」
「おお、多田か。 三好いる?」
「佳奈? 佳奈は今職員室に提出物渡しに行ってるんだけど……そうだ、ちょっと来てよ」
多田は席から立ち上がると小走りでオレのもとへ。
「佳奈よりも先にさ、会ってほしい人がいるんだよね」と満面の笑みを向けながらオレを見上げてくる。
「三好よりも先?」
「うん。 ウチじゃどうしようも出来ないからさ。 頼めない?」
「あー……よく分からんがまぁいいけど、誰だ?」
「あんがと! こっちだよ、こっち」
多田はオレの手首を掴むと迷わずとある場所へとまっすぐ歩みを進めていく。
そしてたどり着いた先でオレは「エエエエ?」と驚きの声をあげた。
「シーー。 静かに。 バレちゃうっしょ」
「いやでもな多田、ここは……」
「大丈夫。 中に入るわけじゃないんだから問題ないって!」
そう、ここは女子トイレの前。
中の様子を覗き込んでいる多田が「ーー……ほんと、多分安全だから静かにしてて」と改めて指先を唇に当てながらぎこちなく微笑んでくる。
「た、多分安全って。 オレここで犯罪者にでもなるのか?」
「ううん、それはないけど……五分五分かな。 普通に相手してくれるのか、はたまたボコボコにされるのか」
ボコボコ……だと?
オレは一体誰に遭わされようとしているのだろうか。
一抹の不安を抱えながらも多田の後ろに控えていると、多田が「あ、きた」と小さく呟く。
「福田、心の準備はいい?」
「え、準備? 何が?」
尋ねた時にはもう遅い。
女子トイレの中から誰かが出てきたと同時……多田はオレの腕を強引に引っ張ると、トイレから出てきた誰か……女子に向かって「行ってこーーい!!」と勢いよく放り出した。
「ちょ、おわわわわああああああああ!!!!」
その先に見えたのは……
「ん、えええええ!?!? 福田あああああ!!??」
「お、小畑さんんんん!?!??」
トイレから出てきた相手はなんとドSの女王・小畑。
あ、オレ死んだわ……女王の姿を見てそう覚悟したのだが、小畑は持ち合わせの運動神経・反射神経で迫り来るオレの体をタイミングよく抱きしめるような形でキャッチ。 オレの顔を柔らかな箇所で受け止めた体勢で「ちょっとどーしたの福田。 それに麻由香まで」と何の恥じらいもなく話しかけてきた。
は、発展途上の感触……さいこおおおおおおお!!!!
「な、なんでもない……です。 なんか多田さんに連れられてここへ」
「そーなん? じゃあ麻由香、なんで?」
「んなもん決まってんしょ? 美波あれから福田の話したら様子おかしかったし、なんか福田にやっちゃったのかなーって思ってさ。 だったら直接話してみるのが一番じゃない?」
ーー……ん? なんの話だ?
「い、いや別に私はそんな……」
「美波ー。 どんだけウチら、つるんでると思ってんのー? バレバレだよー?」
多田はニカッと微笑み「んじゃウチがいたら話しづらいかもしんないし、お先にー」と手をひらひら振りながら教室へと戻っていく。
「え、ちょっと待ってよ麻由香。 ほんとに私は……!」
「はいはいー。 んじゃねー」
「ったくもー」
多田の姿が消えたあたりで小畑が小さく息を吐く。
やっぱり魅惑の部位なだけあって気持ちいいし、ずっとこの感触を味わってたいけど……このままだと色々とマズいよな。
オレは名残惜しさを感じながらも小畑の底から顔を離した。
「んあ、ごめん福田。 暑かった?」
「あーーいや、別に。 ていうか小畑さん、さっきの話を聞いてたらオレに何か用があるみたいな感じだったけど、どうしたの?」
「え、あ……ううん! なんもない! なんもないよ!」
「そ、そうなんだ」
「なんかそのー……麻由香がごめんね!」
「ううん、大丈夫」
何もないんだったらここにいる意味も無い。
オレは再び三好を探しに行くことに。 「じゃあ小畑さん、またね」と声をかけ背を向けようとしたのだが……
「待って福田」
「え」
「さっきのウソ。 やっぱ福田に用あるんだよね。 ちょっと来て」
そういうと小畑はオレの腕を引っ張りながら場所を移動。
連れてこられた場所は、あの懐かしき1階・図工室前・女子トイレ奥の個室だった。
「お、小畑さん? どうしてここに……」
「福田」
「は、はい」
「ごめん!!」
ーー……。
「え?」
どうしたというのだろう。 小畑はそこに入るなり、突然オレに向けて頭を下げてきたのであった。
女王がオレに頭を下げるとか……こりゃあもう嵐の前触れか!?!?
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