705 【真・結城編】恋とはなんだ【挿絵有】
七百五話 【真・結城編】恋とはなんだ
勢いで三好に告白したはいいものの、あれからもう約1週間くらい経ったか。
三好からの返事はおろか、教室に遊びにも来てくれない。
あぁ、結局オレは誰とも結ばれずに前世と同じ末路を辿ることになるのか?
やはり友情と恋愛は違う……愛、難しすぎるだろ。
オレの精神は日に日にダウン。
食事もあまり喉を通らなくなり、気づけば何の感情も抱きにくくなっていた。
「ねぇエマ、福田……くんどうしたの? 最近元気ないけど」
「さぁ。 聞いても教えてくれないのよ。 どうせお気に入りのエッチな画像を消しちゃった……とか、エッチな漫画を優香さんに捨てられた……とか、そんなんじゃないの?」
「そ、そうなのかな。 だといいんだけど……なんか心配」
オレの席近くでエマと結城がオレの話題を小声で話す。
でも……あれだな、まったく話に加わろうとかそんな気すら起きないぜ。
「あ、あのさ福田……くん、修学旅行明けくらいから暗いけど……な、何かあったの?」
「ーー……」
「私でよかったら力になる……よ? 頼りないかもしれないけど私、福田……くんのために頑張るから」
「ーー……」
「そ、そうだ。 今度一緒にお出かけしない? きっと外で思いっきり楽しめばモヤモヤした気持ちも少しは楽になるはずだし、だから……」
「ーー……」
「ふ、福田……くん? き、聞こえてる……よね?」
「ーー……」
どうせそうやって元気づけてくれても近づこうとしたら前みたいに逃げちゃうんだろ?
だったらもう前世と同じで孤独でいい……高校卒業まではひっそり暮らして、大学か社会人デビューしてから同じ趣味のやつと盛り上がる人生で充分だ。
途中から結城の言葉もオレの耳には入って来ず。
オレはゆっくりと目を閉じると、そのまま机に突っ伏した。
「ふ、福田……くん」
「もう、いいのよ桜子。 ダイキも今は何にもしたくないし言いたくない時期なんでしょ。 まったく面倒くさいわね。 話しかけても無反応なんだから放っておけばいいのよ」
「で、でも……」
「いいの。 黙ってて気持ちに気づいて欲しいってのはメンヘラの始まりよ? それが許されるのは小学校低学年までなのよ」
エマの制止により結城はオレに話しかけることを断念。
しかしオレの心にはまったく響かず、あぁ……こうして人って離れていくんだな、とか冷静に考えていたのだがその日の放課後……
「ふ、福田くんっ!」
通学路を1人トボトボと歩いていると、オレの名を呼ぶ声が聞こえてくる。
「ーー……ん?」
視線を向けた先は小さな公園。
ベンチに座ってオレが通りかかるのを待っていたのか……? 西園寺がベンチから立ち上がりオレを見つめていた。
「あぁ、西園寺か。 どうした?」
「福田くん、ちょっとお話しない?」
「いや、今そんな気分じゃ……」
「お願いっ! 私は話したい気分なの!」
「いやどんな理屈だよ」
話したいなら他を当たれよ。 綾小路とかエマとか……三好とか。
オレは大きくため息をつきながら西園寺から視線をそらして再び歩み出す。
「福田くん!」
あー、面倒くせぇな。
これ以上相手にしたくないオレは一気に話を終わらせることに。
「だったら力づくでオレを連れてけよ。 そしたら諦めて話を聞くかもしれないぞ?」と捨て台詞を吐きその場から立ち去ろうとした……のだが。
「ふんっ!」
「ブベアっ!!!」
突然お腹の中心にかなり大きくて重たい衝撃が走る。
「なん……だと」
いつの間にこの間合いを一瞬で詰めてきたんだ……?
気づけば目の前には西園寺。 西園寺が唇を噛み締めながら足下から崩れ去っていくオレの姿を見下ろしていた。
「さ、西園寺お前……本当に力づく……で」
「ごめん。 ずっと機会伺ってたんだけど、もう我慢できないから……」
「が……まん……?」
お腹を強烈に殴られたため身動きのとれなくなったオレはその後西園寺の手のよって公園内のベンチへと移動。
まさか突き放すように言った言葉を鵜呑みにするなんてな……。
結局オレは西園寺の話を聞くことになったのだった。
◆◇◆◇
「ったく……少しは手加減しろよ」
「したもん。 限りなく力は抜いたつもりだよ?」
「ーー……マジか。 それはすまん」
手加減してこれとかどんだけ西園寺のやつ強いんだよ。
ーー……いや、オレが貧弱すぎんのか?
「それで、話ってなんなんだ?」
早く終わらせてさっさと帰ろう。
早速オレが西園寺に話を促すと、西園寺はどこか緊張した面持ちで立ち上がりオレの目の前に移動……両手を強く握りしめながらゆっくり口を開いた。
「福田くん」
「なに?」
「私、福田くんのことが好きです」
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