704 【真・結城編】特別編・禁断の保健室?【挿絵有】
七百四話 【真・結城編】特別編・禁断の保健室?
「な、なんて告白されるんだろう。 やっぱり佳奈ってアクティブだから、まっすぐ気持ちを伝えてくるのかな」
希は授業に集中できないほどに頭の中は佳奈のことばかり。
『放課後まで残り××時間か……』と時計を見上げるたびにカウントダウンをしていたのだった。
◆◇◆◇
午前の授業が終わり昼休み。
希がトイレを済ませて教室へと戻っていると、対面から佳奈が。 すれ違いざまに「あ、希」と小声で話しかけてくる。
「え、う、うん? な、ななななにかな」
どうしよう。 これから告白されるって分かってるからなのか、佳奈の顔をちゃんと凝視出来ない。
告白なら放課後のはずだし、今私に何の用なのだろう……もしかして我慢できなくなってここで想いを伝えられるのだろうか。 そんなことを考えていると佳奈は希の耳元へそっと顔を近づけ、誰も聞こえないくらいの声量で小さく囁いてきた。
「なんか放課後さ……」
「ひゃうぅ……!」
佳奈の吐息が希の耳にかかり、突然の快楽に思わず声が漏れる。
「ど、どうしたの希」
「え、あ、あはは……なんでもないよ。 そ、それで放課後どうしたの?」
「あーうん。 なんか放課後さ、校舎裏はバドミントン部が使うっぽいんだよね。 だから急だけど場所変更……保健室で待ってるね」
「ほ、保健室?」
「うん。 放課後だったら人あんまいなさそうだし、そっちの方が色々と都合いいからさ」
佳奈はそう告げると「んじゃまた後でねー」と小さく手を振りながらトイレの方へ。
希は佳奈の後ろ姿を見つめながら、先ほど佳奈が口にした言葉を思い出していた。
ほ、保健室の方が都合がいいーーーーー!?!?!?!?
放課後・誰もいない空間・ベッド……これってもしかしてええええええええ!!!!
希の脳内では昨夜ネットで発見し、ナニ……とは言わないが夜のお供にさせてもらったR18漫画の記憶が蘇っていく。
まさか私の初めての相手が女の子になってしまうなんてことは……いやでも女の子同士の方が色々と痛くないらしいから、これはこれでいい経験になるのか?
今朝、恵子に感じたものとはまた別のドキドキを感じながら、希は午後の授業に臨むこととなった。
◆◇◆◇
放課後、これから始まるかもしれないピンクでモザイクな展開に緊張しながらも希は佳奈に指定された保健室へ。
案の定周囲には誰もいない。 スライド式の扉を静かに開けると、希の視界に入ってきたのは可愛らしいポニーテール……ベッドに腰掛け遠くを見つめるような目で天井を眺めていた佳奈を発見した。
と、とりあえず勢いに任せすぎちゃうのも怖いから、裸の関係だけは絶対に阻止しなきゃ。
いざ心に気合を入れて足を踏み入れると佳奈が希が入ってきたことを察知。
「あ、希」と柔らかい笑みを向けてくる。
「うん。 お待たせ佳奈。 待った?」
「ううん、私も今来たところだし。 てか来てくれてありがとね」
いつもは明るい佳奈がこんな真面目な表情……デジャブだ。 今朝の恵子のそれと同じすぎる。
これは絶対に開口一番に告白してくるはず。
そう踏んだ希は佳奈が口を開いたと同時……声を重ねるようにして、頭を深く下げながら断った。
「あのさ希、お願いが……」
「ごめん佳奈! わ、私流石に女の子とは付き合えない……で、でも佳奈は私の大事な友達だし、裸の関係以外だったらキスでもなんでも付き合うから……!!!」
室内が静寂に包まれる。
ショックで佳奈が泣いていたらどうしよう……心配になった希は顔を上げて佳奈の表情を確認することに。
しかしなぜだ……見上げた佳奈の表情は希の予想していた表情にあらず。 目を大きく見開き、口をポカンと開けた佳奈が首を傾げながらこちらを見つめてきているではないか。
「えっと……ごめん、なに言ってんの希」
「へ?」
「私が希と付き合う……とか、裸の関係以外だったらキスでもなんでも付き合う……とか、一体なんのこと?」
「ーー……」
佳奈の雰囲気からして全然フラれて強がってる……みたいな感じには見えない。
あれれ?
「ち、違うの?」
「うん。 てかなんで私が希のことを好きになって告白する流れになってんのさ」
「え、だって今朝ラブレターを私の靴箱に……」
「いや確かに手紙は入れたけど、私『希のことが好きでした』とか書いてなくない?」
「ーー……だよね」
私はなんて思い違いを……勝手に佳奈が私に好意を抱いていると錯覚していたのだろう。
「あああああん!! 恥ずかしい……穴があったら入りたいよおおおおーーー!!!」
今朝から今に至るまでに自分の考えやテンションに恥ずかしくなった希は堪らずベッドにダイブ。「これも全部綾小路のせいだあああああ」と枕に口を強く当てながら大きく叫んだ。
「えっと……希? どしたの? 結局私は……告白するべきだった? だったら形だけでもいいならするけど?」
「ううん、大丈夫ありがとう佳奈!! 私がバカだっただけだから気にしないで!!」
希は大きく深呼吸をしてなんとか冷静さを取り戻すことに成功。
「さっきのことはお願いだから忘れて……誰にも言わないでね」と念を押した上で、改めて自分をここに呼び出した理由を佳奈に聞くことにしたのだった。
「それで佳奈、私に何か用があったんだよね」
「う、うん」
「なに?」
「これは希にしかお願いできないことかなって思って……」
「言ってみて?」
佳奈が言いにくそうにしながらもゆっくりと口を開く。
そしてそこで語られた発言に、希は思わず言葉を詰まらせた。
「福田のこと……なんだけど」
「福田くん? どうしたの?」
「うん、その……私も希も福田のこと気になってたじゃん?」
「うん」
「でさ、私はもうそこから降りるから……福田のこと、お願いできないかな」
「え?」
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あ、後少し!!!




