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07 見せしめ作戦②


 七話  見せしめ作戦②



 待ちに待った放課後。 花江ちゃんの近くへと移動したオレが三好にアイコンタクトを送ると、三好はコクリと頷き何気ない表情で花江ちゃんのもとへ。

「あーごめん花江、ちょっと連絡帳見せて……ってきゃああああ!!!」とワザとらしくバランスを崩した。



「あ、ちょっ……三好さん!?」



 ナイス演技!

 三好は素晴らしい距離で役者顔負けの転倒を披露し、それにぶつかった花江ちゃんはバランスを崩して後ろへと傾く。

 そしてそんな花江ちゃんが手をつくために転ぶ方向へ振り返ると、そこにはちょうどいいタイミングでオレがいるではないかー。



「え! 福田くん!? ちょっと……ごめん!!」



 ギュッ



 花江ちゃんはオレに抱きついたことにより転倒を回避。 周囲からの視線がオレたちに集まる。



「ご、ごめん福田くん」


「あ、うんいいよ。 無事でよかった」



 オレは横目で杉浦に視線を移す。

 よしよし、怒ってるぞ。 体を震わせながらオレをめちゃめちゃ睨みつけている実に滑稽だ。



「じゃ、じゃあ水島さん……オレはこれで」



 オレはそそくさと帰る演技をしながら教室を出た。



 ◆◇◆◇



「おい、待て福田」


 

 下駄箱に差しかかろうとしたところで杉浦に呼び止められる。


 ヤベェー! 小五の知能ちょろすぎるーー!!

 オレは笑うのを必死にこらえながら後ろを振り向く。



「ちょっと顔貸せや」


「あ、でも用事が……」


「は? そんなの知らねーし」



 杉浦は強引にオレの腕を掴んでくる。



 ーー……ここだ!!



 オレは即座に杉浦の手を振りほどいて裏庭までダッシュ。

 杉浦もイライラを顔に出しながらオレの後ろを追いかけてきた。



 ◆◇◆◇



 裏庭に到着してしばらく。 オレは杉浦と会話をして時間を稼ぐことに。



「ねぇ、一体オレが何したの」


「何したとかじゃねーよ! ただムカついてんだよ!!」



 そんな単調な会話をしていると向かいの建物の陰からがひょこっと顔を出してスマートフォンのカメラをこちらに向けている三好の姿を発見する。


 よしよし、ちゃんと言いつけを守ってるな。

 じゃあ痛いけど、ちょっと殴られるとするか。


 オレは小さく覚悟を決めると、三好から杉浦に視線を戻した。



「もしかして杉浦くん…水島さんのこと好きなの? だから嫉妬してー…」


「ーー……!!??」



 オレの言葉に杉浦が反応。

 目を大きく開けてオレの胸ぐらに掴みかかる。



「ーー……テメェ。 ふざけんなよ」


「かわいいよね、水島さん……いや、花江ちゃん。 告白してみよっかな」


「ーー……!!!!」



 杉浦の力を込めた拳が目の前に。

 できれば痛くありませんように!!



 ボコォ!!!



 いってぇええええええええ!!!



 さすがは小学生といえど高学年。 なかなかの力を持ってやがる。

 ムカつくけど今は演技……演技に集中だ!!!



「や、やめてよ杉浦くん!!」


「うるせぇお前は勝手に死んでろ!!!」



 殴られ続けると顔が腫れそうなのでオレはわざと尻餅をつく。

 すると杉浦はそれをチャンスとみたのかオレの脚や腹部に強烈な蹴りを何度も入れ始めた。


 ーー…うん、やはり顔じゃないぶん痛みは少ないな。 


 オレは痛がるふりを続けながら蹴られ続け、杉浦の体力がなくなっていくのを待った。



 ◆◇◆◇



「ーー……はぁ、はぁ。 あんま調子、乗んなよ!!」



 息を切らした杉浦は満足したのかその場から立ち去っていく。

 そろそろ……いいかな?



「三好」



 建物の陰から動画を撮らせていた三好を呼ぶ。



「その……福田、大丈夫? 結構やられてたけど」


「そんなことより動画。 いい感じに撮れた?」


「うん。 どうかな」



 三好がスマートフォンに収めた動画をオレに見せる。



「よし、完璧だ」


「よかった……」


「じゃあこれ、オレのスマホに送ってくれ」


「え?」



 三好がキョトンとした表情でオレを見つめている。



「なんで?」


「いやだってお前のスマホを持って他の大人のとこ行ったら、お前がオレの協力者だってことバレるだろ」


「あ……、そっか。 ありがとう」


「いいから早く送れよ」



 オレは三好から動画を受け取った後、彼女のスマホからデータを消去。

 その後ゆっくりと立ち上がる。



「福田は……今からどこ行くの?」


「ん? 職員室だけど」


「え! 何すんの!?」


「まぁ明日を楽しみにしてろよ」



 オレは不敵な笑みを浮かべながら三好とその場で解散。 1人で職員室へと向かった。



 

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