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685 【真・結城編】思わぬ再会


 六百八十五話  【真・結城編】思わぬ再会



 なんつーかオレ、京都舐めてたわ。



 あんまりオレが外の世界に目を向けなかったことにも原因はあるのだが、実際に着た京都は完全にオレの想像していたそれとはまるで違っていた。

 なんつーか……



「うおおおおおおお!!!! 京都駅でっけええええええええ!!!!」



 おいおいもう完全にハイテクって感じじゃないか!!

 古臭いこじんまりした駅を想像していたオレのとは違い、もはや1人では迷子になるのではないかと思うほどの超・巨大駅。

 なんかもう地下鉄やら他の電車やらが入り混じってるとのことで、オレは近くにいたエマに「な、なぁ!! エマ知ってたか!? これもう古都というよりもハイテクシティーだよな!?」興奮気味に話しかけていた。



「もう、うっさいわね!! 駅がおっきいってのは分かったわよ」



 エマが耳を押さえながら面倒臭そうにオレを軽く睨みつけてくる。



「えええ、なんであんまり驚かねぇんだよ!! もしかしてあれか!? 来たことあんのか!?」


「無いに決まってんでしょ。 東北からどんだけ距離あると思ってんのよ」


「じゃあなんで興奮しないんだ!? こんなに広大なのに! ロマンがあるだろ!!」


「あーはいはい驚きました、分かったから黙りなさいよ!」



 くそ、なんでエマは分かってくれないんだオレはこんなに感動しているのに!!!

 オレは更にエマにこの驚きを熱弁。 するとそんな中、オレとエマの間から結城がヒョコッと顔を出して会話に入ってきた。



「エマも福田……くんも、なに話してるの?」



「え?」

「あっ!」



 や、ヤベェ。



 もしかして、今聞かれたらやべぇこと話してたか?

 オレが若干怯えて言葉を詰まらせていると、それを不審に思われたく無いのかエマが背中をバシンと叩いてくる。



「な、何って……ねぇダイキ!」


「え、あぁ……うん! 駅がすごいねって!」


「東北から遠いとか言ってなかった?」


「そ、それはあれよ! ほら、5年の頃に東北旅行行ったでしょ!? 『ここから行ったら距離があるわよねー』って話してたのよ!」


「そうなの?」


「えぇ!! それでまた行きたいわねってなってたの!! だから……その時は桜子も行きましょうね!!」


「うん!」



 さ、さすがはエマ。 アドリブ力が違うぜ。

 その後オレはエマから小声で「ほんとダイキって変態なこと考える以外は無能よね」と愚痴を言われ、なんだかんだで心に傷を負ってしまったのだった。



 あ、ちなみに西園寺は今……電車の時もそうなんだけど、綾小路にべったり引っ付かれているぜ。

 後ろで「綾小路暑いから離れて!」って頑張って引き剥がそうとしてる……大変だな西園寺も。



「ん? どうしたのよ桜子、手の匂いなんか嗅いで。 なんか臭いものでも触っちゃったの?」


「え、ううん。 さっき福田くんに指舐められたんだけど、もう臭ってないかなって」


「どういうことダイキ」



 ぎく。



「い、1回しか舐めてないぞ?」


「なーにやってんのよド変態!!!!」


「ぎゃああああああああああ!!!!」



 ◆◇◆◇



 駅を出て貸切バスに乗り込んだオレたち。

 後ろの席から結城と多田の上に乗った小畑と三好のうめき声を聞きながらオレは隣の席のエマに「なぁ」と声をかけた。

 


「なに?」


「今ってどこ向かってんだ?」


「ほんとエロ以外興味ないのね。 修学旅行のしおり見てないの?」


「見てない」


「ほんとバカよね」


「失敬な。 楽しみはその時にとっておくタイプなんだオレは」



 そうオレが答えるとエマは深くため息。

 オレと口論する気もないのだろう。 諦めたように「今から一旦ホテルに向かって荷物置くの。 その後ご飯食べて、水族館だったはずよ」と教えてくれた。



「いや逆にお前覚えすぎじゃね?」


「う、うるさいわね。 覚えたものは仕方ないじゃない」


「何回見直してんだよ」


「いいでしょ別に! 楽しみにすることはその……悪いことじゃないんだから」


「お、おうそうだな」



 なんだ、やけに素直……照れてるエマも可愛いじゃねえか。

 流石にこれ以上責めては申し訳ないし、エマにはこの修学旅行を思う存分堪能してもらおう……そう思ったオレだったのだが。



「そっかー水族館かー。 京都にもあるんだなー、知らなかったわ」


「ちなみにねダイキ! エマ調べたんだけど、ここの水族館って特別なのよ!」



 オレがそれとなく呟いただけなのにエマが反応。 「ねぇダイキ、知ってる!?」と目を輝かせながら尋ねてくる。



「え、いや……分からん」


「なんだと思う!? ヒントはね、普通の水族館とは違います!」


「そ、そうなの?」


「そうなの! なんだと思う?」


「いや……別になんでもいいと思うんだけど……」


「そんなこと言わないで考えなさいよ! ほんと答え聞いたらびっくりするから!!!」



 おああああああああ!!!! めんどくせええええええええ!!!!!

 もしかしてさっきの駅でのオレってこんな感じでうるさかったのかあああああああああ!?!!??!?



 だとしたら少しは付き合ってやらねばなるまい。


 オレは仕方なく興奮気味のエマの相手をすることに。

「んー、そうだなー、魚がいないとかー?」などと色々と答えていると、とうとう答えを言いたくなったんだろうな。 エマがウキウキした表情で「全部ぶっぶーー! 実はねー!!」と答えを口にしたのだった。



「水族館ってやっぱり海水とか必要じゃない? だから普通は海の近くに立ってるのよ! なのにここは京都でしょ? 近くに海ある?」


「ーー……ないな。 え、じゃあどうしてんだ?」


「そう! その反応が欲しかったのよ!! なんでも人工海水を使ってるんだって! ここって近くに海がないのに立ってるのが有名なのよ!!!」


「お、おおお!! 人工海水……そんなもんがあるのか!!」


「そうなの! それでここの目玉がオオサンショウウオでね!!!」



 まだ続くんかーーーい!!!!



 エマの弾丸トークはホテルに着くまで……そして昼食中も永遠と続き、とうとう先ほどの話題にも上がっていた水族館へと到着した。



「やっぱり来たからにはエマ見たいものがあってね! それが……!」



 流石に館内までも語られたら精神が持たん。 



 水族館に入るなりオレはエマの話を聞く役割を無理やり水島に投げて全力疾走。

 特に魚にも詳しくないためどこかでゆっくりくつろごう……。 そう考えどこか人の少なそうな場所を探していたのだが、まさかここであの人たちと遭遇してしまうなんて。



「あ、あれ? お……お兄ちゃん?」


「ん?」



 かなり懐かしい声に反応し振り返ってしまうオレ。

 するとどうだろう、振り返った先には懐かしの姿。 大きくお腹の膨らんだかつての妹……森本翠が立っていたのだ。



お読みいただきましてありがとうございます!!

感想や評価・ブクマ・いいねレビュー等、お待ちしております!!!


●昨日には間に合わなかったんですが、1つ前の684話に挿絵描いていれたのでよろしければ覗いてやってください☆

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