684 【真・結城編】修学旅行は波乱の幕開け!?【挿絵有】
2020/05/14 挿絵いれました!!!
六百八十四話 【真・結城編】修学旅行は波乱の幕開け!?
夏休みも終わり2学期も始まって、気づけば今日は修学旅行当日の朝。
結局西園寺が誘ったメンバーからは全員OKが出て、人数的な問題で2班に分かれつつも一緒に行動しようとのことになったんだよな。
「じゃあお姉ちゃん、行ってきまーす」
「いってらっしゃいダイキ。 楽しんできてねー」
京都へは新幹線で向かうらしく、オレたちは一旦そこへ向かうためのバスが用意されている学校の運動場へ。
出発予定時間は結構早め。 普段学校へ行く時間よりもかなり早い時間にオレは優香に見送られながら玄関の扉を開けた。
「お、エマ」
「寝坊するんじゃないかなって思って待っててあげたわよ。 あ、おはようございます優香さん」
エマがオレの後ろまで見送りに来ていた優香に頭を下げる。
「おはようエマちゃん。 エマちゃんも楽しんで……怪我しないようにね」
「はい。 それじゃあ行ってきます。 ほら、行くわよダイキ」
「お、おう」
エマのやつ、なんだかんだでオレよりも楽しみにしてたんじゃないか?
オレは「楽しみね!」と無邪気に笑うエマに腕を引っ張られながら学校へ。 楽しい楽しい修学旅行が幕を開けた。
ーー……はずだった。
新幹線車内。
4人向かい合わせの席でオレがエマ、結城、水島の4人で罰ゲームを賭けたババ抜きをして遊んでいると、スマートフォンを見たエマが「ちょっとカナたちのところ行ってくるわ」と席を立つ。
「ん、どうしたんだ?」
「なんかカナとミナミが電車でも酔っちゃったらしくて膝の上に乗らせて欲しいんだって」
「あー……マジか」
「それで今はマユカの脚の上を2人で取り合ってるっぽいのよ。 だから大惨事にならないうちに早くきてーって」
「おおお、それは大変だな。 気持ちわかるから早く行ってやってくれ!」
「うん、じゃあエマの手札……はい、お願いねダイキ」
「え」
単純計算で倍になってしまったオレの手札。
しかも何度か確認してもペアなものはなく、更にはジョーカーも紛れ込んでたわけで……
「エエエ、エマああああ!!! やりやがったなああああああ!!!!」
「ふ、福田くん。 私の番だからカード取っていいかな」
「え、あ、はいどうぞ」
こうして罰ゲームを賭けた戦いはオレがさらに不利な状況から再スタート。
しかしオレも子供ではない……たまに窓越しに反射する水島の手札を暗記しつつ激しい攻防戦を繰り広げたのだが、結局は途中から増えたエマの手札が仇となり勝負に負けてしまったのだった。
「あはは、あぶなかったね結城ちゃんー! はい、これでごしゅ……福田くんの負けーー!!!」
「よ、よかった……」
「おめでと結城ちゃーーん。 そういや花ちゃん、こうして結城ちゃんとまともに話したの初めてかもー」
「そ、そうだね」
「よろしくー。 じゃあ早速ごしゅ……福田くんの罰ゲームだけどどうしよっかなー」
水島が「うふふー」と悪い笑みを浮かべながらオレを見つめてくる。
「な、なんだ。 変なのは勘弁してくれよ?」
「んー、花ちゃん聞こえないなー。 とりあえずルールでは1抜けの人が罰ゲームを決めるだったからぁーー……」
ーー……ゴクリ。
「よーし! じゃあ福田くんは今日1日、花ちゃんの執事ね!」
ーー……え?
「は!? 執事!?」
「そだよー? だから今から福田くんは花ちゃんの身の回りのことをぜーんぶするの。 わかったー?」
「今日1日か。 し、仕方ねぇ……分かった」
オレが嫌々了承すると、水島がゆっくりと手の甲を差し出してくる。
「な、なんだよ」
「えー、決まってるじゃない。 服従のチューだよぉー」
「なっ……! 水島お前……!」
「ほーら、早くうー」
こいつ……調子に乗りやがってええええええええええええ!!!!!!
こうなったらヤケだ。
オレは差し出された水島の手を掴むとキスどころではなく指先をペロペロ!! まるで水島の成分を吸い尽くすかのように一心不乱にしゃぶり始める。
「ペーロペロペロペロ!!!!」
「あはーんっ! ちょっとごしゅ……福田くーーん!! それじゃあ執事じゃなくて犬だよおおお……!」
「ペロペロペロ!!! 知ってるか水島。 執事……それはご主人様のために働くいわば奴隷。 奴隷といったらもはや犬だろう!! だからオレは犬のようにご主人様を……舐める!!!! ペーロペロペロチュッチュペロペロ!!!!!」
「ひゃああああああ……っ!」
くくくっ……あはははははは!!!! 残念だったなぁ水島ぁ!!!
水島が必死に腕を引き戻そうとするもオレがロックしているためそれは叶わず。
とうとう1人の力ではどうすることも出来ないと悟ったのか、水島は「ちょ、ちょっと結城ちゃんも黙って見てないで手伝ってよおおお……!」と手助けを求めた。
「えっ……わ、私が?」
「そうだよー! なーにさっきから胸おさえて固まってるのー? 結城ちゃんもこれやりすぎだって思うよねー!」
「えっと……う、うん。 確かにやりすぎ……なのかな?」
「どう見てもやりすぎだよぉーー!! だから結城ちゃんもごしゅ……福田くんをどうにかこの手から引き剥がすの手伝ってよおおお!!!」
水島のヘルプを受けた結城の手がゆっくりとオレのもとへ伸びてくる。
ああ、流石に2人の力で引っ張られたら負けてしまうな。
オレは無謀な引っ張り合いになる前に水島の手を離すことに。
しかしなぜだろう……結城の腕は水島の腕を掴むことなくオレの口元でピタリと止まった。
「ん?」
「えっ……結城ちゃん?」
意味がわからないオレと水島が視線を結城へと向ける。
すると結城の口からとんでもない言葉が飛んできたんだ。
「ふ、福田……くん」
「は、はい」
「私の手、さっきグミ食べてたから甘い……よ? 私の手、舐めていいから……水島さん離してあげて?」
「「え」」
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