680 【真・結城編】助っ人!!
六百八十話 【真・結城編】助っ人!!
あれから特別結城と何も起こることもなく無事に夏休みに突入。
ギャルJK星が数日間泊まりに来たり、優香とともに数日間だけ田舎に帰ったり、西園寺の誘いで三好と山の別荘へ行ったりとかなり充実した休日を送ったオレは、夏休み終盤……部屋に籠り溜め込んだ宿題を一気に終わらせにかかっていた。
「うおおおおおお!!!! 所詮は小学生の宿題!! ちょろい……ちょろすぎるぜええええええ!!!!!」
今日はこの辺で中断して残りは明日……大体2時間もあれば終わるだろう。
オレはホッと息を吐きながらベッドの上で横たわる。 すると枕元に投げて放置していたスマートフォンにメールの受信通知が来ていたことに気がついた。
【メール受信・結城さん】
「ん? 結城?」
時刻を見てみると、送られてきたのは約30分前。
オレに何か用なのか? エマたちのおかげでそこまで心にダメージを負うこともなくなっていたオレは何の躊躇いもなくそのメールを開いて目を通す。
【受信・結城さん】最近ママの調子が良くて明日1日外出許可出たんだけど、一緒にどう?ってママが聞いてるの。 どうかな。
えー、そこまで回復してんのか。 すげぇな。
結城のやつ、嬉しいだろうなー。
もちろんオレがそんな親子2人の時間にお邪魔するわけにはいかない。
オレはメールで『オレがいたら気を使わせちゃうだろうし、やめとくよ』と返事。 そしてその翌日、今頃結城はママと楽しんでるんだろうなーなどと考えながら宿題のラストスパートをかけていたのだが……
「ん、またメールか」
スマートフォンから受信音が流れたので確認してみると、またもや結城からのメール通知。
集中力の途切れたオレは深く息を吐きながら休憩がてらメールを開く。
【受信・結城さん】ママが福田くんとまた話したいって。 ちょっと会えないかな。
【送信・結城さん】そうなの?
【受信・結城さん】うん。 それでさ、夏休みも残り少ないけど……どこか空いてる日ない?
いやいや、そんな時間あったらガチで親子水入らずの時間過ごせよ。
それに結城母……アンタもオレなんかじゃなくて結城と同性の友達……エマや西園寺、三好たちと話しとけ。 絶対そっちの方が盛り上がるはずだから。
もちろんオレはその誘いを断ることに。
【送信・結城さん】いや、申し訳ないけど今宿題がピンチだから。 あとこれはお節介かも知れないけど、オレと話すよりも多分西園寺とか三好とか誘った方が結城のお母さんも楽しめると思うよ?
結城へのメール送信後、オレは改めて勉強机に腰掛け宿題とのにらめっこを開始させたのだが……一度途切れてしまった集中力は復活しづらい。
「ちくしょう、今日中に終わらせて残り数日を謳歌する予定なんだけどなぁ……」
とはいえ集中力のない状態でグダグダやっても時間の無駄だ。
オレは優香に今日買ってきてほしい買い物リストを聞き、気分転換の散歩がてら買い物をするべくスーパーへ。
リストに書かれた食材をすべて買い物カゴに入れてレジに並んでいると、後ろから「あ、福田くん」とオレの名を呼ぶ声が聞こえてきた。
「ん? ーー……おお、偶然だな」
振り返ってみると後ろに母親らしき女性と一緒に並んでいた西園寺を発見。
西園寺は母親に「ちょっと話してきていい?」と了承を得ると、ニコニコしながらオレの隣に並んできた。
◆◇◆◇
「ーー……え、大丈夫なのか西園寺」
帰り道。 オレはなぜか一緒についてきている西園寺に尋ねる。
「ん? なにが?」
「いやだから、お母さんと買い物きてたんだろ? 一緒に帰らなくてよかったのか?」
そう、西園寺はレジ会計後に母親に『福田くんとお話ししてから帰るね』と言い残してオレについてきていたのだ。
ーー……親切にも2つある買い物袋の1つを持ってくれてな。
「うん、大丈夫だよ。 こうして福田くんと2人でゆっくり話すこともあまりなかったし」
「それは確かにそうだけど……やっぱ荷物持ってもらうのは気が引ける。 それもオレ持つぞ」
「いいよ私が持つ。 私の方が福田くんよりも体力も力もあるんだから」
「ぐぬぬ……それは言い返せねぇ。 でもどこまでついてくる気だ?」
「え、福田くんのお家までのつもりだったんだけど……迷惑かな? 家までこの袋運ぶの手伝ったら帰る気でいるんだけど」
「いやいや、かなりありがたいけどそうなった場合オレが気を使っちまう。 だったらいっそのこと涼しくなるまでウチでゆっくりしてくか? 部屋はクーラー付いてるし、普通にくつろげると思うんだけど」
そう答えてみるとどうだろう。
西園寺は目を光らせながらオレに「え、いいの!?」と再確認。 オレが「構わん」と答えると「やった! じゃあちょっとお母さんに連絡するね!」とすぐさまスマートフォンを取り出して電話をかけだしたのだった。
「ふふ、楽しみだなー」
「そうか? てか夏休みも終盤なのに随分と余裕だな。 宿題とかもう終わってんのか?」
「え? そんなのすぐに終わらせたけど……もしかして福田くん、まだ終わってなかったの?」
「ぎく」
「あと何が残ってるの?」
「さ、算数の問題集20ページと……国語の漢字練習帳15ページ」
「だったら私も手伝おっか? それくらいなら2人でやったら一瞬だし」
「!!!! いいのか!?!?」
「うん。 早く終わったらゆっくりお話ししよ?」
「YEAHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!」
暑い中買い物に行ってよかった!!!
これなら今日中……いや、夕方までには確実に終わるぜ!!!
オレは作業効率を高めるべく途中コンビニでお菓子とジュースを追加購入。 家に帰るなり早速宿題消化に取り掛かり、想定よりもかなり早い時間……たった2時間ほどですべての夏休みの宿題を終わらせることに成功したのだった。
「西園寺……お前のおかげだありがとう!!!」
「ううん、お菓子やジュースまで貰っちゃって、私の方がお礼言いたいよ」
「もうなんでも西園寺のお願い聞いちゃう!!! もし何かあったらすぐオレに言ってきてくれ!!」
「え、いいの? なんでも?」
「あぁ!! オレに出来ることならな!!!」
「じゃあ……」
おいおいなんだ? もう既にオレにお願いしたいことがあるっていうのか?
今日は西園寺のおかげで楽できたんだ、出来ることならなんでも叶えて……力になってやりたい。 そう思いながらオレは西園寺の言葉に耳を傾けた。
「ん、なんだ? 言ってみてくれ」
「うん。 2学期にある修学旅行ね、出来れば同じ班になって一緒に回りたいなーって」
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