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67 奴隷にお仕置き!


 六十七話  奴隷にお仕置き!



 「ちょ、ちょっと優香さん! それ詳しく!!」



 三好が優香の腕を掴みブンブン振る。



 「え、ええええぇ……」



 オレは三好にせがまれる優香を眺めながら以前優香が言っていた言葉を思い出していた。



 『私……実は好きだった人に告白してオーケーしてもらったの。 でもすぐに別れちゃったのーーー!!!』



 ーー……まさかその好きだった人ってのが三好の兄だったとは。

 しかしあの時はなんで別れたのか聞いてなかったけど……そうか、優香からフったのか。てかそこらへんギャルJK星と話してたはずだよな? オレにも教えろよこのやろう!


 それからしばらく。 優香はオレたちに言おうか言わまいかを悩んでいたのだが、心を決めたのか「ふぅーっ」と長い息を吐くとオレたちに視線を向ける。



 「うんわかった。 でもこれ三好くん……お兄さんには言わないでね」



 そこから優香は何故別れるに至ったのかを簡単に話し出した。



 ◆◇◆◇


 

 「ーー……てことなんだよね。 私、それがどうしても許せなくて」



 優香が三好の頭を優しく撫でる。



 「ーー……マジですか?」


 「うん。 やっぱり佳奈ちゃんにもそんな感じだったんだね」



 優香の話ではこうだ。



 友人に相手・三好兄も優香のことが気になっていることを教えられた優香は勇気を出して彼を呼びつけて告白。

 もちろん三好兄はそれにオーケーし、めでたくカップル成立となったのだが……問題はここからだった。



 「いやー、バカで不出来な妹を毎日見てきたせいか、福田さんが天使に見えるよ」



 愛の囁きかと思っていた優香だったが、三好兄の口から出た第一声が実の妹の罵倒。

 そこで自分にも弟がいるけどそんなこと言わない方がいいよと言ってみたところ、三好兄はその言葉に対してこう答えたらしい。



 「いいのいいの。 え、なに? 福田さんの弟さんは出来がいいの?」



 的外れな返答。


 そんな三好兄の問いかけに優香はオレのことを優しい子だとフォローしたのだが、それをも三好兄はバカにしてきていたらしい。

 結果、我慢できなくなった優香はその場で「やっぱりさっきのは無しにして」と三好兄をフり、その場を後にしたのだという。



 「マジあのクソお兄……ムカつくーーー!!!!」



 優香の話を聞いた三好が髪をわしゃわしゃと掻きむしりながら絶叫。

 こいつ学校ではあんなだけどプライベートでは苦労してたんだなぁ……。


 その後優香は三好をなだめた後、買い物がてらお菓子やらジュースやらを買いに近くのコンビニへ向かい、オレと三好はそれまでお留守番をすることになったのだが……



 「いやー! 福田のお姉ちゃん、めっちゃいい人じゃん!!」



 優香のいなくなったことにより、いつもの三好のキャラが発動。

 無邪気に笑いながらオレの方を振り返る。



 「ねーねー、福田、なんか面白いこと……」


 「は?」



 オレは無表情で三好を見る。



 「え、福田……なに怒ってんの?」


 

 三好が恐る恐る尋ねる。



 「怒っとるわああああああああ!! 奴隷の分際で調子に乗りやがってええええ!!!」


 「!?!?!?」



 オレのツッコミに三好は体をビクッと震わせる。



 「ちょっとこっちへ来い」


 「はにゃ!?」


 

 オレは三好の首根っこを掴みオレの部屋へと連行。 その後誰もいないがバタンと扉を閉める。

 


 「ふ、福田?」


 「あるぞ? 面白いこと」


 「ーー……へ?」



 オレはニヤリと笑みを浮かべながら工藤からもらった同人誌【ラブ☆ピュッピュ活動】を部屋の中心で座り込んでいる三好の手の上に。



 「え、これラブカツ?」


 

 三好がキョトンと首を傾げながらオレを見つめる。



 「そう。 音読しろ」


 「は?」


 「音読しろ。 面白いから」


 「わ、わかったよ」



 三好は不思議がりながらもページをめくり、音読を始める。



 「私の名前は水上たんぽぽ。 私は練乳がだーい好き。 今日もみんなから練乳を貰いにーー……って何これ!!!!」



 三好が顔を真っ赤にしながらページを指差す。



 「なにってなに? おかしいとこある?」


 「だってこれどう見ても……!!」


 「どう見てもなに? ねぇなに? ナニ?」



 オレはニヤニヤしながら三好に顔を近づけていく。



 「くっ…!! 福田変態じゃん!! これ美波たちに言うよ!?」


 

 三好は顔を赤らめさせたままオレを睨みつける。


 

 「言ってもいいけど、いいのかなー。 そしたらなんで三好、オレの家にこんな本があったこと知ってるのってなるんじゃないのー?」


 「ーー……!!!」


 

 三好は悔しそうにオレから視線を逸らす。


 くうううううううう!! これだよ!! この調子乗ってる奴を屈服させる優越感!! 最近やってなかったけどやっぱり堪らん!!


 それにほら、思った通りだ。

 三好も結城と同様、やはりこういったエロ系が気になりだす時期なんだろうな。 なんだかんだチラチラとそういったページに視線を向けている。



 「え、三好さっきからそこチラチラ見てるけど、好きなの? そういうの」


 「なっーー……!! ちが……、今のは……!!」


 「いいじゃん興味あるならさー。 黙っててあげるからほら、続き読みなよ。 もうオレは三好弄れて満足したから音読しなくてもいいし」


 「な、なんか負けた気がするけど……福田が読めって言うから読んであげる。 ぜっったい麻由香や美波には内緒にしててよね!」



 三好はオレに念を押し、再び視線を【ラブ☆ピュッピュ活動】へと戻す。



  「えっ……マジ? うわっ!! いやー、こうなるんだ……」



 ぐへへへ……やっぱり最高だぜ。


 三好は時折足をくねらせたり内股になったりしながらページをめくっていく。

 オレはそんなムズムズ状態の三好をベッドの上で横になりながら高みの見物をしていたのだった。



 ◆◇◆◇



 それからしばらく時間が経ち、優香が買い物から帰ってくる。



 「佳奈ちゃん、ダイキー、お菓子買ってきたからリビングおいでー」



 リビングから出した優香の声がオレの部屋まで響く。



 「だって。 福田、行こ」



 エロ同人を読んでいた三好が本を閉じオレに視線を向ける。



 「いや……オレちょっと今は起きれないかなー」


 

 恥ずかしがりながらもエロ同人を読んでいた三好に集中しすぎたせいか……なんなのかなー、全然『お菓子!!』って気分にならないんダヨナー。



 「なんでよ、早く行こっ!」



 三好がうつ伏せに横たわっているオレの腕を掴む。



 「いや、ほんとにオレはまだいいから。 三好先行ってろよ」


 「そんなの気まずいじゃん!! ほーら、行くよ!」


 「行かない!」


 「行くの!」


 「行かない」


 「行く!」



 三好が一気に力を入れて引っ張ったせいでオレは体ごとベッドから滑り落ち、その時回転してしまったせいでオレは床に尻餅をついてしまう。



 「ーー……いってーなぁ」


 「もう、福田が早く立たないからじゃん。 って、……え?」



 それから何があったんだろうね。

 おそらくは読んだ本の内容を思い出してしまっていたんだと思うんだが、その後三好は顔を真っ赤にしながら優香の買ってきてくれたお菓子を食べ、夕方日が沈んできた頃に自宅へと帰っていったのだった。



 

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― 新着の感想 ―
[一言] 三好ちゃんはゴーヤが大好き…なわけはないですよね
[良い点] 佳奈ちゃんが 「えっ……マジ? うわっ!! いやー、こうなるんだ……」 なんて言いながら顔を赤くして、でも一生懸命見てる所とか想像すると滾りますね。 [一言] 頬を染めながらマンガを見て…
[一言] またしても動物園が開園してしまったのか・・・ しかも今回は観客一人 あなたのためのソロ公演です ゾウさんも興奮しています
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