667 【真・結城編】パワースポット【挿絵有】
六百六十七話 【真・結城編】パワースポット
三好とともに学校を出たオレは2人でスーパーへ。
事前に優香から送られてきていた買い物リストを確認しつつ、三好チョイスのジュースやらお菓子を買い物カゴの中へ入れていく。
「よし、あとはお姉ちゃんの夜食用にグミ買えばミッションコンプリートだな」
オレがハードタイプのグミを買い物カゴの中へ入れると、三好が興味津々で買い物カゴの中を覗いてくる。
「へー、優香さん勉強中グミ食べるんだー。 てかそのグミって結構固いやつだよね」
「あぁ。 なんでも口に何か入れてる方が集中出来るんだって。 ガムとかは途中で味しなくなるから嫌らしいぞ」
「そーなんだ。 じゃあ私も今度1回だけお兄に差し入れしてあげよっかなー」
「お、優しいじゃんか。 どうした突然」
「別にー。 一応お兄も来年受験生だし夜遅くまで勉強してるからさ。 いつもウザいけど1回だけ労ってあげようかなーって」
1回だけってそこまで強調しなくてもいいのに。
まったく、そんな素直じゃない優しいところも三好のいいところなんだよな。
オレはそんなツンデレ三好に癒されながらもお会計を終了。 いざお菓子パーティーをするべくオレの家へと向かった。
◆◇◆◇
「うわー、なんか福田ん家、久しぶりかもー」
帰宅しリビングについた三好が大きく息を吸いながら周囲を見渡す。
「そうか? なんだかんだで来てんだろ。 最近だと……ほら、オレやお姉ちゃんが退院した次の日とか」
「もう数ヶ月経ってんじゃん」
「いやいや、ゆーて数ヶ月だろ。 三好の中の久しぶりってその程度なのかー?」
「うるさいなー、少しは『そうだねー』とか肯定できないわけー?」
そんなやりとりを交わしながらオレは部屋の冷房を付け、先ほど購入したお菓子をソファーに腰掛けていた三好のもとへ。
ジュースももちろんコップに注いで三好に手渡す。
「ほい」
「さんきゅー」
お菓子パーティーを始めたオレたちは軽い雑談を交えながら優香の録画していた音楽番組を鑑賞。
ちなみにオレは最近流行りの歌手や曲は全然分からないのだが、三好はさすがJSだな。 いろんな歌手やアイドルグループが出る度にその名前……「あ、【キスミー】じゃん!」とか、「やっぱ最近【Sexy Area】きてるよねー」などとオレに楽しそうに話しかけてくる。
「おおお、なんかすげーイケメンってことは分かるけど、やっぱ三好詳しいな」
「そりゃそうだよ。 天下のサニーズだし」
「え、サニーズって【ニューシー】が所属してるグループだよな。 こんなにいるのか!」
「そだよー。 まぁ福田が【ニューシー】しか知らないのも仕方ないよね。 美波やエマも【ニューシー】担だもん」
そうしていろんな知識を三好から得ながらテレビを見ていたオレだったのだが途中で三好が静かになっていることに気づく。
一体どうしたんだと思い視線を隣へと向けると……疲れてたんだろうな。 三好はオレの肩にもたれかかりながらスヤスヤと寝息を立てていた。
「おいおいジュース入ったコップ持ちながら寝るとか器用だなー」
オレは三好を起こさないよう股の上で持っていたコップを抜き取ると、そっと三好の体勢を横にする。
そのまま三好が起きるまでそっとしてあげていたのだが、三好が起きるよりも先に優香が学校から帰宅してきた。
「あ、佳奈ちゃん眠っちゃったんだ」
スクールバッグを床に置いた優香が三好の寝顔を覗き込む。
「うん。 どうする? 時間的にもう起こした方がいいかな。 オレ送ってくし」
「そうだねー。 あ、ちょっと待って、だったら三好くん……佳奈ちゃんのお兄ちゃんにいつくらいに帰らせたらいいか聞いてみるよ」
そう言うと優香はスマートフォンを耳に当てながら自分の部屋へ。
しばらくの間待っていると、優香が「お待たせー」と駆け足でリビングへ戻ってきた。
「あ、お姉ちゃんどうだった?」
「なんか今日、三好くん進路のことでご両親と真剣に話したいから出来れば佳奈ちゃん預かって欲しいんだって」
「え」
「それでそのことを私たちで勝手に決めていいのか分からなかったから電話をお母さんに代わってもらったの。 そしたら結構長い時間話し合うかもしれないから出来れば……って。 だから今日は佳奈ちゃんさえよかったら泊まっていってもらおっか」
おお、まさかお菓子パーティーするだけの予定がお泊りに進化するとは。
「でもお姉ちゃん的には大丈夫なの? その……勉強とか」
「うん。 お姉ちゃん、久しぶりに佳奈ちゃんともご飯食べたいかも。 それに詳しくは分からないんだけど、佳奈ちゃん……ダイキのために遊びに来てくれてるんだよね?」
優香のその言葉にオレは体をビクンと反応させる。
もしかして……バレた?
「そ、それをなんで……」
「分かるよ。 ダイキの顔、朝よりもだいぶ明るくなってるもん。 これも多分エマちゃんや、実際ここにいる佳奈ちゃんのおかげ……だったらお姉ちゃんも佳奈ちゃんに何かお礼したいな」
なんて天使。 ほんとオレの周りには天使しかいない……オレはすげぇ幸せものだなぁ。
その後三好が起きて先ほどの質問をしてみたところ、三好の回答は「やったー! 泊まるー!」。
なので今夜は久しぶりの3人での晩ご飯。 優香も三好もかなり盛り上がっていつも以上にご飯が美味しく感じたぜ。
◆◇◆◇
ご飯は盛り上がりお風呂タイムも終了。
オレがそろそろ寝ようかなと思い電気を消そうと立ち上がったタイミングで、優香の大きめのTシャツを着た三好が部屋に入ってきた。
「ねぇ福田、ちょっといい?」
「ん、どした? さっきまでリビングで寝たがってたけど怖くなったか?」
「ちがうよー。 ここで電話させてほしいなーって」
三好が手に持っていたスマートフォンをオレに見せてくる。
「電話? いいけどなんでここで? 電話ならリビングでもできるだろ」
「違うじゃん。 リビングで話したら優香さんの部屋も近いし勉強の邪魔しちゃうかもしんないっしょ? だから優香さんの部屋から離れてる福田の部屋に来たってわけー」
あー、なるほどな。
そんな理由を聞いて断るはずがない。
オレはもちろん三好の要求を承認。 「好きなだけ話してくれ」とベッドの上へ案内し、三好の通話が終わるまでの間何して時間を潰そうかなーなどと勉強机の前で考えていたのだが……
「あはは、麻由香なにその髪型ー。 めっちゃ跳ねてんじゃんー」
『そんなこと言わないでよ、ウチ、急いでドライヤーかけたんだからー』
だ、だめだ。 盗み聞きしてはダメだと分かっていても、女の子同士の会話……気になる!!!
話してる相手は……おそらく多田と小畑だな。 三好を含めた3人がビデオ通話をしながら最近の懇親イベントの話で盛り上がっていた。
『でさー、私や麻由香たちが話し込んでたら知らない間に男子の入浴時間になっててさー。 もうめっちゃ見ちゃったよね』
『そうそう! ウチも見すぎて目に焼きついちゃったし』
「えー、そうなの!? てかそんなしっかり見たの?」
『見た見た! 佳奈、実物すっごいよ! 普通にしてるぶんにはプラプラ揺れてて面白いんだけど、おっきくなったらめっちゃ迫力あんの!』
「は、迫力?」
『うん! もうめっちゃエロかった! だよね麻由香!』
『エロかった! でもそれと同時に怖かったかな! あんなのが本当に入んの!?って!』
『思ったぁーー!! 想像しただけで痛かったし!』
「えええ、そんなになんだ。 でも確かに想像つかないかも」
ああ……ああああああああ!!!!!
なんの話をしているのかはここではスルーするし確証はないけど、素晴らしい……素晴らしい会話&感想をありがとう!!!!
三好たちの会話でオレの某所は既に興奮しすぎて爆発寸前。
昨日の優香とのお風呂ではまったく反応してなかったのを考えると、それだけオレのメンタルが復活してきているという証拠なのだろう。
オレはそんな今にも爆発しそうな箇所を押さえながら視線を静かに三好の方へと向けた。
「えー、私はお兄の見たことあるし、別にそこまで見たいとは思わないかなー」
『またまたー』
『強がんないでいいんだよ佳奈ー』
「は、はぁあ? 強がってないし!」
三好はオレのベッドの上でうつぶせになりながら膝を曲げ、左右の足をお互いにパタパタと当てながら会話に集中している。
これが夜に電話で盛り上がっている女の子の姿。 なんて微笑ましいんだ……。
オレはそんなことを考えながら見つめていたのだが、ここで奇跡が起きる。
オレの視界が……三好の着ている優香の上着が足の左右パタパタにより少しずつ上へ捲り上がっていっているのを捉えたのだ。
もしかしてこれは……背後から覗き込んだらバッチリ見えるやつなのでは?
欲求に勝てるほどオレは聖人ではない。
オレはすぐに行動を開始。 静かに椅子から降りると、ほふく前進の体勢をとり三好に気づかれないよう音を立てず少しずつ近づいていく。
進むタイミングはそう……三好が発言している時間だけ。 発言してる時は脳をそっちに集中させて聴力とかそういうのは鈍くなってそうだからな。
『ていうか佳奈、ウチさっきから気になってたんだけど、いつもの背景違うくない?』
「えー、気づいた?」
『どこ? お兄さんの部屋?』
「はぁ? なんでお兄の部屋なのさ、んなわけないじゃん」
『じゃあどこなんー?』
「んー? ひみちゅー」
女子の下ネタトークが終わったのは残念だがなんて平和……あと女の洞察力って凄いな。 話してる相手の部屋とか気になるものなのかよ。
その後も小畑はアイドルの話を……多田は塾の愚痴を話題に出して盛り上がり、それらの話が終わったくらいだろうか。 『んで、佳奈はー?』と三好に話を振ってきた。
「え、私?」
『あ、そうだ! 私と麻由香さ、とんでもない現場見ちゃって!』
「とんでもない現場?」
『そう! でも佳奈、落ち着いて聞いてほしいんだけど……』
「なにさ」
『あーでもこれ言っていいのかなー』
「もー、だからなにー?」
三好が話に集中している間にオレはようやく三好の足下に到着。
ゆっくりとベッドの上へ顔を出し視線を向けると、そこには神秘の光景が広がっていた。
オオ……オアアアアアアアアアア!!!!!
そうだ、三好のやつ……パンツとか今そこらへん全部洗濯して干してるから履いてなかったんだ!!!
オレはあまりの光景に生唾を飲み込む。
なんと美しい……いや、なんと壮大!!! しかも三好のやつ、足を左右にパタパタとさせてるもんだからたまに深淵が顔を出して……フォアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
みるみる元気が湧いてくる!! これが本当のパワースポットなんやあああああああ!!!!
どうせまだ話は盛り上がってるしまだ続くはず……だったらそのギリギリまで!!!
オレは三好が通話を終えるまで酔いしれることを決意。 もしかしたらもっと深いところまで見れる瞬間があるかもしれない……そう期待して少しずつ顔を近づけていった。
「ーー……で、結局なんなのさ。 とんでもない現場って」
『いや、実はさ……』
『ちょっと待って美波。 それよりも先にウチ、佳奈に聞きたいことがあるんだけど』
「私に? なに?」
『佳奈はあれからどんななの? 福田との進展……』
「う、うわああああああああああああああ!!!!!!」
ーー……ん、さっきオレの名前が聞こえたような。
しかしそんなことよりも大変なことが起こる。
そう、なぜか先ほどまで盛り上がっていたはずの三好が通話を切り……目が合ってしまったのだ。
「あ」
「ーー……今の、聞いた?」
三好が不安そうに唇を尖らせながら尋ねてくる。
「今の? あー、なんか喋ってたな。 よく聞き取れんかったが」
「そ、そうなんだ」
「ん、聞かれちゃまずいことだったのか?」
「な、なんでもないし! ていうかなんで福田、そんなとこにいんのさ」
三好はどこか安心したのかほっと溜息。
その後不思議そうにオレの顔を見つめてきていたのだが……
「ーー……ん? 福田、さっきから視線泳いでるけどどこ見てんの?」
「ど、どこってそりゃあもちろん……」
うん。 今見たらダメって分かってても本能で見ちゃうんだよ仕方ない。
オレの視線はまっすぐ普段ではお目にかかれない神秘エリアへ。 そして三好もオレの視線がどこへ向けられているのか気づいたのか、顔を赤らめながら素早い速さでそこに手を当てた。
「ちょ、ちょちょちょ福田あんた!!! もしかして……!!!!」
「し、仕方ねーだろ!!! モロ見えだったんだから!!!」
「モ、モロ見……!? ちょ、なんで言ってくれないのさ!!!」
「言ったら多田や小畑さんたちにオレがいるのバレるだろ!! そうしたら三好に迷惑かなって思って黙ってたんだよ!!」
「そ、そっか……それなら仕方ない。 で、でもそんな近くで覗く必要なくない!?」
「それも仕方ないだろ」
「な、なんで」
「男だから」
「ーー……は?」
「さっき三好たちが盛り上がってたように、オレも見たかった……興味あるんじゃい」
みんなもパワースポットには興味あるもんね。
何故だか分からないがオレのこの発言に三好は納得。 「そ、そっか。 だったらまぁ……仕方ない……のかな?」などと首を傾げながら許してくれたのだった。
「え、マジ? 許してくれんの?」
「んー、まぁ今日だけね。 私だって興味ないかって聞かれたら興味あるし」
「そ、そうか」
「それで……見て元気でた?」
「そりゃあ出たぞ! こんな機会そうそうないからな!」
「ふ、ふーん。 じゃあいいんじゃない?」
そう呟くと三好はゆっくりと立ち上がりリビングへ。
オレもリビング前まで三好を送ったのだが、三好は一瞬視線を落としてオレの下半身を見るなりクスッと笑う。
「ん、どうした」
「はは、なーんでもない。 電話させてくれてありがと、おやすみー」
「え、あ、うん。 おやすみ」
この日の夜、オレが眠るまでに時間がかかったことは言うまでもない。
パワースポット、かなり最高でした!!
お読みいただきましてありがとうございます!
本日は大ボリューム!笑
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