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665 【真・結城編】ありがとう!!


 六百六十五話  【真・結城編】ありがとう!!



 エマに頼んでくれた優香や、オレの話を真剣に聞いてサポートしてくれるエマに最大限の感謝を。



 学校に到着し一緒に教室に入ったオレとエマ。 もちろんオレの視界には気まずそうに視線を外してくる結城……しかしそんな結城にエマは「おはよー桜子。 デスティニーランド、どうだった!?」と陽気に話しかけにいってくれていた。

 もちろんオレはその隙をついて隣を通り過ぎ自分の席に着く。



「デスティニーランド? う、うん。 楽しかったよ」



 結城は一瞬オレの方を振り返ろうとするも途中で思いとどまりエマに再び視線を戻す。



「そっかー、いいわね。 今度エマも行ってみたいわー。 もし機会があれば一緒に行きましょ! その時は桜子、案内よろしく頼むわね!」


「う、うんいいよ。 ていうかエマ、なんかテンション高くない?」


「えー、そんなことないわよー」



 ほんとにありがとう!! エマ!!!



 オレはそんなエマのおかげでなんとか1時間目の授業を乗り切ることに成功。

 しかし休み時間もずっと気を遣わせては申し訳ない……流石にエマにも気を休めてほしいオレはどこかで時間を潰すべく教室を出た。 



「とりあえずどこ行くか。 近くのトイレだと鉢合わせる可能性もあるからな」



 行き先は特になかったものの、勝手に足が向かったのはあの懐かし場所……1階図工室前にある人のあまり寄り付かないトイレ。

 空気の重かった空間から解放されて少しリラックスしながら歩いていると、後ろから「ふ、福田」とオレを呼ぶ声が聞こえてきた。



「ん?」



 振り返り確認してみるとそこにいたのは三好。

 三好が少し気まずそうにしながらオレに近づいてくる。 オレは何事かと思い「どうした?」と声をかけたのだが……



「え、あ……うん。 木曜のこと、福田に謝りたくてさ」


「木曜のこと?」


「うん。 ほら、私熱出して迷惑かけちゃったっしょ? まずはそれを元気になった今もう1回謝りたいのと、もう1つはあれ……メールでも言ったけど私、桜子に福田の秘密、話しちゃったかもしんないからさ」



 あー、そのことか。 そういえば大丈夫だったってこと三好に伝えてなかったな。



 オレはちょうどいいタイミングだと思い三好を連れてあの場所へと向かう。



「え、ちょ……どこ行くの福田」


「ここで話すわけにもいかないからな。 久しぶりにあそこで話そうぜ」



 到着すると案の定そこに人の気配はまったくなし。 オレはそこで三好に『あれは三好の思い違いで、実はオレが口を滑らせてそれっぽいことをすでに結城さんに伝えてしまっていたらしいんだ』とを改めて伝えた。



「え、そうだったの!?」



 三好が目をまん丸に開かせながら顔を近づけてくる。



「あぁ。 まさかだろ。 オレも結城さん本人から聞くまで知らないって思ってたし」

 

「な、なーーんだ。 びっくりしたぁー」


「逆に長く考えさせちゃって悪かったな」


「ほんとだよもー。 でもなんだ、桜子知ってたんだー」



 三好は自分がやらかしてないことにようやく安心したのかホッと胸を撫で下ろす。 その後続けて「だったら今後、桜子も福田の理解者でいてくれるってことだよね、よかったじゃん」と緩みきった顔で微笑みかけてきた。



「あーー……うん、そうだな」



 なんとも間の悪い話題。

 オレが視線を若干逸らしながら答えると、そういうのに敏感な三好が「ん、どしたの福田?」とその可愛いポニーテールを揺らしながら顔を覗かせてくる。



「いやさ、結城さんと最近ちょっとあってさ。 あまり結城さんにオレの話題を振らないでほしいっていうか……」


「ん、なんで? 喧嘩でもしたの?」


「あーいや、喧嘩……とかはしてないんだけど」


「じゃあなんでなのさ。 他に言ってほしくない理由ってなにがある?」



 これは……三好相手に言い逃れできそうにないな。



 三好ならなんだかんだで信頼出来るということでオレは失恋の件を三好にも話すことを決意。 一旦個室の扉を開けて誰もいないことを確認した後、「これはここだけの話なんだけど……」と三好に顔を近づけた。



「ん、ここだけの話?」


「うん」


「なにさ。 あー、もしかして恋愛関連? 告白したとか言わないでよー?」


「え」


「あははごめんごめん。 珍しく福田が真剣な顔してたから、からかいちゃったくなっちゃって。 んで、桜子となにがあったの?」



 三好がアハハと笑いながらオレの言葉を待つ。

 ていうか三好のやつ……ほんとすげぇな。 これも女の勘ってやつなのだろうか。 そんなことを考えながらもオレは早速本題に入る。



「実はそうなんだ」


「ん、『実はそう』ってなにが? あー、さっき私が冗談で言った告白したってやつ? いいよいいよ悪ふざけに乗ってこなくても。 あれはただこの場を和ませるためにやっただけで……」



「いや、ガチ。 金曜の夕方にオレ、結城に告白したんだ」



「え」



 先ほどまで柔らかくなっていた三好の表情がピタリと固まる。



「ん? み、三好?」


「ーー……」



 そりゃあ突然そんなこと言われたらどう返せばいいのか分からないし混乱するよな。

 オレはしばらく三好が元に戻るのを待っていたのだが、三好のフリーズは一向に解かれず。 なのでオレは三好の目の前で小さく手を振りながら「み、三好。 聞こえてるかー?」と何度か声を掛けてみた。



「おーい、み、三好ー?」



 呼びかけて何度目だろうか。

 ようやく反応した三好がゆっくりと口を開く。



「で、……の?」


「え?」


「それで……ど、どうなったの? 桜子はなんて……?」


「フラれたに決まってんだろ」


「ーー……フラれた?」


「あぁ、それも見事なまでに激しくな。 そういうことがあったから今結城さんとはちょっと気まずい感じなんだ」


「そうだったんだ」


「分かったならオレを慰めろこのやろう」



 ちくしょう、口にすると本当に心は軽くなるけど当時を思い出しながら喋るから話してる途中は心が痛いぜ。



 オレがそのことを伝え終えたタイミングで休み時間終了のチャイムが流れ出す。

 


「あ、やっべ。 走って戻らないと先生来ちゃうな。 ほら、行くぞ三好」


「え、あ……うん」



 こうしてオレは三好の手を引っ張りながら駆け足で教室へ。

 その後再び結城の背中を視界に入れながら授業を受けていたオレだったのだが、授業終了後にスマートフォンを確認すると三好からのメール受信通知が届いていた。



【受信・三好】さっきは驚いちゃってなにも言えなかったごめん。 もし福田が教室に居づらいんだったら桜子との関係が修復するまでしばらく休み時間や昼休み、私が付き合ってあげるけど。



 み、みみみ三好ーーーーーーーー!!!!!


 

お読みいただきましてありがとうございます!!

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