66 衝撃の事実!【挿絵有】
六十六話 衝撃の事実!
いやぁ、子供ってのは最高だよな。
社会人になる前の者にのみ許される特別なロングバケーション……そう、夏休みに入ったオレは何をすることもなくただボーッと部屋のベッドで天井を眺めていた。
「あぁ、まさかもう一度味わえるなんて」
そんな独り言を呟いていると枕元に置いていたスマートフォンが振動する。
「ーー……ん? 三好?」
夏休みに入り、来たるラブカツオーディションのことを話すため事前に三好と多田とは連絡先を交換しておいたのだ。
【受信・三好佳奈】ひま。
「ーー……は?」
おいおいラブカツとまったく関係ない内容かよ。 ていうか暇なんだったらオレなんかに連絡せずに多田や小畑と遊べばいいじゃないか。
そう思いながらもマメなオレは三好に返事を入力、送信する。
【送信・三好佳奈】どしたの。 多田たちと遊べばいいじゃん
するとすぐに返信の通知が届く。
【受信・三好佳奈】無理。 麻由香は塾で美波は家族で出かけてる。
「ーー……んなこと言われてもなぁ」
オレが返信に悩んでいると連続で三好からのメール通知が。
【受信・三好佳奈】てかお兄と喧嘩して家出てきちゃったから暑い。 福田どうせ暇でしょ?
「は? ふざけんな奴隷の分際で」
オレは返信を無視してリビングへ。
このイラつきをどうにかするため、冷蔵庫内に入れていたコーラを一気に飲み干していく。
「ダイキ、どうしたの?」
「え?」
オレのもとに近づいてきたのは姉の優香。
「なんか珍しくイライラしてるように見えたけど」
おぉ、さすがマイシスター。 一目見ただけでそんなわかるなんて。
まぁ優香になら愚痴ってもいいかと思ったオレは三好とのメールのやり取りを簡単に優香へと説明した。
「ダイキ頼られてるじゃん!」
優香が嬉しそうに微笑む。
「いやそんなんじゃないし」
「その子ってさ、女の子?」
「まぁ……そうだけど」
「えーー!! ダイキもしかしてモテるの!?」
「んなわけないでしょ!」
嬉しそうに前のめりになりながら尋ねてくる優香に対してオレは間髪を容れずツッコミを入れる。
「なんでー? 行ってあげなよ。 その子1人で寂しいんでしょ?」
「寂しいっていうよりは暇してるだけで、それに外は暑いし」
わざわざ外でなくても良い日に汗をかくとかありえねぇ。
オレは首を左右に振りながら「だからオレは行かないよ」と優香に伝え、部屋に戻るために背を向ける。
「じゃあさダイキ、その子ウチに呼んじゃいなよ」
「えええええええええ!?!?!?」
◆◇◆◇
「お邪魔しまーす!」
額から大量の汗を流した三好がうちへ到着。
三好の私服を見るのはこれが初めてだな……なかなかに夏らしくも可愛い服装じゃないか。
なんて言うんだろうーー…上はピンクレースのタンクトップみたいな感じのやつで、下は藍色の短パン。 活発さが出てて良い感じだ。
「えっと……じゃあこっち」
「はーーい!」
オレが三好をクーラーの効いたリビングへと案内すると優香がニコニコしながら三好を出迎えた。
「いらっしゃい三好さん」
優香がジュースを入れて三好のもとへ。
「あ、ありがとうございますー!」
なんだ、ちゃんとした言葉遣いできるんじゃねーか。
「ちょうど私もダイキも暇だったからさ、落ち着くまで家にいて良いからね」
「え、福田のお姉ちゃん最高!! よろしくお願いしまーす!」
三好は優香に満面の笑みを向けながら深々と頭を下げた。
◆◇◆◇
ーー……で、どうしてこうなった。
オレの目の前では優香と三好でかなり盛り上がっている。
「でねー、最悪なんですよ私のお兄! どうせお前なんて何しても出来ないんだからオーディションなんかに出てもすぐ負けるだけとか言うんですよ!!」
あー、オーディションのことあっさり言ったな三好。
しかし優香はそこには触れず会話を続ける。
「え、それつらーい。 なんでそんなこと言うんだろうね」
「お兄、昔から何やっても上手くいってたから出来ない私をすぐ見下すんですよ!! そりゃあテストで毎回学年1位なのは私も凄いと思いますけど……」
ーー……そういやそんなこと多田が言ってたな。
三好は見返したくてラブカツオーディションに参加を決めたんだっけか。
「へぇー、佳奈ちゃんのお兄ちゃん頭いいんだ」
おいおい、いつから佳奈ちゃん呼びになった!?
「うん。 でも私はお兄、今が一番嫌いだけどね!」
三好が腕を組みながら鼻をフンと鳴らす。
「なんで一番嫌いなの?」
「だってお兄、最近機嫌悪いんだもん」
「そうなの?」
「うん。 ちょっと前くらいかな。 珍しくイライラしてたっぽいから『好きな人にでもフられたのー?』って冗談交じりに話しかけてみたら急にブチ切れて。 そこからずっと私を敵に見てるって感じ。 お兄、高校1年生にもなって子供だよね」
「え、高校1年生……?」
三好の一言に優香の動きが止まる。
「どうしたの優香さん」
「えっと……佳奈ちゃんのお兄さんって、近くの高校に行ってたりする?」
「うん」
「それでさ、お兄さんの性格って結構自信満々だったりとか?」
「するする!! え、優香さんもしかしてお兄のこと知ってるの!?」
三好が前のめりになりながら優香に尋ねる。
「知ってるもなにも……」
……ん? なんだ? なんかあるのか?
優香は目を泳がせながら三好とオレを交互に見る。
「え、お姉ちゃん?」
優香はゆっくりと視線を三好へと戻し、優しく三好の肩を持つ。
「ごめんね佳奈ちゃん!! お兄さんフったの私なのーーーーー!!!!」
「「えええええええええええ!?!?!?!?!?」
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