658 【真・結城編】恋愛初心者の本気!!
六百五十八話 【真・結城編】恋愛初心者の本気!!
『ーー……あ、ほんとじゃ。 結城ちゃんのデスルートがなくなっとるのじゃ』
結城の今後の人生を軽く調べた神様が手鏡を覗きながら小さく呟く。
「っしゃあああああああああああ!!!!!」
『結城ちゃんには申し訳ないことしたのう……早くワシが気づいておればあんな大変なことには……』
「いやいや神様、気づいただけでも奇跡じゃないか!! だから……サンキューな、ロリ天使!」
『ワッチはロリ天使じゃないのやああああああああああ!!!!』
その後、用を終えたロリ天使と美香……神様は2人仲良く姿を消して天界へ。
オレはしばらくの間ソファーに腰掛け、結城がハードモードな人生から解放されたということに安心しボーッと天井を眺めていたのだが……
「ーー……ん、待てよ」
確かロリ天使の見せてくれていた映像ではあの陰陽師、男なら大きな樹……『大樹』にちなんだ名をつけろって言ってたよな。 これ読み方は違うけど、まんまオレの名前じゃね?
だとしたら今までの結城のデスルート回避はオレの名前の効果も合わさっての結果だったり……てことはつまり、『桜』の名がついた結城とオレが結婚しちゃったら……もうオレたちの人生、最強になっちゃうのではないのか!?!?
まさに約千年前から定められし運命!!! オレはなんだかんだで結城のことが一番気になってるし、ちょうどいいタイミングだろおおおおおお!!!!
勇気を出すなら……今しかない。
オレはすぐにスマートフォンを手に取り結城に電話をかける。
しばらくするとスピーカーから『もしもし?』と結城の可愛い声が聞こえてきた。
◆◇◆◇
「え、あ、そうなんだ。 結城さん、エルシィちゃんを学校に送った帰りなんだ」
『うん。 今日の夕方『海』を選んだエマたちが帰ってくるから。 それまではママと一緒に学校で遊んでるんだって』
「そっか。 結城さんは……一緒にいないんだね」
『そうだね。 せっかくのお休みだし、私は今からコンビニでお弁当買って帰ろうかなって』
「へ、へぇ……」
『それで……、福田……くんは私に何の用だったの?』
結城のこの問いかけにオレは冷や汗を垂らしながら生唾を飲み込む。
や、ヤベェ。 勢いで電話しちまったけど、ここからどうやって告白の展開のまで持っていけばいいんだ?
前世でも今世でも告白したことなんてないから分かんないぞ!!!
『福田……くん?』
「え、あ、あーーー、そのーー、あれだよ。 今朝結城さん、お母さんと電話出来て良かったねーって言いたくて」
『あ、うん。 ありがとう福田……くん。 今日も夕方、ママがお仕事終わったら一緒に会いに行くんだ』
クッソオオオオオオオ!!!!! 告れるかボケェエエエエエエイ!!!!
結局オレは恋愛初心者! いきなり告白なんて上級なこと出来るわけないじゃないか!!
そ、そうだよ……こうして電話をこっちからかけたり出来るようになっただけでも前のオレからしたらスゲェ進歩だよな!!
スマートフォンを耳に当てたオレは見えない涙を流しながら「う、うん。 じゃあまたね」と話を締めることに。
そして通話終了のボタンを押すべく耳から離そうとしたタイミング……突然結城の『あ、福田……くん、ちょっと待って』の声が聞こえてきた。
「ーー……ん?」
突然のことで頭が真っ白になったオレはとりあえず結城の言葉を待ったわけなのだが……
『福田……くんはもうお昼食べた?』
「え、ま、まだだけど……」
『じゃあさ、もし福田くんが良かったら……なんだけど、今からご飯食べに行かない?』
ーー……。
「え?」
『その、私がお金出すから……昨日のお礼したくて』
「お、お礼?」
『うん。 昨日駆けつけてくれて嬉しかったから。 それで……どうかな』
おお……うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! 恋の神様はオレをまだ見捨ててはいない!!!!
まさか向こうから会えるきっかけを作ってくれるなんてええええええええ!!!!!
もちろんオレはその誘いを承諾。
すぐに身支度を整え玄関を飛び出し、結城の待っている学校から少し行った先の商店街へと向かった。
やるぞ……やるぞ!!
この機会を無駄にはしない!!!!
オレはやるぞおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!
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