654 【真・結城編】原因!
六百五十四話 【真・結城編】原因!
オレは高槻さんには一生頭が上がらないんだろうな。
いつの間にやら超ド級の下ネタ発言を優香に聞かれていたオレ。
『お姉ちゃんにも教えてよ、なんの話?』
これに対してオレは一気に背筋を凍らせ固まってしまっていたのだが、ここで高槻さんが機転を聞かせてフォローしてくれたんだよ。
「あらら、お姉さんに聞かれちゃいましたね。 料理のお話ですよ。 弟くん、料理に興味があるらしくて現状の腕前を実際に見て欲しいってお願いしてきてたんです」
おおおお!! ナイスアシスト!!
オレはこの瞬間に今回は高槻さんに流れを任せることを決意。 優香は驚いた顔でオレと高槻さんを交互に見ていた。
「え、そうだったんですか? だからダイキ、実際に見る……とか間違ってたら訂正して欲しいとか言ってたんですか」
「そうですよー。 少しでもコツを掴んでお姉さんを驚かせたかったようですけど、福田くん残念でしたー。 もう内緒話ではなくなっちゃいましたねー」
高槻さんはオレの隣を通り過ぎる瞬間に振り返りながらのさりげないウインク。
結果、オレはなんとか無事にこの困難から乗り切ることが出来たのだった。
「そっか。 ダイキ、お姉ちゃんの進路のために家でも家事とか結構やってくれてるもんね。 まさか料理までやってくれようと考えてくれたなんて……お姉ちゃん嬉しいな。 でも大丈夫だよ、せめてそこだけはお姉ちゃんにやらせて欲しいかな」
う……うおおおおおおお!!!! 高槻さん!!! ありがとうございますーーーー!!!!!
そして優香可愛すぎるんじゃああああああああああああああああ!!!!!!!
その後オレたちは朝食を食べてタクシーで帰宅。
優香が家に着くなり制服に着替えると学校へと向かい、オレはしばらくの間リビングのソファーでくつろいでいたのだが……
ピンポーン
「ん?」
大体10時頃。 知らない間に寝落ちしていたオレは突然のインターホンの音で起床する。
ピンポーン
「へいへい」
優香が何かネットで注文でもしていたのだろうか……そんなことを考えながらも玄関へ向かい扉を開けると……なんということだ。 そこには私服に身を包んだ美香の姿をした神様と、あのロリ天使が立っているではないか。
「え、あ……なんで?」
『そんなの決まってるのや。 昨夜、後日話すって言ったのや』
ロリ天使が自分何か間違ってますか的な顔をしながら首を傾げる。
「そ、それはそうですけど……本当に後日だったんですね」
『もちろんなのや。 あ、でもオニュシの都合が悪いのなら出直すのや? それで手遅れになってもワッチは知らんかやけど』
え。 そんなに結城母の現状って切羽詰まってるのか?
確かに結城母本人も『私はそこまで長くない』って言ってたけど……
これはまだ眠たいとか言ってる場合じゃないな。
オレは2人……いや2神を招き入れリビングへ案内。
ソファーに並んで座らせると、何を渡せばいいのか分からなかったのでとりあえず冷えた麦茶をコップに入れて差し出した。
「暑かったでしょ。 これ麦茶冷えてるんでどうぞ」
『ありがとうダイキ』
美香が静かにそれを受け取るとすぐにコップに口をつけクイクイとテンポよく飲み干していく。
「お、おお。 いい飲みっぷりだな」
『ぷふー。 毎回思うけど、氷も使わずにこんなにも冷たい飲み物が飲めるなんて奇跡。 時代の進歩、すごい』
「そ、そうかそうか。 てかそういや昨日あれから大丈夫だったのか? なんか上層部の神々にチクった神社の神様を説得しに行くって言ってたけど」
『そこは余裕。 格の違いを見せつけた』
美香が相変わらずの無表情でオレに親指を立てる。
この美香の発言にロリ天使が突っ込んでこないあたり本当なのだろう。 ロリ天使の視線を移してみると、ロリ天使は『おお、本当にちゅめたいのやー』と物珍しそうに冷えた麦茶の口当たりを楽しんでいた。
「そうか、それは良かったよ」
まぁそうだよな、それで説得失敗してたら……もしかしたら神様も隣のロリ天使もまだ罰を受けてた可能性だってあったんだもんな。 今回ばかりは神様の言い訳スキルやトークスキルを称えるべきか。
そんなことを考えていると、美香の隣で腰掛けていたロリ天使が『のう、ワッパ』とオレの腕を引っ張ってくる。
「ん、なんですか? 麦茶お代わりですか?」
『違うのや。 あれはないのかや?』
「あれ……とは」
『そんなの決まってるのや。 オミキなのや』
「お……オミキ?」
『はぁ、なーんも知らないのやねぇ。 神の酒と書いて『御神酒』っていうのや』
「へー」
『で、ないのや? 酒は』
「ないですよ!!!!!」
◆◇◆◇
なんとか麦茶で我慢してもらったオレは早速美香とともにロリ天使の話を聞くことに。
そしてそれはロリ天使の『これは神、オニュシもあまり思い出したくない内容でもあるのやが……』から話は始まった。
『ワシが……思い出したくない内容とな?』
『なのや。 まぁ聞くのや。 結城美桜と結城桜子……2人があんなにも負の力に飲み込まれている理由は遥か昔……約千年前に遡るのや』
ーー……え?
「せ、千年んんんんんんんん!?!?!?」
『な、なんじゃとおおおおおおお!?!?』
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