653 【真・結城編】理想と現実
六百五十三話 【真・結城編】理想と現実
結城母の緊急手術を終えた翌日の朝。
昨夜は色々とありすぎてあんまり寝られなかったぜ。 ただタイミングのいいことにオレや結城は前日が懇親イベントだったため平日ではあるがその日は休校。
しかし優香は普通に登校日のため一旦家に帰るべく用意していたのだが……
時刻はまだ朝6時。
まだ眠っていると思われていた結城がスマートフォンを持ちながらオレや優香、高槻さんのいるリビングへと駆け込んできた。
「桜子おはよう。 別に今日は桜子休みなんだから寝ててもいいのに……」
「高槻先生の言う通りだよ桜子。 昨日は遅かったんだから寝てていいよ」
朝食を仲良く作っていた高槻さんと優香が優しい笑みで結城を迎える。
よし、じゃあここはオレも何か気の利いた言葉をーー……
「お、おはよう結k……」
「ママから電話あったの!!! 今スピーカーにしてるから……みんなと喋りたいんだって!!!」
ええええええええええええええええええ!!!!!!!
◆◇◆◇
『本当に昨夜はご迷惑をかけたようで……舞さんもお姉さんもわざわざありがとうございました』
結城を中心としてその周囲に集まったオレたち。
スピーカーから結城母の落ち着いた声が聞こえてくる。
「いえいえご無事でなによりです。 お身体の調子は今はどうですかー?」
『はいおかげさまで。 舞さんはどうですか? 元気ですか?』
「はい、私はもう元気元気です。 今日の夕方、お母様の体調がよろしかったら桜子と寄らせてもらいますねー」
『わかりました。 じゃあ何が何でも今日は元気でいなきゃですね』
「その意気ですよお母様! それでは私は朝の準備がありますのでここで失礼しますー」
高槻さんは綺麗に話をまとめると優香に「お姉さんはもう準備できましたか?」と小さく耳打ちをする。
「あ、はい。 いつでも大丈夫です。 強いて言うならお味噌汁を温めてる途中ってくらいですね」
「なるほどです。 じゃあそれは私がやっておきますので、お姉さんは桜子と桜子のお母様と一緒にのんびりお話ししてきてください」
「でも……」
「大丈夫です。 ここは福田くん……弟くんに手伝ってもらいますから」
え。
高槻さんはオレに一瞬アイコンタクト。
微かにニコッと微笑むと、再び優香に視線を戻して会話を続ける。
「それに桜子のお母様、以前お姉さんともゆっくりお話ししたいっておっしゃってましたよ」
「そうですか。 じゃあ……ちょっとお言葉に甘えて行ってきますね」
こうして優香は結城とともにエルシィちゃんの爆睡している結城の自室へ。
オレは先ほど高槻さんが言っていたように朝食のお手伝いをしようとキッチンに立つ高槻さんのもとへ近づいた。
「あのー高槻さ……先生。 ちなみにオレ料理出来ませんけど何すれば……」
そう尋ねてみるとどうだろう。
高槻さんは火を弱火にして振り返り、床に膝をつくようにしてオレに視線を合わせてくる。
オレは一体何を手伝わされるのだろうとジッとその目を見つめ返していたのだが……
「福田くん」
「はい」
「先生、ちょっとそこらへんに疎くて気にしてたらごめんなさいね。 ちょっと昨夜脱衣所で福田くんを見て……これは去年の東北旅行の時も思ってたことなんですけど……」
「?」
「福田くんのソコ……頻繁に大きくなってますけどちゃんと発散できてますか?」
ーー……。
「E?」
突然の下ネタのような問いかけにオレは大きく瞬き。
しかしそんなことは気にしていないのか、高槻さんはそのまま話を続ける。
「先生ちょっとだけ心配だったんです。 福田くんってほら……いつも女の子のお友達と一緒にいるじゃないですか。 なのでそういう情報も授業だけで本当に伝わってるのかなと思いまして」
「ーー……ソレハ、ドウイウ?」
「溜めてばっかりでは身体に悪いと思うんです。 出し方……分かりますか?」
ー STANDBY READY ー
高槻さんの言葉を合図にオレの全身が反応。
エネルギーを一点に集中させ熱を灯していく。
これは……これはもしかして!!! ワンチャンスいけるやつではないのでしょうか!?!?
教師と生徒の秘密の触れ合い……今まさにそんな夢のような光景が目の前に!?!?
前世でエロ漫画やエロゲー三昧だったオレの脳は一気にフル回転。
オレの視界にオレにしか見えない先ほどの高槻さんの問いかけに対する返事……選択肢を表示させた。
1・『な、なに言ってるんですか先生。 それくらい分かりますよ』
2・『え、それってどういう……? 出し方って……なんですか?』
うおおおおおおお!!!! 簡単だ!! 簡単すぎるぞおおおおおおおお!!!!!
答えは言わずもがな選択肢の『2』!! これを選べば続きの展開は確実に『じゃあ今から教えてあげるので出してみましょう』となるはず!!!
よっしゃああああああ朝からなんてハッピーなんだああああああああ!!!!!
オレは心の中で固く拳を握りしめると大きくガッツポーズ。
それでは早速早朝のドエロ展開を期待して参りましょう!!
せーの……
「え、それってどういう……? 出し方って……なんですか?」
オレがそう答えると高槻さんは「やっぱり……」と呟きながら、特定の場所こそ言わないが視線をオレの下半身へ。
既にスタンバイ状態なのを確認すると、ゆっくりと口を開きながらオレに尋ねてきた。
「教えて……欲しいですか?」
お……おふぉおおおおおおおおお!!!!! キ、キタアアアアアアアア!!!!!!
今までエロゲやエロ漫画に時間割いててヨカッタアアアアアアアアアアアア!!!!!
もちろんそれに対するオレの答えはYES!!!!!!
だとすれば早くやってもらわないと時間的にギリギリになっちゃうからな。 オレはすぐにズボンに手をかけると勢いよく下に下ろそうと試みる。
しかし……なんてことだ。 高槻さんはオレはズボンを下ろそうとするのと同時に立ち上がると、スマートフォンを取り出して電源をオン。
そして……
「分かりました。 では担任の先生にお願いしておきますね」
ーー……は?
「え、なんで……」
「だって女の私よりも同性の先生の方が福田くんも恥ずかしくないでしょう? あ、もちろんこのことは先生と福田くんの担任の先生以外には知られないようにしておきますので安心してくださいね」
ええ……? ええええええええええええええ!?!?!??!?
オレがいろんな意味で固まっている間にも高槻さんはメールの内容を打ち込んでいく。
どうして……どうしてこうなった!!!!
普通は母性本能とか刺激されてやってくれるんじゃないのかよ!!!!!
思っていた未来とは違った結末に動揺が隠しきれなかったオレだったのだが、ここで固まっているだけでは近い将来確実にトラウマ級の地獄が来てしまうことになる。
あの担任にマンツーマンで教えてもらう……だと? ふざけんじゃねえ!!! オレは男の前で出すような趣味は持ち合わせていないんだよおおおおお!!!!
オレはすぐに高槻さんの腕を掴んで「や、やっぱ大丈夫!!」と前言撤回。
「ネットや漫画でなんとなく知ってるから!!」と必死に説明しながら担任への連絡をやめてもらうことにした。
「そうですか? なら……まぁそういうことにしておきますけど」
「はい!! 大丈夫です!! やり方なら完全に頭に入っております!! こんな感じの上下運動ですよね!! こう!!」
「わ、分かりました。 ではちょうどお姉さんや桜子もちょうどお話終わったらしいですし、朝ごはんお皿に載せていきますねー」
「はい!! 信じられないのなら高槻先生実際に見てみますか!? もしやり方違ってたらそこで訂正してもらって……あ、だったらいっそのことお互い一緒にやりましょうそうしましょう!!! そっちの方がオレはもう盛り上がること間違い無いかと……!!!」
オレがそう熱弁していると後ろから誰かが肩を叩いてくる。
振り返ると……優香だ。 その後ろには結城もいる。
「あ、お姉ちゃん、もう結城さんのお母さんとのお話終わっ……」
「うん。 ていうかダイキ、いまなんの話してたの? 実際見る……とか間違ってたら訂正……とか、いっそのことお互いに……とか」
「ーー……え、なんで?」
「だってなんか興奮気味で楽しそうだったから。 お姉ちゃんにも教えてよ、なんの話?」
GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!
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