652 【真・結城編】最高!?
六百五十二話 【真・結城編】最高!?
まさか結城や結城母の持つ不幸体質がなくなるかもしれないなんて。
見回りの神ことロリ天使とそれに拘束された神様……2人と別れたオレはまっすぐ結城たちの待つ関係者の待機部屋へ。
部屋に戻ると高槻さんやエルシィちゃんも戻っており、4人で遅めの晩御飯を食べている最中だった。
「あ、ダイキおかえり。 長い間いなかったけど……トイレ?」
「あーうん。 どこもちょっと怖かったから外のコンビニのトイレ使わせてもらってたんだ」
「そうなんだ。 ほら、高槻先生とエルシィちゃんが選んできてくれたお弁当あるからダイキも食べよ?」
オレは優香に差し出されたお弁当を受け取るとエルシィちゃんの隣に座ってそれを食べることに。 ぶっちゃけ室内の空気は結構張り詰めたものではあったのだが、オレだけは晴れやかな気持ちで食べることが出来たのだった。
それはなんでかっていうとだな、実は別れ際にあのロリ天使がこう言ってくれたんだ。
『結城という娘の母……美桜のことなら心配しないでいいかや。 ワッチは見回りの神……各地の神々がちゃんと神事を行っているかを確認するのが仕事なのや。 だからして美桜の産土神とも顔見知り……美桜をよろしく頼むと伝えたゆえ今宵は安心していいのや』
ここに戻ってくる途中で調べてみたんだが、どうやらその『産土神』というのはその人間が生まれた土地を守護してる神様のことらしい。 なんでもその地で生まれた対象を死んだ後まで守ってくれて、例えその地を離れたとしても一生守ってくれるというありがたい神様なんだと。
いやー、勉強になった。
そしてもう1つ……結城の母親って美桜って名前なんだな。 『桜子』と『美桜』……桜繋がり美しいぜ。
「んー、どしたぁダイキ。 ダイキ、いいこと、あたぁー?」
オレの対面でサンドイッチを頬張っていたエルシィちゃんが不思議どうに顔を覗かせてくる。
「あー、そうだね。 このお弁当美味しいなぁーって思って」
「そかぁー。 エッチーも、おいちーのよー。 ユッキーちゃんも、おいちー?」
「うん……美味しい。 ずっとママのことばっかり考えててお腹が空いてるのも忘れてた。 でもごめんね、本当ならファミレスの予定だったのになくなっちゃって」
「ユッキーちゃんのママ、げんきになゆと、いいねぇー! エッチーも、おうえん、してゆのよぉー?」
あぁ……冷たく重たかった空気が一気に柔らかくなったぜ。
それからオレたちは途中で寝てしまったエルシィちゃんの寝顔に癒されながら手術終了の報告を待つことに。
数時間後、結城母の緊急手術は無事成功。 麻酔で静かに眠っている母親の姿を見て安堵した結城はその場で膝から崩れ落ち、『よかった……よかったぁ……!』と泣きじゃくりながらそのまま優香の胸の中で眠りについたのであった。
「では桜子のお母様の容態も落ち着いたことですし、今夜はうちに泊まっていきませんか?」
どうやら高槻さんと結城の引っ越したアパートがここから数分の場所にあるらしく、ぐっすり眠っている結城を背負った高槻さんがオレたちに提案してくる。
「え、高槻先生いいんですか? ダイキや私なんかまで」
「もちろんですよ。 というよりもむしろお願いしたいくらいです。 私1人では桜子だけで手一杯で、エルシィちゃんまで運べないですから」
「なるほどです。 そういうことでしたら今晩お世話になります」
おお、初の高槻さんと結城の新居か。
ということでオレはエルシィちゃんを背負いながら高槻さんの後ろをついていくことに。
しかしその途中、まさかあんなことが起きるなんて……
◆◇◆◇
オレの目の前では高槻さんと優香が小声で会話中。
「高槻先生、お疲れでしょうし桜子は私がおんぶしますよ?」
「大丈夫ですよー。 というよりお姉さん、せっかく今日は年上の私がいるんですから気を張らないでくださいねー」
「いえいえそんなわけには。 今日はお邪魔させていただくんですから」
「こーら。 年上の言うことは聞かないとダメですよー? これは近々お姉さんを甘やかす日を作らないといけなさそうですねー」
あぁ……尊い。
優香とギャルJK星みたいな親友カップルもいいけど、高槻さんと優香……大きいお姉さんと小さいお姉さんというカップリングもアリかもしれない。
オレはそんな新たなニューカップリングを彷彿とさせる2人を見つめながら歩いていたのだが、ここでとある異変に気付いた。
ーー……あれ? なんか腰の上の辺り、生温かくね?
それに何かが下へと滴っているような。
少しの間なんだろうと考えていたオレだったのだが、背中に当たるエルシィちゃんのぺったんこな感触に神経を集中していたオレはさほど重要視せずに歩き続けることに。
そして高槻さんと結城の新居・アパート手前。 ここでようやく先ほどのオレの違和感がなんだったのか知ることとなる。
「ん? あれ?」
首を傾げていると優香が「どうしたのダイキ」と尋ねてくる。
「いや……なんか靴の中がピチャピチャしててさ。 水溜りでも踏んだのかな」
「え、それはないと思うよ。 だって最近雨降ってなかったし、ここに向かってる間にも濡れてる道路なんてなかったし」
「そ、そっか。 じゃあなんだろ」
オレはそこから深く考えていなかったのだが優香が不思議そうにオレの後ろに回り込む。
するとそこで「あっ」と小さく声をあげた。
「ん、どうしたのお姉ちゃん」
「ダイキ、高槻先生の家に上がる前にちょっとそのままにしてて」
「え?」
優香は「ちょっとそこでジッとしてて」とオレに指示するとすぐに高槻さんのもとへ。
その時オレの耳に入ってきた内容が……
「あの、高槻先生、ちょっといいですか」
「どうしましたか?」
「エルシィちゃんが寝てる間にやっちゃったみたいで……」
「え?」
え。
「それでエルシィちゃんを背負ってるダイキの服も一緒に……どうしましょう。 タオルコンビニで買ってきましょうか」
ええええええええええええええええ!!!!!
そう言われてみれば腰の上の辺り……生温かいだけじゃなくてピチャピチャする……!!!!!
最高なんじゃあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
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